「再会」
「いやー、一時はどうなるかと思ったね。マジで。」
貞治の部屋で剛は景気付けにサイダーを飲む。
すでにアプリのレビューも済ませ、次はブログを更新するとのことだった。
『県道〇号線に出現した廃棄物の残骸は職員による撤去作業が先ほど終わり、
通行止めは一時解除を…』
「うわー、見ろよ。全国ニュースにもなっちゃってるよ。
ま、道中の防犯カメラとかに俺たちの映像も残っていないようだし、
本当のことがわかっても、あの生き物が悪いんだから大丈夫だな!」
スマホからダウンロードしたニュースを眺めつつ、剛はそう言うと、
コンビニの袋の中に入っているつまみが足りないことにケチをつける。
しかし、貞治も手持ちはそれほどないので抗議をした。
「え、マジ?追加買うほどの金ないの。うー、じゃあしょうがない。
俺も全然飲み足りないし、ちょっとコンビニに行ってくるか。」
そう言って、剛は部屋を後にする。
貞治は部屋の片付けも兼ねて立ち上がる、が…その時気がつく。
剛がスマホをそのまま置いていったことに、
その画面に映るニュースの映像にどこか違和感を感じることに。
貞治は剛のスマホを手に取ると、その画面をしげしげと見つめる。
それは数時間ほど前に剛と通った交差点であり、
廃棄物の撤去された道の端には、二人の命を救った道祖神があるはずだったが…
それを見た瞬間、貞治の背中を冷たいものが駆け抜けていく。
いや、そんなはずはない。だって、これが本当だとしたら…
不安にかられ、貞治はアパートの外に出る。
一刻も早く、これを剛に教えないと、
廃棄物と一緒に道祖神の石碑もなくなってしまっていると…
そして貞治は気づく。
目の前の電柱、そこにボロ切れのようなものが引っかかっていることに。
それが胸の真ん中に鉄パイプが刺さり、死んでいる剛だということに。
その鉄パイプの先には銀色の毛がぶら下がっていて…
次の瞬間、貞治の腹から何かが飛び出した。
それは角。赤い血に染まった一本の獣の角。
その背後には二つの目を光らせた人の顔が覗いていた…
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