第233話 深刻

「むぐ……むぐ……」


「めちゃくちゃ可愛いね……」


「だよなぁ」


 ご飯を食べていたらイリスは寝てしまった。ご飯は全部残さず食べたあたり本当にお腹が空いていたのだろうしなんだったら寝ながら食べていたまである。そして寝てしまったイリスはもうゆすっても起きなかった。


 仕方ないのであかねと共に下に降りようと思ったがあかねも眠いから今日は休むとか言い出す始末。いやそんなこと言ったら俺だってねむ……くはないな。俺はめちゃくちゃ元気だわ。薬物やべーわ。


「というわけで、おやすみキミヒト君。今日は他の子可愛がってあげて……」


「おいおい」


 というわけであかねはイリスを抱きしめて寝てしまった。イリスの抱き心地は凄く良いからよくわかるが、俺一人であのメンツの中に入っていって説教されろって? ……ん? よく考えたらやべーのフラフィーだけじゃん。余裕かよ。


 イリスが俺にくっついていた以上クロエはそこまで不満はないだろうし……おお、考えれば考えるほど刺されるだけで済むわ。おっしゃ、ここは全力でスキル発動してフラフィーの攻撃耐えてみようかな。


「それじゃ二人ともおやすみ」


 規則正しい寝息をあとにして、食器を持って食堂に降りて行った。みんなは食事が終わったら部屋に来ると言っていたが、イリスは裸だ。流石にまずいと思ったので俺がみんなに合流することにした。


 あかねとイリスは今日おやすみさせる予定だしこのまま行けばいいだろう。みんなの装備……といってもまともな装備あるの俺とフラフィーだけだけど、装備は一応渡して置いた。俺が離れるなら各自が持っていないと意味ないからな。


 というわけでテキパキと働いているティティを見つけて声をかける。


「ご馳走様、ティティ」


「はーい。ってあれ? みなさん行くって伝えましたよね?」


「ああ、二人はまだ眠いって言うから俺だけ先に来たんだ」


「そうだったんですか。起こしちゃってすいません」


「謝らなくていいよ。こっちこそ食事持ってきてもらってありがとな」


 ティティと頭の下げあいしてるのなんか楽しい。というか非常に和む。これが本物のロリだよ。これが少女ってもんだよってみんなに教えてあげたい。うちのロリ達はやれ包丁だやれ身体強化だやれ催眠だと物騒極まりないからな。可愛いのは間違いないけど。


 つかの間の癒しを堪能できたのでより覚悟が固まった。


「よっし、戦場に行ってくるよ。ありがとなティティ」


「はい? どういたしまして?」


 ちょっと困った顔のティティに見送られて一際ロリロリしいテーブルへ向かう。朝の混んでいる時間からは少し外れているのでテーブルにはそこそこ空きがある。その中でもぱっと見身長の低さが際立っている尋常じゃないグループ。


 実年齢の合計に関してなら間違いなくトップだろうが見た目の小ささでも間違いなくトップ。身長百五十くらいしかないフラフィーですらちょっと大きく見えるレベルだからなあそこのロリ達は。


「よっ。みんなおはよう」


「おはようキミヒト」


「おはようございますキミヒトさん」


「お兄ちゃん、おはよー」


 正直開口一番フラフィーの質問攻めにあう事も覚悟していたのにそんなことは全くなかった。というかテーブルの雰囲気がちょっとだけ暗くなっているのはどういうわけだよ。


 俺に挨拶を返したロリ達はそのまままた無言タイムに突入する。いや俺もまぜてくれし。俺だけ状況把握してないと中々珍しい状況だと思うんだけど。というわけで気になったので聞いてみよう。


「どうした?」


「実はね、お兄ちゃん。ちょっとまずいことが起きてるかもしれない」


 ほう? めぐが不味い事って言うと相当やばい事なんじゃないのこれ。だって普通ならめぐの力を持ってすれば大体のことが処理できる。伊達に不正行為働いて女神の力持ちこしてない。


「ねぇお兄ちゃん、私がこの世界を維持していたって話したじゃん?」


「なんかそれっぽい話してたな」


 女神の力によって世界は守られているが、魔王によって滅ぼされると世界が壊れ不味いことになるみたいな感じだったはず。正直な話めぐが仲間になってくれたことが嬉しいのでその辺の話ふっとんじゃったわ。


「……別にそんな重要って程じゃないからいいんだけどさ。それでさ、私の力で守ってた場所があったんだよね。というかどの世界にも必ず封印されてる場所みたいなのがあるんだけど」


「つまりその封印が解けそうって事?」


「うん。端的に言うとそう。そんで場所ここ」


 わーお、話がスムーズ過ぎる。どうやら世界にとって害のある存在は結構いるみたいだ。その最たるものが魔王ではあるが、めぐが神獣を使っていたように、魔王も魔獣と呼ばれる強力な魔物を生み出していた様だ。


 それでその魔物は生まれた瞬間女神の力で強制退場。女神が世界の生物を殺すのは世界を統治するという目的から外れるという決まりもあるようなので封印が限界らしい。


 しかしその封印のやり方も人に力を与えて封印してもらうというものらしい。丁度俺が女神様から直接看病のスキルをもらったみたいな感じで、選ばれたものにスキルを与えていたらしい。


 そして今回は世界を統治していためぐがいないのでその封印の力が著しく弱まっている。魔物を倒す力をその辺の人にも与えるわけにもいかないし、結構どうしようもない感じらしい。


 めぐの力が世界から取り除かれた影響で魔獣が復活。なんかこれ聞くと魔物の活性化も凄い進んでるような気がするんだけど……。


「だからみんな深刻な顔してたのか。その封印っていつ頃解けるの?」


「明日」


 もっと早く気付いてくれ。


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