子どもの頃、大人になるなんて想像ができませんでした。けど大人になってみるとそれはあまりにもあっけなく、自分が子どものころから大して変わっていないじゃないかということに驚きました。そして自分が高齢者になっても、おそらく今の自分とはそんなに変わらないのかもしれない、そういった思いを抱かせる小説です。
若者であっても高齢者であっても同性愛者であっても、大切な人を喪う悲しみや過去への憧憬というのは変わらずに心に迫ってくるのでしょう。
また本作ではBL(LGBTQ+)×高齢者というマイノリティにマイノリティを掛け合わせた、ある意味でとてもニッチな作品です。けれど実際には同性愛×高齢者という組み合わせは表になかなか出てこないだけで、実際にはかなりの数があるのではないのでしょうか。ネット小説の幅を広げるという意味で、こういったテーマの作品がもっと増えるとよいなと思っています。