第4話仕事
ところで、わたしの仕事だが、
接客業をしていた。
アルバイトで入社して、
あれよあれよというまに、
中間管理職まで昇格した。
学生時代は引っ込み思案で、人前で何かを話すことなんてできなかったので、まさか自分が人の上に立つ立場になるとは想像できなかった。
でも、仕事を任され、期待されることは嬉しく、やり甲斐も感じていた。
人前で話すことも平気になり、自分の成長を実感するのも楽しみの一つだった。
状況が変わったのは、エリアマネージャーを任されてからである。
今まで、部下が5名だったところが、40名近くを管理することになった。
各店舗を周り、スタッフから話を聞き、問題があれば改善する。
その、スタッフから「話を聞く」と言うのが問題だった。
だいたい、上がってくる話と言えば、Aさんが嫌だ。BさんとCさんが上手くいっていない…等、人間関係に関することがほとんどだった。
そして、マイナスな感情を持っていたスタッフを試行錯誤してなんとか前向きに持っていったところ、上司が、いらない指導を入れたお陰で、モチベーションが元に戻り退職になってしまったこともあった…。
もちろん、人の噂話を聞くのが好きな人もいるだろう。
しかし、わたしにとっては、それが苦痛だった。
毎日毎日浴びせられる不満の数々、朝晩、休み関係なく来る電話とメールの嵐。
責任者になれば、そんなの普通と言われてしまえばそれまでだけど、わたしのキャパシティを超えるのには十分な理由だった。
「マイナス」な感情や言葉に包まれて仕事をするって、本当に本当に辛い。
もちろん、現場にいた時にも、お客様対応で、苦労することも嫌なこともあった。
その分、「ありがとう」という言葉に救われることも多かったし、お客様が笑顔になって下さるのがやり甲斐となっていた。
そのうち、メールや電話が鳴ると、動悸がするようになり、携帯を開くのも嫌になっていった。
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