第128話 準備もかなり必要

 というわけで水のダンジョンに向かう。みんなで向かうことになったけど結構人数増えてきてフォーメーションが気になってくるところだ。


 俺、クロエ、イリス、フラフィー、あかね、サッキュン。六人パーティで戦うゲームとか何かあったっけかと思うくらいなんか多い気がする。サッキュンに関しては戦闘に期待できないから気にしなくていいけど。


 というか諜報員としてどこかに派遣しておいたほうが便利なんじゃないかと思う。せめてロリ形態になってくれていれば需要が高まって俺も落ち着くんだがどうだろうか。


 場合によってはバラバラに行動することはあるかもしれないけど、急いでいるわけでもなくみんなで行動したほうが安全なのでその行動はとりたくない。。


 あとパーティに分けるとバランス悪すぎて笑える。万能なのが誰もいないと言うのはある意味凄いかもしれない。クロエとイリスは二人で旅できるくらいに強いっちゃ強いけど。


 水のダンジョンの中に入ると当然魔物は全く出てこなかった。やっぱりスタンピードの影響が出ているようで平和なもんだった。


 ただ、魔物がいなかった場合は水の精霊は何を食べるんだろうかとか気になるくらい。そんなことを考えていると精霊が水の中から姿を現した。めちゃくちゃ弱ってる。


「イリス様……すみませんが少し魔力を分けてくれませんか……」


「食料ないなら移動すればいいのに」


 とか言いつつイリスは精霊に魔力を分け与えていた。どうやら食料問題がかなり深刻みたいだ。食料というか魔力か? そういえば魔素が濃いと居づらいと言っていたし魔物がいないんじゃ魔力の補給も出来ないのか。


 ほんとなんでここに留まっていたのか。ストーカーから逃げたフットワークの軽さはどこにいってしまったのか。


 幼女がお姉さんに何かを分け与えているのってなんかいけないことしてるみたいに見えるの俺だけかな。特に食べ物あげてるの見ると変な興奮を感じるのはなぜなのか。


「イリス様の魔力……何か、混ざって……?」


「悪いものじゃないから大丈夫」


 なんだろ。イリスがちらっとこっちを見た気がしたけどあれかな。よくゲームとかでそういうことすると魔力の供給出来るとかあるけどそういうことかな……。魔力が卑猥なものに感じてくるからこれ以上は考えるのをやめとこう。


「そうですか。それで何故みなさんはこちらに?」


「キミヒトが聞きたいことあるって」


 元気になった水の精霊にストーカーしてたやつの特徴を聞きに来たことを伝え相手の情報を得る。勇者たちは頭のネジが吹っ飛んでるのが多いみたいなので可能性が高いし他にも何かしらやってるかもしれない。


 精霊のストーカーって言うのも相当だけどなんかこう、もっと頭おかしい行動してる可能性もあると思う。水の精霊からしたら何も楽しくないだろうけど俺は楽しい。


「あーあの人ですか。確かに普通の人とはちがいましたね」


「何か変なこと言ってなかったか? 異世界から来たとか勇者だとか変なスキル持ってるとかそういう感じの」


 何日も通って精霊に色々話していたならこういう話もしているだろうという話を振ってみる。流石に好きな相手に性癖の話とかはしないだろうと思うから聞かないけど。


 もし好きな相手に付き合う前から自分の性癖をぶっぱする奴がいたら変態だ。尊敬しかない。


「んー、そういえばそんなこと言ってたかもしれませんね。完全に聞き流していたので全然記憶にありませんが」


 だろうね。ストーカーの話をいちいち覚えてたらそら疲れるだろう。仮にも水の精霊だし色々な人から相談事とか信仰についてとか語られていてもおかしくないというのもある。


 毎日じゃなくてもかなりの人数から様々な話を聞かされたら聞き流す癖が付いちゃいそう。実際に興味もっても叶えたりしないだろうしなおさら。


 落し物を新しくするとかかなりの力を持っているみたいだし話が出来る精霊とか土地の人たちから敬愛されててもおかしくない。


 ……そんな精霊を追いやったやつに会うのってなんかちょっと怖くなってきたな。その辺の人たちから殺されても文句言えないことしてる気がする。


「その場所まで案内してもらうことって出来るか?」


「めっちゃ遠いですよ? 馬車とか使って全力で使って休みなしでも十日とかかかりますし何個か街経由するレベルですよ?」


 どんだけ嫌だったんだよ。移動しすぎだろ。でもぶっちゃけ馬車でも借りてみんなで旅するのも悪くはないかもしれない。戦闘に関しては色々足りているし収納があるから補給も簡単。


 そしてロリと旅出来るのはロマンの塊だし断る理由がないな。勇者に会う会わない以前にロリと旅に出たいと思っていたし何も問題がない。


 わくわくしますね。王都からケイブロットまでは徒歩の移動だったし馬車での移動もしてみたい。毎回思うけど勇者とかもうどうでもよくなってくるな。といいつつ頭から離れないけど。


「それでもいいよ。教えてくれ」


 実際に聞いてみると、流石に大陸をまたいでいるというだけあって移動距離が半端じゃない。というか馬車だけじゃいけないじゃん。船も使うとかマジで言ってる? これほんとに十日で行けるの?


 この移動だったら準備もかなり必要になってくる。フラフィーの装備もまだ出来上がってないし、これならスタンピードが終わってガッツリ補給してから行動したほうがいいかもしれないな。


 街もスタンピードに備えてあんまり機能してないみたいだし俺たちも手伝うことにしようか。一応探索者としてそれなりに名前が知られてるしバックレたらばれるしな。


 というわけで行きたくないけどギルドに向かおう。勝手に動くわけにも行かないし何すればいいか聞かなきゃいけない。


 あんまり面倒なことが無いことを祈るばかりだな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る