サーヴァント×マスター

エルシオン

そして、彼の日常は終わる

「はぁー……」


昼休み。

午前のカリキュラムを終え、購買のパンを食べていた。

すると、一緒に食事をしている友人がスマホを手にしながら溜息を付く。

深刻そうな顔をしていた為、何事かと問い掛けることにした。


「どうしたんだ?」


「今ハマってるソシャゲーで、今月一万も消費してな……サイフがピンチなんだよ」


また溜息を付く。

高校生で一万はかなりの額だ。

確かアルバイトをしておらず、毎月親から小遣いを貰っていると言っていた。

そして、今はまだ半月しか経っていない。

そりゃ辛いな。


「だから、昼はそれだけのか?」


友人の昼飯はカロリーメイツと言う栄養食だけだった。

ちなみにチョコ味だ。


「まあな」


「……俺のパンをやろう」


「マジすか!? ありがとうございます!!」


声が大きい。

周囲が何事かとこちらに視線を向ける。

だが、すぐに各々していたことを再開していった。


「それにしても、一万も使うくらい面白いのか?」


「当然!」


即答しやがった。

まあ、一万も使うくらいだもんな。

興味が無ければそんなに課金しない。


「何をやってるんだ?」


「Girls Warriorってスマホゲームだ。知らないのか?」


「そう言えば、CMやっていたな……」


美少女育型のソーシャルゲームアプリらしい。

確かCMでは一千万ダウンロード突破したと言っていた。


「仲間になる女の子がみんな可愛くて、ついつい課金しちゃうんだよ~」


「画面内で同じことしか言えない登場人物の何処が良いんだ?」


「……それは俺以外の奴に絶対うなよ。ボコボコにされるから」


「言わねぇよ。お前だから聞くんだ」


コイツなら襲って来ても確実に返り討ちに出来るからな。


「お前をもやってみろよ。そうすればこのゲームの魅力が解るからさ」


「……まあ、そのうちな」


と軽く受け流してコロッケパンを一口。

この学校のコロッケパンはやはり美味しいな~。






帰宅後。

風呂の電源を入れ、沸くまでリビングにあるソファーでくつろぐ。

両親が結婚記念日の旅行に行っており、現在一人で暮らしている。

故に炊事や洗濯などを自分でやらないといけない……多忙である。


「ん? これって……」


テレビを付けると、件のゲームのCMが流れていた。


「あの時は軽く受け流したが、やってみるのも悪くないか」


取り合えずダウンロードだけでもしよう。

そう思った俺はポケットからスマートフォンを取り出し、それを操作し始めた。


「えっと……これだな」


インストールと書かれているボタンをタップする。

Wi-Fiで繋いでいるから、すぐに終わると思っていた。

だが、中々終わらない。

何故だろうか?


「ふぁ~……なんだか……眠く……」


急な睡魔に襲われた俺は、バタンと倒れる。

そして、そのまま意識が消え失せてしまった。







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