第2話 グラスホッパー

僕は、魔法陣が光った後、

気がつくと

宇宙空間の様な感じの不思議な廻廊にいた。


そこで、漂いながら

僕は、体が人間に戻っている事に気づいた。

しかも、SFに出てくるロボットの様な鎧?体?が、

全身を覆っている。


「なんだこれは」


僕が、そう呟くと


「それは、天帝シャンティーの能力で作られた

鎧で、様々なギミックが施されています

いま、データを送りますね」


突如、少し大人びた女性の声が聞こえ

目の前には、PC画面の様なウィンドウが現れた。


「すごい、なんだこれ

直接に目に見えてるのか?」


僕が、そのままウィンドウを詳しく読み

武装の大体のスペックを把握し


「そう言えば、

能力を貰えると言っていたが

僕は、何も貰っていないぞ

詐欺じゃないか!」


ふと、思い出してそう言った。


「いいえ、天帝シャンティーは、既に能力を得ていますよ!

私も、それで作って頂きましたからね!」


そう声がして、前を見ると

黒髪紅眼のお姉さんが、際どいチャイナ服を着て、

僕を見つめていた


「誰だ?」


僕が、驚いて聞くと


「初めまして、天帝シャンティー

私は、天帝シャンティーの何でも作る能力で生成された

量子コンピューター情報統括処理役擬似人格型汎用AI

智慧ジュウホエと言います!」


「量子コンピューター?AI?

天帝シャンティーってもしかして僕の事か?」


僕は、突然の事に困惑して尋ねる。


「はい、私は貴方のAIです!

天帝シャンティーと呼ぶのは、カッコイイからと天帝シャンティーが、設定する様に神様に頼んだんですよ?」


智慧ジュウホエは、微笑んでそう応えた。


「そうか」


僕は、あっさりとそう言った。


「あれ?

記憶が曖昧なんですねよね?

驚かれないんですか?」


「僕が、やった事は大抵正しいから大丈夫だろう」


僕が、自信満々にそう言うと


天帝シャンティー、流石です!」


智慧ジュウホエが目を輝かせる。


そうして、僕は

過去の自分の行動の素晴らしさに満足していると


「あ、

そろそろ着きますね!

準備は良いですか?」


智慧ジュウホエが、突然そう言ってきた。


「準備?」


僕が、そう言うと

突然、重力を感じ

足元にコンクリートの摩天楼が広がった。


すると、僕は落ち着いて


智慧ジュウホエ、この鎧?は飛べるのか?」


と聞くと


「はい、背中にあるブースターと

鎧各所に付いている姿勢制御装置で飛行可能です」


「そうか、やり方がわからないから

操縦を君に一任して良いか?」


了解ヤオミンバエ天帝シャンティー

任せてください!」


そう言って、智慧ジュウホエの操縦で近くのビルの屋上に着陸した。


「助かった

ありがとう」


「いえ、こちらこそ

頼って頂き光栄です!」


智慧ジュウホエは、嬉しそうにそう応えた。


「さて、じゃあ

煉獄に着いた事だし

能力の実験でもしようかな」


そう言って、僕は多連装ミサイルを想像した。

すると、想像通りの物が目の前に現れた。


「では、威力を確かめよう」


そう言って、僕は複数作った多連装ミサイルを、

周りのビル群に撃ち込んだ。


当たったビルは、思ったよりも地味に爆発した後、

ジェンガの様に崩れていった。


「ははははは

こういうの一度やってみたかったんだ!

ざまあみろ!

僕を馬鹿にした社会が崩れていく!

はははははっ!」


僕が、意気揚々とそう言うと


「流石です天帝シャンティー

無人のビル相手にそこまではしゃげるなんて!」


智慧ジュウホエが、目を輝かせて褒めるが


「なあ、煽りに聞こえるのは

僕の気のせいか?」


「申し訳ありません!不快でしたか?」


智慧ジュウホエが、目を潤ませてそう言うと


「いやいや、冗談だよ!

気にするな」


僕が、慌てて訂正する。

全肯定だとやりにくいなあ


そうして、智慧ジュウホエをなだめていると


「てめえ、バカか?

あんな派手な攻撃したら

自分の場所を教えてる様なもんだぜ!」


突如、少し破れた繋を着た男が現れ、

手に持った鉄パイプで僕を殴りつけた。


咄嗟の判断が下せずに

後頭部に鉄パイプが直撃するが、

鎧のおかげで何ともない。


男は、続けて鉄パイプで殴って来るが

僕は、受けも払いもせずに

そのまま男の足を踏みつけた後、

髪を掴んで、思い切り引き寄せ、

男の顔面に膝蹴りした。


「ぐあッ!」


男は、一撃くらうと

突如、消えた。


「あ?

どこいった?」


僕が、男を探していると

背後から、男が現れ

僕にドロップキックをくらわせた。


「くらえやァ!」


僕は、反応出来ずにそのまま受けて少し怯んだ。


すると、すかさず男が鉄パイプで

後頭部を殴りつけてくる。


「ええい、うっとおしい!」


僕は、能力で青龍刀を生成して、

振り向きながら、鉄パイプを切り裂き

そのまま青龍刀を男に突き刺そうとした。


「なんだそのへっぴり腰は!」


男が、そう言って青龍刀を避けると

僕の腕が伸び切った後に、

青龍刀に触れ、

そのまま青龍刀ごと消えた。


「なにッ!」


僕が、驚いて

咄嗟に後ろを向くと


「残念!

今度は正面だぜ!」


そう言って、男は突如現れて、

僕の右腕を青龍刀で切り落とそうとした。


ガンッ!


と鈍い音がして青龍刀が弾かれる。


「馬鹿め、

どう見たって

それじゃあ、この鎧は切れないだろ」


僕が、自慢げに後ろを向いてそう言うと


「それはどうかな?」


男が、そう言うと

一瞬、青龍刀が消えると

青龍刀は、僕の腕を間で塞ぐ様に、

現れ、僕の右腕が落ちる。


「わああああああああああッ!」


僕は、あまりの事に絶叫する。


「はっ!

根性ねえなぁ

まあ、でも流石にこれはしょうが無いかっ!」


男は、嬉しそうにそう言いながら

膝を床に着いて

腕を抑え絶叫する僕の首に

青龍刀を振り下ろした。

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