Chapter 46 女神との契約
俺は3人を見る。さっきの冗談の化石化とは違って本当に化石化してるように動かない。なんだ?どうなってんだ?一気にここで全滅とかやめてくれよ。せっかくここまで転生してきてこんな可愛くて性格いい3人見つけたんだ。これで終わりとかやめてくれ。
『だから身構えなくてい〜って。なんにもしないから。』
このクソ女神の半笑いが信用できねえ。醜悪って言葉が似合う奴もなかなかいねぇぞ。見た目だけなら喜んで抱くようなレベルだが絶対お断りだ。頼まれたってこんな女は抱きたくない。それぐらいの嫌悪感をコイツからは感じる。
『信用ないんだねぇ。誰が転生させてあげたと思ってるんだか〜。』
「……本当にお前が俺を転生させたっていうのかよ。」
俺が反応を見せたのが嬉しいのか女神ヴェルダンディはその顔を満面の笑みに変える。だがやはり俺には醜悪さが際立ったようにしか感じられない。心底気味の悪い女だ。
『そうだよ〜。私がキミをここへ転生させてあげた。』
「……何の為に?ていうかアナスタシアたちに何をした?」
『この子たちには何もしてないよ。ただ時を止めているだけ。』
やっぱそうか。物音すらしないのは変だと思ってた。まだ夜の8時過ぎ。外はそこそこ賑わっている。その音がパタリと消えたのは明らかな違和感。アナスタシアたちを見ても時間を止めたと考えるのが妥当だと思った。
「危害は加えないんだな?」
『ちょっとちょっと〜、私女神なんだけど〜?罪もない人間を玩具みたいにしたりしないわよ〜。』
……胡散臭え。その薄っぺらい笑顔が本当に胡散臭え。そもそもコイツが本当に女神なんだろうか。悪魔の可能性だってあるよな。簡単に信用なんて出来ないだろ。
だが、今確実に言える事はコイツが人外の存在って事と俺の転生状況も知ってるって事だ。機嫌を損ねたら殺されるかもしれない。慎重に話を進めよう。
「……それで?何の為に俺を転生させた?」
『キミが異世界転生とやらを願ったんじゃないか。だから私はそれを叶えてやった。』
「誰も美少女で、なんて言ってねえよ!!俺は男で転生したかったの!!ハーレム作りたかったの!!」
『アハハハハ!!美少女にしてあげたんだから男ハーレムを作ればいいじゃない〜?その見た目なんだからエルフや竜人だってモノにできちゃうよ〜?』
この野郎……人が下手に出てりゃいい気になりやがって。
『冗談、冗談。そんな怖い顔しないで〜。』
「……だから何の為に俺を転生させたんだ。まさか本当に優しい優しい女神様はブサイクインキャの俺を憐れんで願いを聞き入れてくれたってか?」
『まっさか〜。私だってそんなに暇じゃありまっせ〜ん。目的があってキミをここに連れて来ました〜。』
「どうせそんなこったろーと思ったよ。なんだよ目的って。」
『結論から言うね〜。龍神殺して欲しいの。』
「………は?」
『だ〜か〜らぁ〜、龍神クズリューを殺して欲しいの。』
「それって俺が会いたい龍神様の事言ってんのか…?」
『そうそう。それそれ。』
「ふざけんな!!龍神殺したら男になれねーだろーが!!お前のせいでこうなってんだぞ!!」
『バカだねぇ〜凛くん。クズリューに男に戻してもらってから殺せばいいじゃ〜ん。』
「……俺はそんな恩を仇で返す真似はしたくねぇ。」
『え〜、私にだって恩があるでしょ〜?』
「だったら自分でやれよ!!女神なんだろ?」
『私はこっちの世界にあんまり干渉出来ないんだよねぇ〜。クズリューの力が強過ぎてさぁ〜。だから凛くんにやってもらおうって。』
どうせ碌でも無い事だとは思ったが本当に碌でも無かった。なんでそんな面倒な事をしなきゃなんねぇんだよ。大体からして龍神って神なんだろ?神なんてそう簡単に殺せる訳が無い。それなのにコイツはそれをやれってか。冗談じゃない。殺されんのが目に見えている。やめだやめだ。俺はのんびりと過ごすんだ。それに龍神に願いを叶えてもらったのに殺すなんて恩知らずは出来ない。ピ○コロ大魔王じゃあるまいし。
「んで?」
『ん?』
「それを断ったら俺を殺すのか?」
『え?断るの?』
「いやいや、考えてくれよ女神様。俺が龍神を殺すメリット無いじゃん?メリット無いのにそんな裏ボスみたいなのと戦えって言ってもやらないよね?つーか死ぬよね普通。」
『あ〜褒美が欲しいのね!それじゃクズリュー殺したら私のカラダ好きにさせて、ア♡ゲ♡ル♡』
「いや結構です。」
『え〜酷くない!?私これでもルックス限界突破してる美貌なんだけど!?』
「俺にはアナスタシアもルキナもルナもいるんでいりません。そもそもお前タイプじゃない。」
『ひっど〜い!!』
「じゃあもう帰って下さい。」
話を終わらせよう。コイツ頭緩そうだからなんとかなるかもしれない。とっとと帰ってもらおう。俺と話してても時間の無駄だ。他の転生者を見つけてくれ。
『そっか〜。凛くんはやってくれないか〜。』
「やらないやらない。はい、帰って帰って。」
『わかった〜…。それじゃ凛くんたち殺して帰るね〜。』
……………今なんて言った?
「今ってなんて言った?」
『凛くんたち殺して帰るねって言ったんだよ。』
空気が変わったのがわかる。冗談なんかで言ってない。本当に本気でコイツは言っている。まて、落ち着け。話し合いだ。話し合ってなんとか穏便に済まそう。
「え、なんでそうなるの?そんな事する意味なくない?」
『だって凛くん生かしておくメリットある?メリット無いのにそんな無駄に生かしてても仕方ないよね?』
やり返してるつもりかよ。そうやって怒鳴りつけてやりたいが無理だ。確実にコイツには勝てない。
「……汚ねえぞ。そうやって無理矢理言う事聞かせる気かよ。」
『アハハハハ!!それはしょ〜がないじゃ〜ん!!』
「……どうせ龍神殺したら俺も殺すつもりだろ?」
『しないしない。』
「……どーだか。」
『はぁ〜。凛くんさぁ〜なんか誤解してない?別に私は悪い奴じゃないよ〜?クズリューが悪い奴だから殺して欲しいの。』
「……どう言う事だよ?」
『クズリューはね、邪神を復活させようとしてるの。』
「邪神…?」
なんだっけそのワード。どっかで聞いた事あるような。
『そうそう。邪神を復活させると良くないんだよね。私に非常に都合が悪いの。当然この世界にとっても都合が悪いよ?多分この世界終わるだろうし。』
「滅亡って事かよ?」
『そうなるねぇ〜。そうなったら凛くん困るでしょ?アナスタシアちゃんもルキナちゃんもルナちゃんもみ〜んな死んじゃう。』
「……どっちにしても俺ら死ぬんじゃねぇかよ。ここで断ったらお前に殺される。断らなくてもクズリューだか邪神だかお前に殺される。」
『だ〜か〜ら〜、クズリュー殺してくれれば凛くんたちは殺さないって〜。』
「それを信じろって?どっちにしても死ぬんなら潔くここで死ぬかワンチャン邪神にでも取り入って手下になった方がマシじゃね?」
『つまり凛くんは何が言いたいワケ?』
「保証をくれって事だよ。お前に従ってクズリュー殺せば俺たちを絶対殺さないし、のんびり俺のハーレムライフを送れるって保証。」
『ハーレムライフって。凛くん最高に屑だね。』
「ほっとけ。俺はその為に異世界転生してんだよ。」
『ま、私はクズリュー殺してくれればなんでもいいけど。よし、それなら契約を交わそう。神と人における契約。』
「契約って。そんなもん破棄されたら終わりだろ。」
『凛くんの世界での話と一緒にしちゃダメだよ。こっちの世界では契約は絶対。それを破棄する事は出来ない。破棄をすれば死ぬという術式をかけての契約にすれば良いよ。そうすれば神であろうと絶対に破れない。』
……それだって本当に信じられる話では無いだろう。俺はそんな事知らないんだからコイツが適当な事を言っていてもその真偽を確かめる術はないんだ。
だからといってもどうしようもない事は確かだ。俺にコイツを殺す手段は無い。それならここでは一旦コイツに従うスタンスを見せるしかない。
「……わかった。それで手を打とう。」
『さっすが凛くん!愛してる♡』
「俺はお前の愛なんか欲しくねえ。」
『テレちゃって〜。それじゃちゃっちゃとやっちゃおっか。手を前に出して。』
「こう?」
女神に促され手を前に出す。俺が手を出すと女神も手を前に出し、俺の手の平に手を合わせた。すると魔法陣のようなものが浮かび上がり、半透明の幾何学模様のような輪っかが俺たちの手の周りに集まり出す。
『我、女神ヴェルダンディは、汝、人である渡辺凛と契約を交わす。渡辺凛が竜神クズリューを殺すならば渡辺凛の身の安全は保証し、その所有物となるであろう女共に対しても安全を保証する。もし、女神ヴェルダンディがその契約を違えるならば女神ヴェルダンディの命が消える事をここに誓おう。』
女神の口上が終わると同時に輪っかが一気に凝縮し俺たちの手に絡みつく。痛みは無い。痛みが無いどころか触れられている感じすらない。そんな感想が頭を駆け巡っている間に輪っかが俺たちの手の中へと消えていった。俺はそれを見ると女神と触れている手を離して輪っかがどこにいったのか自分の手を触って確認をする。
「なんだなんだ!?輪っか無くなったぞ!?これ大丈夫なの!?呪いじゃないだろうな!?」
『それが契約の印。これで私が凛くんたちを殺そうとしたら私が死んじゃうってワケ。どう?これならいいでしょ?』
「……まあ、いいけど。」
どっちにしろこの女神を信じるしかないからな。俺に拒否権は無い。
『それじゃヨロシクね〜。あ、そうそう!凛くん資金必要でしょ?手持ち少なくなって来てるだろうし。何よりルナちゃんにも金貨あげるつもりでしょ〜?』
「しっかり見てやがるんだな。」
『そうやって悪態つかないでよ〜。私たちは運命共同体なんだから〜。』
「嫌な運命共同体だな。」
『そんで〜、はいコレ。』
女神が俺に上等な布袋を手渡してくる。中を見ると金貨が入っている。ひー、ふー、みー……50枚近くあんじゃないのコレ。
「何コレ?こんなくれんの?」
『ヴィルトシュヴァインから逃亡するなら資金必要でしょ〜?私からのサービス♡』
「ま、ありがたくもらっておくわ。つーかさ、そのクズリューってのどうやって倒すの?てか倒せんの?確かに俺強いけど。」
『あ、全然ムリだね。』
「なんだそりゃ。」
『正直凛くんにはチート能力つけておいたけどまだまだレベル足りないかな。』
「やっぱチート能力つけてんのかよ。」
『当然でしょ〜。』
「因みにどんなやつ?」
『1度装備したらその装備の能力を全て吸収するってやつ。だからもう神魔の剣も神々の衣の能力も凛くんに加算されないから他の子にあげちゃいなね〜。』
「やっぱそーだったのか。多分そうだと思ったんだよ。ルキナに神々の衣着させても俺の能力変わってない感じだったし。でもそれなら超お得じゃん。」
『ただし、ドラゴンシリーズの装備は取れないから注意してね〜。』
「何それ?」
『ドラゴンの名前が冠された武器と防具がドラゴンシリーズって呼ばれてるんだよね〜。でさ〜、そのドラゴンシリーズってクズリューの加護が効いてるから私の加護効かないワケよ〜。だからそこだけ気をつけてね〜。』
「ふーん、なんだかわからんけどとにかくドラゴンシリーズってのはダメなのね。覚えとく。他にはチート能力ないの?」
『後はセミオートで戦闘はこなすってのと、身体能力が超絶級設定なのと危険察知かな。』
「セミオートなのは自覚あるけど危険察知ってなんだ?」
『勝てない相手と出くわしたら拒否反応が起きるってやつだね〜。自覚ない?』
「あー、ある。さっきお前で体験した。」
『ひどいな〜。こんなか弱い美少女女神をつかまえて〜。』
「よく言うわ。あとアレだな。ザイル将軍。それとルナとジュノーでも似た感じ出た。」
『ザイル将軍?ああ、カイゼル・アイゼンフートの事か。そうだね〜、その3人には凛くんはまだ勝てないから戦わないでね〜。まあルナちゃんとは戦わないけどさ〜。』
「一応確認したいんだけどルナって実際どんぐらい強いの?」
『ルナちゃんは相当強いよ〜。大陸で5本の指に入るだろうし、この世界でもトップ20には入るだろうね〜。』
それって凄いのか?結構微妙なんじゃないだろうか。まず世界と大陸ってどゆこと?ヨーロッパ王者みたいな感じ?
「あんまりよくわからないんだけどそれ凄いの?」
『凄いよ〜。あ〜、凛くん基準じゃわかりにくいか。あのね、この世界って8つの大陸から成り立ってるのね、それで〜、1つの大陸が地球と同じぐらいの規模だから凄いよ〜。』
「は?なにそれ?そんな広いのココ?ヤバくね?」
『ね〜!ヤバいよね〜!』
そんな世界の中でルナは世界ランキング最低20位って事か。ヤバいな。ルナには俺を守ってもらえるぞ。あのエロい身体で俺にご奉仕した挙句に武力でも貢献とか最高すぎじゃん。
『あとは凛くんにはハーレム要員?っていうか仲間?のパワーアップも出来るんだよ。』
「どういう事?バフって事?」
『そんなショボいのじゃないよ〜。永遠に力をグ〜ンって上げちゃう感じ?みたいな?』
「え、なにそれ。すごくない?」
『でっしょ〜?』
ヤベーじゃん。ナ◯ック星の最長老さんが使えるようなやつって事か。みんなレベルアップみたいな感じじゃん。
「それどうやって使うの?手を頭の上に乗せて力を引き出すみたいな?」
『これね〜、凛くんの体液飲ませればいいんだよ〜♡』
「………は?」
今コイツなんて言った?体液とかなんとか言わなかったか?いや、いくらなんでもそれはないだろ。仮にも女神なのにそんなゲスい設定持って来ないよな。
『あれ?わかりにくかった?精子だよ精子。精子飲ませればいいの。所謂ゴックンだよ〜♡』
「ゲスい事言ってるよこのクソ女神!?」
『あっ、ごっめ〜ん♡凛くん女だから精子出なかったね〜♡ヴェルちゃんうっかり〜♡』
「やかましい!!お前のせいだろ!!」
『でも大丈夫!!凛くんの愛液でも大丈夫だから〜♡だから誰かにクンニしてもらいなね〜♡』
「なんでお前と下ネタやらなきゃいけないの?お前ホントクソ女神じゃない?」
『え〜、どうせ凛くんルキナちゃんとレズセックスしようとしてたんだから良くない〜?』
「お前人の頭の中覗くのやめてくんない!?プライバシーないの!?」
『でも凛くん一応神として忠告しておくけどレズセックスはルキナちゃんだけにしておきなね〜。あの子こういっちゃなんだけどヤンデレでしょ?凛くんがルナちゃんとかアナスタシアちゃんとレズセックスしたら間違いなく刺してくるよ?』
「急にマジな感じやめくれる?それとレズセックス連呼すんのもやめて。てかそれならルキナしかパワーアップ出来ないじゃん。」
『体液だから別にキスとかでも平気だよ〜♡』
「なら別にクンニさせなくてもいいよね!?なんで言ったのお前!?」
『てへぺろ♡』
「全然可愛くねーよ。ブン殴りてえだけだわ。」
『凛くんならわかると思ってからかっただけなのに〜。だって凛くんはルキナちゃんに体液飲ませてるでしょ〜?』
「はあ?まだなんにも飲ませてねーわ。」
『毎日血を飲ませてるでしょ〜?』
「あー……それも有効なわけね。だからルキナの魔法の威力が強いのか。神々の衣だけのせいじゃなかったのね。」
『もちろん血じゃ上昇率は低いけどね。唾液も。やっぱ精子でしょ♡凛くんには無いけど♡』
「やかましい!!でも愛液なら強いってわけか。んー、まあなんとか考えるか。」
そうはいうがルナとアナスタシアともしたい。アナスタシアはかなり難しいかもしれないが時間をかければ可能性はある。だがルナならなんだかんだで雰囲気でもっていくかお願いしまくればいけそうな気がする。それに身を守る為にはルナの力を上げる必要があるからな。ルナを強くしておけば基本問題無い。ザイル将軍だって凌ぐ可能性がある。それならそれは邪なレズセックスではない。みんなの為にするだけなんだ。ルキナにバレたらそう言おう。うん。
『それじゃそろそろ時間だから最後に確認ね。凛くんにはクズリューを殺してもらう。その期限なんだけど5年以内によろしくね。』
「おい期限付きかよ。てか微妙に長いな。」
『まあね〜。何より凛くん1、2年は東方に行けないでしょ。』
「え?なんで?」
『凛くんさぁ〜、頭悪い?キミ、ヴィルトシュヴァインのお尋ね者だよ?それにルナちゃんはギュルテルティーアからも追われてる。この大陸にいるなんてムリでしょ?』
「一気に東方突っ込めばいいんじゃね?」
『凛くんナメすぎ〜。ヴィルトシュヴァインの関所どうやって通過するわけ?凛くんとルナちゃんがいくら強くても圧倒的な数の前には平伏す事になるんだよ〜?それに関所抜けたとしてもクズリューにどうやって勝つの?』
「ルナになんとかしてもらう?」
『あのね〜、ルナちゃんは確かに強いけど神に勝てると思ってる〜?ハッキリ言うけどルナちゃんって加護の力とか全然使いこなせてないし使ってないっていうか気付いてないのもいっぱいあるからね〜?そんなナメプしててクズリューに勝てるわけないでしょ〜?』
裏返せばそんな状態でクソ強いルナって化物じゃないだろうか。
『それに装備も揃えないとね〜。何よりルキナちゃんもアナスタシアちゃんも雑魚すぎ〜。クズリューの尾に触れただけで死ぬよ〜?特に凛くんなんて個人ランクまだ2だしね。』
「ええっ!?どういう事!?」
2!?レベル2なの俺!?そんな馬鹿な……。だって俺結構バトったよ?実力者とバトったんだよ?マンティコアとかクソメガネとか帝国の副官とか。それなのに2って!?40ぐらい一気に上がったと思ったぐらいなのに!?
『凛くんのステータスって異常に高いからその分レベル上がりにくいんだよね〜。いくらヴェルちゃんが超絶可愛い女神でもクズリューの力が及んでいるこの世界じゃそういう制限受けちゃうのよ〜。』
「完璧なチートはダメって事か。」
『そゆこと〜。だからとりあえず凛くんはランクと装備を整えるのが当面の役目だね〜。』
「わかった。で、ドコ行くのがオススメ?」
『私的には南かな〜。』
「んじゃ北に行くわ。」
『何それ酷くない!?』
「だってお前信用ならないし。俺の事殺す気満々だったし。」
『それはしゃ〜なくない〜?ま、いいや。凛くんとはこれから親愛度を深めていけばいいしね〜♡』
お前みたいな信用できない奴と親愛度なんか深まるわけねーだろ。
『あ、それと凛くんが自殺してこっちに転生したのは誰にも言っちゃダメね〜?異世界から来たのは言ってもいいけど〜。転生させるのは私しか出来ないからクズリューに聞かれると厄介だからさ〜。うっかり喋ったら殺すから気をつけてね〜♡』
「……わかったよ。」
やっぱコイツってコレが本性なんじゃねえか。さっきの契約だって穴はあるぞ。俺がクズリューを殺す寸前まで持ってったとしよう。その時にこの女神か、その配下みたいな奴が俺を殺して掻っ攫う事は出来る。契約内容は俺がクズリューを殺したら、って条件下だ。俺がクズリューを殺す前ならコイツは俺をいくらでも殺せるんだよ。
それに俺がクズリューを殺しても女神じゃなくて別の奴なら俺を殺せる可能性がある。間接的にっていうのは条件外じゃないだろうか。
……クズリューだけじゃなく女神を倒す手段も備えておくべきだ。俺がクズリューを殺せるなら女神も殺せる。それなら神は殺せないってルールは無いはず。
幸いにも時間はある。その間に対策を考えよう。
『それじゃまた会えるようになったら会いに来るね〜♡またね凛くん♡』
女神が不敵な笑みを浮かべながら姿を消す。すると先ほどまで止まっていた時が動き始めた。アナスタシア、ルキナ、ルナの3人も何事もなかったかのように命の鼓動が感じられる。俺は安心という気持ちと同時に女神ヴェルダンディに対する不安を感じていた。
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