転生少女は勇者より魔王になりたい

黒うさぎ

第1話 はじまり

「思い...出した」


そう。私がまだ『白川 舞』だったあの頃のことを。


17歳だった『私』は、日課となっている飼い犬の散歩に出掛けていた。

犬の名前は「メア」で、柴犬の可愛い女の子だった。


「ちょっとめあ!ひっぱらないでよお」


いつものようにメアは先頭で、その後ろを『私』が追うように歩いた。


わん!


そう吠えてめあは車に向かって走り出す。

これもいつもと同じだ。

メアは動いているものが好きで、車を見るとすぐに追いかけていくのだ。


そして『私』は油断してしまったのだ。


いつもの事だからと。


メアの首輪に繋がるそのリードを離し、


メアはトラックに轢かれた。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


白い部屋。


何も無い白い部屋。


そこに2つのナニカがあった。


1つは人間。


もう1つは・・・。


(ここは· · ·)


私は何も無い白い空間に立たされていた。

さっきまでメアと追いかけっこをしていたのに。それで、そうか。私はメアと一緒にトラックにひかれ死んでしまったのだろう。


目の前には人のような、そうではないような。

ひょっとして神様だろうか。


「そうか。神か。面白い。私に会った人間は必ずそう言うのだよ。」


私は声に出してないのに返事をされて驚いた。

神じゃないならなんなんだろう。


「確かに人間界では神と呼ばれているな。まぁあれだ。創造主とでも呼んでくれ」


(創造主だったら神なんじゃないのか!)


そう思ったが、きっと何かこだわりがあるのだろうと思いスルーした。


(えと、それで、私は死んだんですよね?メアはどうなりましたか?あの、私と一緒にいた犬のことなんですけど)


「ああ。死んだな。いやあ、実に面白くない死に方だったよ。お前さんと一緒にいた犬のことは後で話そう。そういえば死因は知らないんだったな?教えてやろうか?」


(ぐっ・・・死因か。死因はトラックにひかれたんじゃないのか?是非教えてください)


「ほう、そうか。ではよく聞け!そなたの死因は…ショック死だ!」


(ぶっ!!!)


思わず笑ってしまった。流石に冗談であろう。


「いやいや、冗談でもなんでもない。犬が死んだのを見てバタッと倒れたよ。バタッとな!」


創造主さんよ、軽く言わないでくれ。

ショック死とかホントに傷つく・・・。


「まあな。流石に自分の死因がただのショック死だと悲しくなるだろう。そんな君に名案がある」


舞はゴクリと息をのんだ。

そして__




「転生したいとは思わないか?」


そう言ったのだった。


転生ってあれだよね?よくラノベとかである!


(ぜ、是非お願いします!)



田舎で周りに遊ぶ場所がない舞は、ラノベやゲームをよくしていた。

だからそういうのには少し憧れていたのだ。


問題は・・・


(あの、私の能力とかってどうなるんですかね。転生してすぐ死んじゃうようなことは・・・)


そう。せっかく転生してもまた今世みたいに死んでしまっては楽しめない。

できたらラノベの主人公みたいに俺TUEEEEとかやってみたいものだ。


「あぁ。そこは問題ないぞ。今回みたいに死なれちゃつまらないだろうからな。そこそこ生きられるようにしとくわい。そこの世界に犬っころも転生させるからいずれ会えるだろう」


おお。それはありがたい。

では問題なく逝けそう(生けそう)だ!


(それではよろしくお願いします!!)


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


こうして私は『ルフィナ・プローニン』となって今8歳の誕生日を迎えたのだった。

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