第75話 一安心

「もう無理」


 翌朝俺は精魂尽き果てた状態でふらふらだった。少し睡眠をとる事が出来たがあまりの疲労に目が覚めてしまった。


 獣人があそこまで体力お化けだったとは思わなかった。正直な所最初の方は結構余裕だったが、徐々に激しくなっていくフラフィーを見て俺は青ざめ始めていたと思うんだ。


 逐一状態を確認しながらしていたわけだけども全然解消されていなかったあたり相当溜まっていたと思われる。いやたぶん俺がおちょくりすぎたせいもかなりあっただろうけども。


「すぅ……すぅ……」


 回復ポーションと不屈の力を使って無理やり頑張っていた甲斐もあってフラフィーは完全に寝ている。欲求不満という状態異常も解除されたので一安心だ。


 ……これ定期的にくるのかな。


「今日からはいじり倒してやるから覚悟しとけよ……」


 疲れ切った体は中々いう事をきかずとりあえず宣言だけしておいた。魔力を体力に変換する技とかありませんかね。魔力まったく使わないから持て余し気味なのよね。


 透視も鑑定も魔力使わないし唯一使う浄化も使用頻度は高くない。看病も使うのかもしれないが正直そんな気にするものでもないんじゃないかと思う。


 そして落ち着いてしまったがために色々と考えなくてはならない。特にイリスの事。イリスには嘘は通じないから正直に打ち明けるしかないけど可哀想な事してる自覚がある。


 どうやってイリスを慰めるかな……。またイリスの好き勝手してもらうという手もあるけど死の危険を感じるからな。まじアトラクションのダンジョン出禁になってるのが救いでしかないわ。


 さてそれじゃ服を着て浄化かけて匂いを消しておきますかね。女性陣来た時にまた修羅場……いやフラフィーここにいるからそこまでひどい修羅場にはならないか。


 というわけであかねを呼び出しフラフィーが回復したことを伝える。当然質問攻めにあう事になるが無視して全員を集めるように伝えた。




「気合いで治しました」


「キミヒト、性癖変わった」


「仕方なかったとは言え最低ね」


 やはり嘘は通じずロリから冷たい視線と言葉を頂戴いたしました。至高のご褒美にございます。


「鑑定で治し方がわかったんだよ。とにかく強い安らぎを与えろってなってて……それなら色々と満足させてしまおうと……欲求不満も併発してたし……」


 なので正座しながらロリからの質問に嘘偽りなく答える事にした。ちなみにあかねはばかばかしくなったと言って帰っていった。あかねはBL専門だもんな、男女の痴情のもつれには興味ないよな。


「キミヒト、気持ちよかった?」


「ええと……はい」


 イリスの質問に嘘偽りなく答える。途中から拷問のごとき快楽を貪らせられたため正直とてもつらかったとも言える。


「キミヒトの馬鹿、今日はずっと離れない事」


 イリスはそう言って俺の膝の上に思いっきり乗って来る。正座してる人の上に勢い良く乗るの危ないからね? 軽いし可愛いから全て許してしまうけども。


「あんまり無理しちゃだめよキミヒト」


 クロエは俺の頭をよしよししてくる。なにこれダメになっちゃいそう。クロエの余裕の態度と表情になんだか救われる気持ちもある。


「今回はキミヒトにしか出来ないと思ったから任せたけど、何かあったら私たちに頼りなさい。いくらでも力を貸してあげるから」


 まじクロエお姉さんポジになっちまったな。俺とイリスの頭をよしよしとなでるクロエにお姉さんぽさを感じる。


 俺の性癖についてだがロリコンは生まれながらにして持つもはやジョブのような物だが、シスコンも発動準備は万全だった。


 といっても主に妹方面だったわけだが、ロリがお姉さんぶってるのは微笑ましくて非常に刺さる。ギャップ萌えとはまた違ったこの感じがたまりませんね。


 ロリには無限大の可能性がある。普通にヒロインやってもいいし、妹キャラクターとしてやっていくのも全然あり。


 そして今回のクロエのように見た目ロリなのにお姉さんというしっかり者のポジション。妹属性も姉属性も持てるのがロリの凄い所だよな。


「ありがとう、二人にはこれからも世話になるよ」


「キミヒト、任せろ」


「ええ、そうして」


 二人に癒されたのでかなり元気になってきた。修羅場かと思ったけど普通に大丈夫だったのは精神的にも体的にもとても良かった。


「俺はお腹空いたよ。ご飯行こうぜ」


「キミヒトのおごり」


「しゃーねーなー」


 というわけで俺たち三人は食堂に向かい朝ごはんを食べる事にした。フラフィー? あいつはぐっすり寝てたから放置だ。


「キミヒト、今日はどうする?」


「そうだなー、クロエの装備出来てるんじゃないか? 二日で出来てるって話じゃなかったっけ」


 イリスが聞いてきたが正直今日はおやすみにするかあんまりダンジョンに潜ったりとかはしたくない。疲れ切ってるからまじで勘弁してほしい感じである。


 ちょうどよくクロエの装備が出来る日が今日なので便乗させてもらおう。あのおっさん二日で出来るって言ってたけど本当に俺たち以外の客いるのかな。


「そうなんだけどフラフィーの装備とかも一緒に受け取った方がいいんじゃない? そっちは明日には出来るって言ってたけど。みんなのミスリル装備もあるし」


「そういやフラフィーの装備特注してたんだったな。なら明日行けばいいか」


 別に今日行ってクロエの装備だけもらっても良かったんだけど、少し行きたくないオーラを感じたので許してやろう。ファンシーステッキ楽しみだよ。


「キミヒト、疲れてる?」


「ん? ああ、情けない話ではあるけど」


 俺の状態を見て取ったのかイリスが心配してくれる。食事処に来ているがイリスは俺の膝の上でもぐもぐしているため見上げながら聞いてくる。可愛い。


「今日はごろごろする?」


「それもいいよなぁ。けど今日サボると色々とやる気を失いそうだからちょっとだけダンジョンは行こうぜ」


「わかった」


 無邪気にうなずいて食事をするロリ可愛い。今日はずっとこんな感じなんだろうかと考えると自然に頬が緩むし愛おしさがあふれてしまうぜ。


 というかこのパーティの行く末が若干不安になってきている感が否めない。クロエ以外の嫉妬がどれだけぶつかり合うかによるけど喧嘩したら結構参事だぞ。


 というわけでこれから潜るダンジョンを探すためにギルドに向かうことにした。何か納品依頼を覗きつつ良さげなものがあればついでに処理してしまおうという算段だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る