第6話帰り道

その帰り道。


わたしの心は達成感で満たされていた。


今まで、人に嫌な思いをさせないように(自己保身もあったように思う)気を遣い、言いたいことは全て飲み込んで生きてきた。


上司に反発したのはこれが初めてだ。


不思議なことに、後悔は微塵もなかった。


乗換駅まで行き、家まで一駅分歩いた。


綺麗な夕焼けが見えた。


空なんてここ数年、ちゃんと見たことがなかったかもしれない。


わたしは大きく息を吸い込んだ。


これで自由になれる。


いつ退職できるのか否かも分からなかったけど、清々しい気分で家に着いた。


その日は久しぶりによく眠れた。




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