Chapter 51 はじめての指輪
へーい!!ユーチューブなどなどをご覧の皆さんこんばんはー!!異世界系実況配信でおなじみの凛くんでーす!!
えー、みなさんご存知の通り私はですね、今、絶賛逃亡中な訳なのですが、本日はですね、その逃亡中を実況生配信したいと思います!!いぇーい!!パチパチ!!実に新しい!!
え?そんな事したら特定されるんじゃないかって?ちっちっち。これだから素人は。この異世界にユーチューブなんて無いんですよ!!素人は黙っとれ!!
え?それならこの配信も誰も見れないんじゃないかって?うるせえ!!
とまあ。馬鹿をやるのはこれぐらいにして。
俺たちがヴィルトシュヴァインを出てから半日以上が経過した。日も暮れて辺りが暗くなって来たので野宿の準備をする事になった。辺りはちょうど森の中。意図的に人目のつかないルートで来た為ここにいる事になったが街道にいるよりはマシだ。行商人とかに見られるとすぐに広まるからな。用心に用心を重ねるぐらいでいかないと。
「さてと。テントも張り終わったね。」
生まれて初めてのテント張りだがキレカワの万能性によって瞬く間にテント張りが終わった。ルナとアナスタシアが慣れていた事が大きい。ルナは将軍なんだから軍隊的なサバイバル術は当然持っているだろうし、アナスタシアは貧乏生活で基本寝床はテントだから慣れてて当然との事だがなんか悲しい。ルキナは姫だからそういう心得は無いので薪拾いをしてもらった。みんなちゃんと役割分担が出来ていて効率がいい。
「それじゃご飯の前に見張りについて決めとこう。」
当たり前だがみんなで仲良くおやすみする訳にはいかない。寝ている隙に襲われたりしたら堪ったもんじゃないからな。絶対臭い男たちに代わる代わる輪姦され、飽きたら売られて奴隷になる。そんな事になったらもう終わりだ。用心は忘れない。
「とりあえず3人でローテーションにしようと思うんだ。2時間交代でさ。どうかな?」
俺は3人にそう伝えるとアナスタシアとルキナは首をかしげるがルナは頷いた。
「ええ、いいんじゃないかしら。」
「だよね。」
「え?なにがですか?」
「どうして3人なのですか?」
アナスタシアとルキナは理解できていないのか戸惑った感じで俺に質問してきた。ていうか普通わからんよな。キレカワの言葉が足りなすぎる。それで理解するルナが優秀すぎ。
「私とルナとアナスタシアの3人でローテーションなんだよ。」
「え?私は?」
ルキナが目をパチクリさせている。可愛い。
「ルキナはずっと箒を浮かせてたでしょ?早い話が魔法ずっと使ってた。途中休憩はしたけど基本的にずっと働いていた。ルドルフと同じだよ。しっかり寝て休まないと。」
「わ、私は大丈夫です!皆さんだって疲れています!私だけずっと休んでいる訳には…!!」
「ダメ。明日だってずっとルキナは魔法使うんだから。体調崩したらそれこそ大変だよ。」
「でも…」
「ルキナ、これはみんなの為になる一番の分担なんだよ。だから別にルキナを優遇してる訳じゃない。ルキナとルドルフには頑張ってもらうからこその睡眠なんだよ。」
まあそうだな。これに対して差をつける事はない。ルキナとルドルフには日中フル稼働してもらうんだからな。その為の補給は至って普通だ。何も遠慮する事はない。
「わかりました。私は私の出来ることをがんばります。」
どうやらルキナは納得してくれたようだ。納得してなくても納得させるけど。
「それじゃルキナは一番右のテントね。」
俺たちが建てたテントは3つある。え?なんで4つないのかって?馬鹿野郎そんな事もわかんねーのか?1人が見張りで外にいるのに4ついらねーだろ?
え?本当にそれだけかって?フッフッフッ、バレちゃあしょうがねぇな。3つになるという事はそれぞれ個室になるという事だ。それなら俺が見張りの時にルキナのテントに入ってレズセックス出来るだろ?
え?見張りしなくていいのかって?大丈夫じゃね?アナスタシアの探知スキルがなんとかしてくれんじゃね?そんな事より俺はレズセックスがしたいんだよ!!ムラムラしてしょうがねぇの!!ルナとお互いの穴という穴を触る約束したけど流石にここでレズセックスは出来ないもんな。ルキナにバレたらヤバそうだし。だから安心安定のルキナでレズセックスをするのだ。
しかしだな、ルキナは喘ぎ声が大きいからそこは懸念材料なんだ。興奮はするんだけどこの状況下ではそれがデメリットになってしまう。口を塞いでも漏れ出ちゃうよな。どうするか。音を遮断する魔法とかないんだろうか。そこはルキナと相談するか。
「私が最初に見張りをするよ。21時から日付変わる1時まで。その後にアナスタシアと交代。アナスタシアは3時まで見張りをしてルナと交代。ルナは5時まで見張りをして私に交代。7時にはみんな起きて朝ごはん。8時には出発って流れね。」
「いや、それダメでしょ。リンが休めてないじゃない。最初に4時間も1人なんて辛いじゃない。」
「別にいいよ?」
そうだ、いいんだよ。ルナとアナスタシアが完全に眠るまで1時間は様子を見る。ルキナとレズセックスに2時間。ピロートークに1時間だ。これが俺の出した最適解。
「よくないわよ。私とリンのスケジュール交換しましょう。」
ふざけるな。それはならん。2時間じゃダメだ。色々と無理がある。俺の行程を崩すでない。
「いいって。ルナには戦闘で一番頑張ってもらわないといけないだろうから休んでてよ。」
「それぐらい問題無いわよ。」
「私の事を心配してくれてるのは嬉しいけど本当に大丈夫。ルナの体力万全にしたいからさ。それにルナの体力万全なら私が移動中に眠くなってもルナに後ろから支えててもらえるでしょ。」
「そんなのいつだってしてあげるわよ。何よさっきから甘えちゃって。」
「フフ、もう少しで次女から脱却出来るね。」
「リン!!」
「私はルナになんとかしてもらえるけどルナの代わりは出来ないからさ。普通にルナのが強いと思うし。ね?だからこのスケジュールでやろうよ。」
「……はあ、わかったわよ。移動中眠くなったら寝なさいよ?」
「うん。ルナに抱いてもらうよ。」
「はいはい。」
おいキレカワ。あんまり調子に乗るな。というか言動を弁えろ。ルキナの顔を見てみろ。すげぇ怖いんだけど。親の仇みたいな目でルナ見てるよ。そしてそれに気づいたアナスタシアはさりげなく距離をとってドン引きの顔してるよ。このままじゃアナスタシア逃げそうなんだけど。
「それじゃ夕飯の準備しよーー」
「ーーブルルルル」
俺は声を止める。ルドルフが唸ったからだ。今まで誰かがしゃべっている時にそれをかき消すような事をルドルフはした事がない。何かあるのだろうか?それになんだかザワザワするっていうか人の気配がするような変な感覚がある。なんだろう。アナスタシアに探知機能あるんだから誰かいれば反応を示すはず。アナスタシアに反応は無い。やはり人の気配ではないだろう。
「どうしたのルドルフ?」
俺はルドルフの側に寄り頬を撫でる。だがルドルフは何かを警戒するようなそぶりと視線を俺におくってくる。やっぱ何かいるのか?
そう思っているとルナの雰囲気も鋭くなる。神魔の剣を抜き剣呑な気配を撒き散らし始める。
「何かいるわね。ルドルフはそれにいち早く気づいて知らせてくれたのよ。」
やっぱりか。凄いなルドルフ。有能すぎる。だがアナスタシアのレーダーにはかからないのはなんでだ?
「そんな…!?私の索敵の加護には何もかかってませんよっ…!?」
「隠密の加護を使ってるんじゃないかしら。対人襲撃用によく使う手だわ。」
隠密なんてものもあるのか。そうか、モンスターがそんな事してくるわけないもんな。ルナは対人戦経験者だからそれを知っているし、感覚でわかったのか。俺のザワザワした感覚はこれの警告だったのだろうか。クソ女神がくれたチートスキルの1つだと考えよう。
ルナの言葉に隠れている必要が無くなったと判断したのか人の気配が一斉に現れる。そして木々の間や茂みから男たちが姿を現わす。悪党だ。見るからに悪党だ。絶対盗賊団だ。ゴツくて臭そうな男たちが10人ぐらいいる。
「ヘッヘッへ!バレちまったんなら隠密使う必要ねえからなァ!」
「か、頭!?コイツらスゲェ上玉じゃないっすか!?」
「ホォ。こりゃスゲェ。こんな上玉見た事ねぇぜ。」
例のごとく品定めをしてやがる。なんとも気持ちの悪い視線だ。吐き気がする。だいたいこういうのって盗賊に捕まり慰みモノにされて性奴隷となるか、売られて性奴隷かだ。どっちも性奴隷しか道はないのか。それは嫌だ。逃げよう。性奴隷は嫌だ。いや普通にされたって嫌だけど。
「へへ!ネエちゃんたちよ、こんな人気の無い所に護衛も無しに女4人で来ちゃいけねえぜ?」
「そうそう!悪い男に攫われていやらしい事されちゃうぜ?」
馬鹿な男たちが馬鹿な笑い声で馬鹿笑いをしている。馬鹿極めてやがるな。クソキモい。でもどうしよう。相手の数が多い。それに囲まれている。逃げられない。俺が身を差し出してみんなを逃すしかないか。その後に首掻っ切って死ねばいいだろう。みんなには綺麗な身体でいて欲しい。俺が犠牲になればいいんだ。
「4人もいっからとりあえず3人ずつでヤれば一周は早く済むだろ。そのあとはまあいろいろと楽しもうぜ。」
「そっすね。」
「俺は猫人族の女がいいな。」
「俺は断然桃髪だ。女騎士とか興奮しかしねえよ。」
「俺は紅髪だな。なんか吸血鬼族っぽいのがイイぜ。」
「頭はどれっすか?」
「俺は生意気そうなツラした東方人の女だな。みんな味わいテェがコイツみたいな生意気なツラを歪ませて屈服させるのが最高にこうふーー」
ーーズッドォーーン
うん。爆発だね。凄まじい勢いで爆発したね。何が起こったか説明すると、盗賊団の頭が喋ってると爆発したわけよ。え?よくわかんないって?いやー、察してくれよ。爆発させたのはルキナだよ。魔法使って頭を爆散させたの。
「……この虫ケラが。リンさんに劣情をもよおすなど許し難き行い。その命を持って罪を償え。」
え、何このヴァンパイアガール。口調も変わってんじゃん。臆病なんだよね?臆病のおの字もないんだけど。もう殺戮姫みたいになってるよ。ほら、また盗賊団の奴が爆散した。そこら中に肉片飛んでるし。よくこんなフランメ連発してるのに森に火が移らないね?ていうか森にダメージ無いのがすごいんだけど。俺って自然好きだから森林伐採とか好きじゃないからそれはありがたいんだけど普通に違和感ある。なんかの加護なんだろうか。いや、それよりルキナか。よく考えたら詠唱?って言えばいいのか?フランメって唱えてないのに連発してんじゃん。
「…凄いわね。ルキナってこんなに強いの?」
流石のルナでもルキナが凄いと思うのか。ならルキナの実力は普通に通用するということだ。自信はあったけど確信に繋がったな。これならいずれスノウフレイクを取り戻す事も不可能ではないかもしれん。
「これぐらいルキナなら普通だよ。」
「リンの魔法の威力も大概だと思うけどルキナのは異常じゃない?アレでフランメでしょ?それに詠唱破棄に魔法陣破棄までしてるし。」
やはり詠唱破棄でいいのか。魔法陣破棄でもおかしいみたいなのに詠唱破棄なんて完全に異常なんじゃないだろうか。アレってブチギレてるから出来てるのか?それならルキナをキレさせるとヤバいってことだよな。ルナとかアナスタシアに手を出したら俺はどうなるんだろう。
「ルキナちゃんは元々の才能もありますけどSS級装備である神々の衣を装備しているから魔力の上昇の効果を得てますからね。」
「え、SS級!?そんな物持ってるの!?」
「はい、リンちゃんが持ってたのをルキナちゃんにあげたんです。」
ルナがとんでもないものを見るような目で俺を見る。そんなレア物をポンポンあげちゃうのはやはり頭おかしいと思われるのだろうか。
「あなた、なんでそんな高ランク装備を2つも持ってるのよ…。それにSS級って…。それもなんであげちゃうのよ。」
「別に私に必要ないし。それにルナとルキナにあげるんなら別に良くない?」
ルナが大きく溜息をつく。アナスタシアも苦笑いをしている。
「そういう所がリンの良い所なのはわかるけど。なんか色々とデタラメよね。」
「そうかな?あ。そういえばアナスタシアには何にもあげてないよね。ごめんね。どうしよう。他には何にもないからなぁ。」
「い、いえいえ!私はもうリンちゃんから十分にもらってますからっ…!」
「ご飯しか食べさせてないじゃん。んー、困ったな。あ。じゃあコレあげるよ。この指輪。」
キレカワが勝手に右手の薬指にある指輪を外す。鑑定とかしてなかったけどこの指輪も初期装備だったよな。あとマント。指輪とマントもレアアイテムなんだろうか。
「いいいっ…!?だっ、大丈夫です…!!いらないですっ…!!!」
アナスタシアがどこかを見ながら全力で拒否っている。爆音の威力が上がった気がするが気のせいだろうか。
「遠慮しないでいいよ。アナスタシアにはお世話になってるんだから。ほら、手、出して。」
「ひいいっ…!?本当に大丈夫ですっ…!?いらないですぅっ…!?」
「まったくアナスタシアはすぐ遠慮するんだから。」
キレカワがアナスタシアの手を取って無理矢理指輪をはめようとする。
「な、なんでよりにもよって左手なんですかっ…!?」
「別にいいじゃん。」
そらどうせなら左手にはめるわな。俺のモンだぞ、って所有欲を満たす為に。
「よ、よくないですよっ…!?ひいいっ…!?こっち見てるぅぅ…!?」
「アナスタシアうるさい。少し黙ってて。よし、はまったね。」
うむ。立派な結婚指輪だな。そのうちルナとルキナ用に指輪を手に入れよう。もちろんしっかりとした豪華な感じのやつを。
「えっ…!?なんか取れないんですけどっ…!?あわわわ…!?これ呪われてませんかっ…!?」
アナスタシアもはしゃいじゃって嬉しそうだ。これでみんなに均等に装備をあげられたからよかった。
「お腹すいたしご飯食べよっか。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます