第100話 将来有望

 ……体が動かない。俺はどうしていたんだっけ?


 そうだ、あまりにみんなが可愛すぎてトリップしてたらそのまま気を失っていたんだった。あの後……どうなったんだ?


 それにしても凄く気持ちがいい。まるでロリにのしかかられているような至高の重量感を感じる。この最上級の心地いい感触と気持ちよさ、これはイリスだな。


「んぅ……キミヒト、起きた?」


「いろんな意味で起きたよおはよう」


 状態を確認してみると俺はベッドに仰向けにされイリスにのしかかられていた。尋常じゃない興奮に襲われるし俺夜這いかけられてるしなんだかイリスがヤンデレ枠に食い込んできてるよ。


「イリス、その恰好は?」


「自分の状態より私を優先する当たり流石キミヒトと言わざるを得ない」


「めちゃくちゃ興奮するんだけどこれほどいてくれない?」


「だめ」


 イリスはスク水だった。編み込みは健在。


 しかし先ほどトリップする前にはセーラー服とニーソも着用していたが今回はその二つは外しスク水のみという簡素ながらもドストライクな姿になっていた。だれだよ入れ知恵した奴。


 めちゃくちゃイリスの事可愛がりたい衝動に駆られるが今の俺はそれが出来ない状態になっていた。


 何故なら俺はベッドに拘束されていた。両手足を縄で頑丈に。ガチで動けません。


「キミヒト、フラフィーのこと可愛がり過ぎ。好みじゃないって言ったのに」


「いやあれは……いや、すまん」


 言い訳しようとしたらイリスが太もも辺りをつねって来たのであまりの気持ちよさに言い訳する気を失った。焦らしプレイかなこれは。


 拘束プレイ、焦らしプレイ、コスプレプレイを同時にやるとか将来有望なんてレベルじゃないぜイリス。


「だから今は私の事だけ見る。おーけー?」


 イリスは俺のお腹辺りから俺を見上げ胸元をぺちぺちと叩いてそんな事を言ってくる。おーけーおーけー、いくらでも相手してやる。


「おーけーだイリス。じゃあこれ解いてくれる?」


「やだ」


 イリスはそう言って俺の身体にゆっくりと指を這わせてくる。見た目の幼さからは想像できないほど丁寧にゆっくりと撫でてくる。なんだかかゆいところにぎりぎり手が届かないようなもどかしさを感じる撫で方。


 それがわかっているのか、イリスはそれ以上の刺激を与えようとしてこない。ぐぬぬ、ロリに焦らされるの破壊力やばいしなんだか楽しそうに見えるのも非常にそそるものがある。


 しかしこれはなんというか拷問のようなもどかしさがある。くすぐったくもなく、気持ちよくもなく、しかしイリスにされているということでどちらにも一気に傾いてしまうような不安感もある。


「イリス……お前、まじでやばいって……」


「だめ、これはお仕置き。私もいっぱい焦らされた」


 あー、そう言う事ね。イリスのことめちゃくちゃ焦らしたからそれの仕返しってわけねくっそかわいいかよ。でもこれいつまで続くんだこの幸せと地獄の両方を同時に味わっているこの感覚。


 俺の体に手を触れて優しくなでているのももどかしいし、スク水越しに感じるイリスの体の柔らかさも最高に気持ちいいしこれがずっと続くと思うと不安が高まっていくし頭が沸騰しそう。


 いつの間にこんな高度な技術を身に着けたんだよイリスまじで。


「キミヒト、苦しそう」


「じゃあもっと優しくしてくれよ……」


「だが断る」


 だめだ聞く耳を持ってくれない。


 ちくしょう縄さえなければすぐさまめちゃくちゃにしてやるわ。


 さらさらの髪が、すべすべの手が、感じる体温が、全てがさらに敏感にとらえられるようになってきた。


「イリス、最初にしてやれなくて、ごめんな」


「それはもういい。一番愛してくれればいい」


 おうさりげなく独占欲強いねこの子は。いや最初からそうだったかもしれないな、ずっと俺にくっついて力になりたいと言ってくれていたイリス。


 俺が呪いでどうにかなってしまいそうな時に側にいて抱きしめてくれたイリス。それからもずっとそばで俺のために色々としてくれようとしていたのは知っている。


 そんな事知っていたのに、いや知っていたからこそなのかもしれないな。イリスならずっと側にいてくれると甘えてほったらかしにしていたような気がする。


 なでたりスキンシップを一番取っていたけど、それがイリスをこうしてしまった原因なのかもしれない。


 なら俺がここで言うセリフはこうだろう。


「愛してるよ、イリス」


「キミヒト……」


 俺がそういうとイリスは顔を赤くしながらうつむいてしまう。お仕置きと言いながら俺のこんな言葉で嬉しそうにしている。


 すまんイリス。可愛すぎるわ。


 この縄さえほどければすぐにでも抱きしめてよしよしと撫でてやりたいというのに。


 ……ん? いや俺これ自分で拘束解けるわ。


 色々と高まっててこういうプレイがあるから全然気づかなかったけど透過すれば関係ないわ。


 というわけで拘束されている手首足首の拘束を解く。


「イリス。次は俺の番だな」


「あれ……? キミヒト……?」


 拘束を解き抱きしめてやると困惑した表情で俺のことを見上げてくる。少しびびってるのが最高に可愛い。


 そのまま力任せに態勢を入れ替えイリスを下側にする。イリスの長い髪が布団に投げ出されとても美しい広がりを見せる。


 興奮が全く収まらないので今度はイリスにお返しをしてあげよう。


「どうやって拘束……あ、透過……キミヒト、だめ、だめ」


「今度は俺がお仕置きだ」


 優しくつぶやいてゆっくりとイリスを堪能させてもらう。さらさらな髪だけでなくもちもちのほっぺた。期待半分驚き半分の瞳はとても綺麗で吸い込まれてしまいそうなほど。


 こんな可愛いロリと共にいられることに幸せを噛みしめつつひたすらに見つめ続ける。イリスは俺の事をぎりぎりに苛め抜いていたが俺はひたすらに羞恥心を味あわせてやるぜ。


 じっと目を合わせ一向に何もしない俺にイリスも段々と困惑と羞恥の色を見せ始める。


「焦らしちゃ……やだ」


 俺のことも散々焦らしてきたくせにわがままな事を言ってきた。仕方がないので俺は見つめるだけの行為を止め、ゆっくりと口づけをする。


 しかしほんの一瞬だけ。


「あぁ……うぅ……キミヒト……」


 手で俺の頭を押さえつけ俺にもっともっととせがんでくるイリスがたまらなく愛おしい。そんなことされるとお仕置きじゃなくなっちゃうだろうが。


 全然手を放してくれなさそうなので、もう一度ゆっくりと口づけをしてやる。この生き物は俺の妄想が生み出したものなのかもしれないと本気で思う。


 数分そんな事を続けているとイリスの体から力が抜け拘束は無くなっていった。焦らしすぎたかな?


「もういいのか?」


「いじわる。ばか。変態。ロリコン」


「そりゃ褒め言葉だ。なあ、いいか?」


「う、うん……」


 お互いにお互いを求めるように何度も口づけをして、二人の距離は精神的にも物理的にも縮まっていった。


 数時間後、夜も更けて寝てしまったイリスの幸せそうな寝顔をなでながら、俺も急激な眠気に負けて一緒に寝る事にした。

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