第20話 凱旋は、吹き荒ぶ死の風と共に
クンフーが、アロアディンを倒した頃、ソニックは、フビライハンと戦っていた。
砂が積もって出来た山の上で下にモンゴル兵がグロウ達とモンゴル兵が戦っている中、フビライハンは、テグハを手にソニックに上段から切り掛っていた。ソニックは、それを高速で動いて避け、フビライハンの脇腹を殴った。だが、フビライハンは、殴られても怯みもせずにソニックの首根っこを掴んで、持ち上げた。
「はははははっ!
すばしっこいだけの軟弱者め!
もう、お終いだ!」
フビライハンは、ソニックを持ち上げると、ソニックの顔を大きな拳で殴りつけ、ソニックの鬼面を砕いた。ソニックは、その際に鼻を折り、顔から血を流した。フビライハンは、そのままソニックを地面に叩きつけると、ソニックの顔を思い切り踏み付けて、テグハでソニックの腰を突き刺した。
「ぐああああああッ!」
ソニックは、腰を貫かれた事により、足が動かなくなり、悲鳴を挙げた。自慢の能力を失った喪失感と能力無しでこの巨人と戦うと言う恐怖感に襲われ、ソニックは震える事しか出来なかった。
フビライハンは、そんなソニックの恐怖を感じ取り、喜ぶと、そのままソニックの足をテグハでズタズタに切り裂いた。
「うああああああああッ!
あああああッ!
やめろ!
やめろォッ!」
ソニックが、泣き叫ぶとフビライハンは、うつ伏せの状態で転がっているソニックを蹴り上げ、ひっくり返すと、仰向けのソニックに馬乗りになった。
「さあ、もっと、恐怖を味あわせてやる!」
フビライハンは、そう言うとテグハを腰に挿すと、岩の様な腕でソニックの顔を殴りつけた。ソニックの顔は防具である鬼面を砕かれ、モロに身体にダメージを負い、顔がぐちゃぐちゃになるほど顔を殴られた。薄れゆく意識の中でソニックは、仲間の事を思い出した。自分が一番に飛び出して、魔法使いを倒していれば誰も失う事の無かった仲間の事を...
「あああ、
あああああああッ!
俺のせいだ!
俺のせいで皆死んだんだ!
クソッ!クソう!」
ソニックが、泣き出すとフビライハンは、
「なんだ、もう気をやったのか?
それに、お前、震えているのか?」
と、物凄い勢いで震えるソニックに対し、それを恐怖と感じて嘲った。
だが、ソニックは、恐れているのでは無く、奮起していた。自分の無力さへの怒りとと、此処で自分が此奴をやらねば仲間が危険だと言う勇気で
「お前は、俺が此処で殺す
仲間が、俺を待っているんだ!」
ソニックが、そう叫ぶとフビライハンは、笑いだして
「そんな状態のお前に何が出来るって言うんだ?
そのまま、死んでいけ!」
と、ソニックの顔面を再び、殴り付けた。
顔を殴り付けられたソニックは、もう怯えることは無く、強い視線でフビライハンを睨み、身体を振動させて腕を抜くと、フビライハンに向けて腕を突き出してこう言った。
「俺は、確かに無力だ
だが、俺には仲間がいる!
心から信頼出来る仲間だ!
俺は、その仲間達が一人でも生きている限り、やられる訳には行かないんだ!」
ソニックは、そう言うと能力で腕を高速で振動させ、フビライハンの胸を貫いた。ソニックは、無意識の内に高速移動で量子トンネル効果(高速で移動する物質が壁に当ると、その壁の先で通り抜けたかの様に同じ物質が出現する現象)を利用し、フビライハンの胸を通り抜け、心臓を鷲掴みにすると、高速で腕を引いて心臓を千切にとってフビライハンの体から抜き出した。
「お前...何を...」
フビライハンは、何をされたかわからずに、心臓を失い息絶えた。
ソニックは、身体を振動させて、フビライハンを吹き飛ばし、フビライハンの死体をどけるとナノマシン発生装置を解除し、もう一度発動させた。ナノマシン発生装置は、再起動すると、ナノマシンで身体を修復し傷を治す事が出来る。ソニックは、傷を治すと能力を発動し、仲間達が戦っている場所へ走った。走り出した蒼い閃光は、魔法使いの元へと一目散に走り出し、魔法使いの心臓を一突きにして殺すと、クラウドの分身に守られながら、倒れていたグロウの防護服の兜を叩いてグロウを起こした。
「起きろ!
寝てる場合じゃないぞ!」
ソニックに、叩き起されたグロウは、最初は、寝ぼけていたが、はっと現状を思い出し、巨大化して敵兵士達をバルディッシュで攻撃した。
「悪い、助かった!」
グロウは、敵を叩き潰しながらそう言うとソニックは、
「ああ、これくらいなんでも無いさ」
と、ハウニブまで走り去って行った。
ハウニブに着くと、ナノマシン発生装置を再起動し武装を治したクンフーが、廊下で待っていた。
「ソニックか、お前が来たという事は...」
そうクンフーが、言いかけると、ソニックの到着をモニタリングしていたマイスターが、操縦室から出てくる。
「反撃の時だな」
と、クンフーに続くように、得意げに言ったマイスターは、ソニックが頷いた事を確認すると、魔法を発動させる。
「聴けッ!
どの地、どの空、どの世でも
見上げし仰ぐは、紅鏡也
その偉大なる使い
何時をも共にする烏をここに
マイスターが、魔法を発動させると、黒い羽が辺りを舞い、底から抜け出るように、屋敷の復活場所で復活した元メメント・モリ構成員達が完全武装で現れた。
「待ってたぜ!
アイツらを全滅させてやる!」
と、意気込んで出てきたパイロに皆、同意し
「ああ、頼むぞ
どれ、私も行くとするか」
と、マイスターが、戦闘を歩きそれに続くように、全員で外へ出た。
外へ出ると、グロウとクラウドが、皆が来た事に気付き、喜んで微笑むと、攻撃をいっそう激しくした。
ハウニブから出ると、まずガーダーが、
「グロウ、クラウド下がれ」
と、言いハルバードを振り上げた。
「「了解!」」
と、二人は、攻撃しつつ後退すると敵が、ハウニブの方へ流れ込んで来た。
ガーダーは、それを見てほくそ笑むと能力を発動した。ガーダーの能力は、物理干渉が出来ないバリアを張る能力だ。ガーダーが、そのバリアを兵士達の足元の地下に張り巡らし、流砂を作って兵士達を落とすと、次にパイロが、
「今度は、俺の番だな」
と言って前に出た。
すると、パイロは、武装に書かれた龍を輝かせ炎の龍を出現させると、
「くらいやがれッ!
と、叫び、炎の龍で流砂に沈む兵士達を襲った。灼熱の炎が辺りを包み、流砂の表面を硝子化させると、
「クラウド、やれ」
と、マイスターが、指示をし
「おう!」
と、クラウドが返事をすると、クラウドは、全ての分身の全ての武装を一斉掃射し、兵士達を撃った。
モンゴル兵は、パイロの炎で焼かれたが、当世具足の兵士達は残っていたので、それに大量の銃弾と火薬を浴びせ、バラバラにした。だが、当世具足の兵士達は、魔法の石で傷を治すので
「スカー、やれ」
と、マイスターが指示をだし
「承知した」
と、スカーが、言い傷ついた部分を能力で腐敗された。
そして、最後に
「ダメ押しにもう一手だ」
と、マイスターが、能力を発動させ、兵士達の刀と防具の金属を流体に変え、兵士達を覆うと、そのまま押し潰し金属の玉にした。
マイスターは、能力を発動し終えると振り向いてハウニブ内に戻りながら、
「さあ、マルコ・ポーロを倒しに行くぞ」
と、指示を出し
他の構成員、全員が
「「「「「「了解ッ!」」」」」」
と、勢いよく返事をし、ハウニブに乗り込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます