第24話 地上を嘆くムジャーヒディーン
マイスターは、操縦席の前で地団駄を踏むと、こんな事をしている場合では無いと直ぐに正気に戻り、携帯端末を使い仲間に指示を出した。
「総員、よく聞け
これより、作戦の立て直しを図る
ソニック、パイロ、ヒートショット 、サイドワインダー、スパイク作戦書第12頁にあるヒーリングプロトコルを開始しろ」
マイスターの命令が、伝わるとクラウド達の近くで待機していた他の構成員達が
「「「「了解」」」」
と、落ち着いて言うと
まず、始めに蒼い閃光が駆け回り、瞬時に敵の本営の魔法使い達の心臓を腕の鉤爪で穿った。そして、突如、駆け抜ける閃光に敵が動揺した所で、サイドワインダーと、スパイクが、クラウドと、グロウを回収して回復を待っている間に敵兵士達は、空を見上げる炎の龍に驚愕した。
空を見上げた兵士達は、オレンジ色の炎を纏った悪魔の様な見た目の男が、巨大な炎の龍を従えている所を見て、こう叫んだ。
「
シャイタンが、我々を地獄に送り返しに来たッ!」
兵士達の悲嘆の声を嘲笑い悪魔は炎の龍を兵士達にけしかけた。
「
パイロが、攻撃を放つと兵士達は、必死で龍を殺そうと銃弾を浴びせるが、炎の龍に触れる直前に銃弾は蒸発し姿を消した。兵士達の滑稽な様を見てさらにパイロが喜ぶと、再び、ビン・ラディンが兵士達を鼓舞した。
「同胞達よ!
恐れるな
我々には、預言者の加護がある
構わずに撃ち続けろッ!」
兵士達は、目の前に迫る恐怖を討ち滅ぼすべくビン・ラディンに従った。それを見たビン・ラディンは、安心し能力を発動する。
「偉大なる預言者
彼の偉業を我らの前に再現し、我らをお導きください」
ビン・ラディンが、そう言うと兵士達を黄金の粒子が包み込み、その粒子が上空の龍へと向かって行った。
粒子に当たった炎の龍は体が半分に裂け、兵士達に当たる前に兵士達の両端に向かって落ちていった。
そして、さらにビン・ラディンがパイロを睨み
「貴様は、
何故ならば、貴様ら咎人は神が
ビン・ラディンが、そう言うとパイロの上空にオーロラの様な見た目の炎が現れ、パイロを覆った。そして、その炎は、マイスター以外の他の元メメント・モリ構成員達にも降りかかった。パイロは、自分には炎は効かないと息巻いて、他の物はガーダーの能力で守られた。と、元メメント・モリ構成員達は思った。だが、
「原罪の焔からは何人も逃れる事は出来ないッ!
これは、神からの罰だ
その身を汚れた肉体を焼き払い
と、ビン・ラディンが言うと全員、業火に焼かれ一瞬で消し炭になった。
「いや〜
いつ見ても君の能力は凄いね〜
間違いなく最強の能力だよ!」
ビン・ラディンの隣にいるマルコ・ポーロは、ビン・ラディンに対して臆する事なく気さくにそう話しかけた。
「これは、私では無く
偉大な預言者達の力だ
私はその力を借り受けてるに過ぎないよ」
と、ビン・ラディンが、マルコ・ポーロに笑いかけると
「またまたぁ〜
謙遜しちゃってっ!」
と、ビン・ラディンの肩をバンバンと叩いた。
それを見たビン・ラディンが呼び出したアルカイダ構成員が、マルコ・ポーロを睨み付け各々手に持った銃の銃口をマルコ・ポーロに向けた。
「おおっと!
怒った?
ごめん、ごめん
でも、これは親しみを込めてやっているだけで
攻撃って訳じゃ...」
マルコ・ポーロの弁明を無視し、アルカイダ構成員はマルコ・ポーロに向けて一斉に銃弾を放った。
マルコ・ポーロは、それに怯え頭を抱えてしゃがみ込むと、ビン・ラディンが黄金の粒子を出してマルコ・ポーロを庇った。
「やめないか
彼は我々の仲間だ
そう言った行動は慎め
それに、此度の相手は話せばわかる者達だ
もう、生前とは違う
もし、私が敵と対話している時に同じ事をしたら許さんぞ!」
と、見方を注意した。
アルカイダ構成員達は、ビン・ラディンの言葉を聴き銃を収めると、その騒ぎを愉快気に笑いながら他のアルカイダ構成員を掻き分けてビン・ラディンに話しかける者がビン・ラディンの前に出て話始めた。
「ははははは
ここにいて飽きる事はありませんな」
男が話しかけると、
「アイマンか、どうした」
ビン・ラディンは、それに対し男の名を呼んで用を尋ねると
「ご命令の通り
ここを攻めて来た奴らの指揮官らしき人物の居場所を特定しました」
アイマンと呼ばれた男は得意げにそう言うと
「ほお、それで敵の実力はわかりそうか?
その為に来たんだ
あまりに彼等が弱ければ煉獄の神と対話をする必要も無いからな」
と、ビン・ラディンはアイマンの話に興味を持つと
「それなのですが...
私は、オマルとアダムに敵への攻撃を命じたのですが、
どうやら無理に呼んできたモフタールが早々に戦果を挙げようと向かってしまい...」
と、アイマンは、罰が悪そうに言った。
それを聴いたビン・ラディンは、頭に手を当てて
「モフタールか...
まあ、良いだろう
これで敵の全力がわかるとい言うものだ
アイマン、モニタリングしろ」
と、仕方ないといった様子でアイマンに指示を出すと
「まあ、貴方がそう言うのであれば...
敵の実力に期待しましょう」
アイマンは、天幕無いにあるテレビモニターに触れて能力を発動した。すると、FPSゲームの様な視点でモフタールが見ている状況がモニターに映し出された。見ると、モフタール
「わ〜お!
すごいねこれ!」
と、天幕内の椅子に座りモニターを見始めた。
マルコ・ポーロは、椅子にドサッと腰掛けくつろいだ体勢を取ると、懐から本を取り出しそれを輝かせテーブルの上にコーヒーが注がれたマグカップを三つ用意した。
そして、立ってモニターを眺めているビン・ラディンとアイマンに対し
「おお〜い
君達も一緒にコーヒーでも飲みながら見ようよ
そんなに気を張ってたら疲れちゃうよ?」
と、言った。
それに対しアイマンは、ビン・ラディンの方を見て首を傾げると、ビン・ラディンは、それに対し頷き二人とも席に腰掛けると、ビン・ラディンは、マルコ・ポーロにこう尋ねた。
「...ミルクは入ってるか?」
それに対し、マルコ・ポーロは、微笑んで
「もっちろん入って無いよ〜!」
と、明るく言うと
「そうか、なら、頂こう」
と、ビン・ラディンが言い、三人はコーヒーを啜りながらモニターを見つめた。
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