174_ハーフラーメン

昔通っていたラーメン屋

あの店長はいなくなっていた

注文は全部券売機になっていた

流行りの有線音楽と古臭い店

アプリ登録で割引もあるらしい

外観は昔と同じ光景だったのに

中身は随分変わってしまったようだ



僕はバカにしていた普通と同じ値段の

ハーフラーメンのボタンを押した




僕はラーメンをすする



学生だった彼は奥さんと子供に

この店に通っていた頃の話をしている

強面の店長にビクビクしてた

弱い彼の顔は立派な父親になっていた



僕はラーメンをすする



電話で怒鳴り散らしてたおじさんは

穏やかなおじいさんになっていた

孫がこぼしてもニコニコして

あの笑顔が本当のあの人なのかな



僕はラーメンをすする



僕はあの頃と同じく一人で来ている

何も変わっていないと思ってるのに

ちょうどいいと思ったこの満腹感が

僕の変化を嫌でも伝えてくる

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