第41話 【Side:ステラ】王宮武闘大会決着!

 程なくして『王宮武闘大会』は決着した。


 手負いのマルティムを襲うゴブリンの動きは流石アサシンと感じさせるものだった。暗器を駆使してマルティムに少しずつ手傷を負わせ、動きを止めるためマルティムの右足を切断し、背中の羽も切り裂く。これでマルティムはほぼ移動ができなくなる。次はマルティムの両腕を切断。これでマルティムは攻撃もできなくなる。


 とどめにゴブリンはマルティムの喉元をダガーで横に切り裂く。流れるような見事な手際に観客は見惚れていた。


 これで決着したかに思えたが、マルティムから気味の悪いオーラが溢れ出す。既に絶命していてもおかしくない状態にもかかわらず、マルティムはゴブリンの暗殺者を凝視する。ゴブリンの暗殺者は危険を感じマルティムから全力で走り去る。


 そんなマルティムを背後からオーガの狂戦士バルバルが手にした鈍器で滅多打ちにする!それでもマルティムのオーラは止まらず、その顔は虚ろだが笑みを浮かべていた。そして、マルティムの口から微かな言葉が漏れる。


「『デーモンズ・ギフト』」


 悍ましいオーラがマルティムから抜け出し分裂。それぞれのオーラが出場者に襲い掛かる!


 バルバルは襲い来るオーラを攻撃するが手応え無く、オーラに取り込まれ絶叫と共に倒れる。同時にゴブリンもまた倒れる。


 ジオもオーラに襲われるが……


「この身体に流れる高貴なる血統を解放する!『ヴァンピール・フォーム』」


 その血に眠る夜の帝王の力を呼び起こし、襲い来るオーラを手で転がすように弄び、握り潰す。


「悪魔の君よ、今度は朝まで蹂躙してやろう!ファーハッハッハァ!!」


 他の出場者にもオーラが近づき取り込まれた者は様々な状態異常に襲われる。


 『デーモンズ・ギフト』、それは術者が受けた攻撃を致死をもってお返しする呪いであり、術者に攻撃していない者にもその苦しみや痛みをお届けする『悪魔の贈り物』だった。


 直接マルティムに攻撃していなかったがオーラに取り込まれたキリコ、ゲラン、シールは悶え苦しむ。シールは意識は無いが口から泡を吐き身体がビクンビクンとのたうつ。


 ゴールドは光の結界を作りオーラを防ぎ、わたしは赤い防御フィールドに守られオーラに取り込まれることは無かった。


 そんな禍々しいオーラが突如消え去る。術者マルティムの脳天を槍で突き刺すデュラハンの重騎士ジョースティンⅡ世。


 ここで試合終了のファンファーレが鳴り響く!!

掲示板に最終結果が表示される。


【戦闘可能】8

【戦闘不能】92


・ヴァンパイアハーフの魔銃士『ジオ』


・巨人族の剣闘士『5370』、通称『軍神の如き』


・ワーウルフの女拳闘士『キリコ』、通称『鉄拳』


・人間の女魔法使い『ステラ』、通称『カボチャの悪魔』


・正体不明の仮面の女魔剣士『ゴールド』


・リザードマンの戦士『ゲラン』、通称『沼池走り』


・デュラハンの重騎士『ジョースティンⅡ世』


・死神『名無し』


 『デーモンズ・ギフト』を喰らったゴブリンとバルバルは絶命。オーラを受けたキリコ、ゲラン、シールは何とか耐え抜き命に別状はなかった。


 術者であるマルティムは戦闘不能ではあるが死には至っていないとのこと。全員が悪魔族の恐ろしさを目の当たりにするのだった。


 そのまま表彰式に移る。


「あのー、着替えたいんですけど。こんなカッコでは……恥ずかしいんですよ。」


 大会関係者を捕まえて着替えの許可を伺うが、そんな時間は無いとあしらわれる。


 そんなわたしにマントを差し出す女魔剣士ゴールド。


「そんな姿でよく戦い、生き残れたものだ。せめてこれで身を隠せ。」


「あ、ゴールドさん。さっきは死神から救ってくれて、ありがとうございます!」


 先の死神との戦いで助けてもらったお礼を言う。


「いや、あれは油断した死神を倒す好機だっただけのこと。礼を言われることではない。仕損じたしな。」


「そうだとしても、わたしにはお礼をする理由があるんです。ありがとうございました!」


 微笑むゴールド。


「いいから早く身体を隠せ。乙女がそんな姿でいるものではない。」


 受け取ったマントを広げると、重厚で厚い白地の生地に豪華な金糸の刺繍が施された気品あるものだった。


「こんな素敵なマント借りていいんですか?相当高いものでは?」


「それは亡き父の形見でな。だが、もう汚れているので気にするな。」


「そんな大切なものなのに。ありがとうございます。」


 再びお礼を言い、ゴールドのマントを身に纏う。


 突然、纏ったマントが発火する!!


「キャーーーッ!燃えてるっっ!!」


 地面に転がり火を消そうとするが勢いは収まらない。


「水流よ!『ウォーター』」


 ゴールドがステラに初級魔法で水をかける。が、火の勢いは止まらない!!


「これは……魔力の炎か?」


 高速詠唱をはじめるゴールド。


「荒ぶる激流の一雫、『リヴァイアサン・ティアーズ』」


 中級魔法だが水属性の上位幻獣の力だったが……やはり火を消すことは出来なかった。


 武闘大会に勝ち残った直後に焼死するなんて、わたしの人生って一体……。


◇◇◇あとがき◇◇◇


ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)


王宮武闘大会終わりました。お疲れステラ!ゆっくり休んでね。(・∀・)アヒャ!!


お読みいただいた感想や評価をお願いします。いただけると今後の励みになりますし、もっと良い話にできますので、是非ともお願いします。m(_ _ )m


毎週金曜日の午前中に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)

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