最終回 魔法少女の世界
「お父…さん?」
今目の前にいる女の子はラルスさんの娘さんなの!?
「お前もしかして…セリドか!?」
「そうだよ!お父さん!」
「おいちょっと待て…だってセリドは今家でカトラが見てるし…というかまだ赤ん坊だから!!」
ノイドを前にして良く分からないことを口走る。私はポカンとするしかない…
「言うなれば…未来から来たって言った方が良いのかな。私からしたら今ここに若い時のお父さんがいるのが驚きだけど。」
「確かに良く見たら瞳の色とかカトラに似てるな…って今そんなこと言ってられないんだよ!!」
ノイドの方へと向き、戦闘を続行する。
「お前が本当にセリドなら、その武器は…レイヴか?」
『私です。ラルス様。』
『やはりあなたでしたか…レイヴ。こんなに大きくなって…』
「感動の場面のところ悪いが、今は奴を倒してからの方が良いぞ。」
『はい。ラルス様。』
「いやぁ~良いものを見させてもらったよ。まずは親子の再会に拍手を送ろう!でもすぐに引き裂くけど。」
「親子の力…舐めんなよ!」
ドクンッ!!
「…!?」
何…これ…?私の中から何かが涌き出るような力は…?
「どうした天野?」
「いえ…何でもありません…」
「そろそろ再開しようよ。ボクだって暇じゃないんだし。」
バッ!!
「行くぞ!!」
「はいっ!!」
ガキィン!!
ギチ…
「いい加減、そのバカな頭はどうにかならないの?」
「固いだけなら削れるってことだよ!!」
「そこだけは威勢良いのにねー」
ドゴォ!!
「ぐっ!?」
「お父さん!!」
また…また一人と人が傷つけられる…もうそんな光景はもう……
見たくないっ!!
ズドォォォォン!!!
「天野!?何だその光は!?」
光の柱の中にいる私の手には見たことのないマジックダイヤが握らされていた…
「マジックダイヤ…?これは…!?」
『ゴッドマジック!!』
今は…これに頼るしかない!
ガチャン。
『ゴッドブレーイク!!シャイン&シャイン!!マジ神降臨!!』
シュン…
「な、何これ…!?」
オールエナジーの格好よりもさらに派手なドレスを纏っているようだった。
「自らマジックダイヤを生成しただと!?」
ノイドは突然のことに動揺している。
「お前が驚いてるってことは想定外のことだったんだよな?」
「だけどそれが何だ…新しいマジックダイヤなんぞボクが潰す!!」
バッ!!
「うわっ!!」
ガチィン!!
「えっ?」
私は今バリアのようなものに守られていた。しかもノイドの強烈な拳を平然と耐えている…!
「凄い…レイヴ、あの力は?」
『恐らく彼女の思いに反応してマジックダイヤが生成されたのでしょう。何せ「魔法」そのものなんですから。』
「だが…身を守れても攻めなきゃ意味がない!」
ガチャン!
『ツインゴッドブレイド!!』
カチャ…
オールエナジーと同じようにダイヤの上部を回すと二刀の武器が出現した。
「二刀流か!?」
「果たしてそんな剣でボクの装甲を破れるかな?」
「やって見なくちゃ…分からない!」
ガキィン!!
「あぁ!?やっぱりダメなのか!?」
「私に任せて!お父さん!レイヴ、銃お願い!」
シュン…
「英里華ちゃん!」
「セリドさん!?」
攻めている後ろからセリドさんが銃を持ちながら突っ込んでくる…!?
「どりゃあああ!!」
ズドドドドドド!!
「ぐぅ!?」
「今だよ!!お父さん!!」
「あぁ!!」
セリドさんがノイドの腹部に至近距離で銃を撃ったおかげで一部の固い装甲が剥がれた!
「うぉりゃ!!」
ジャキン!!
「ぐはっ…!!」
「これで最後だ!!決めてやれ天野ー!!」
「はいっ!!」
ガチャン!ガチャン!
『マジスゲーイ!!ゴッドブレイクバースト!!』
「はぁぁぁぁ……」
剣にエネルギーを溜め、一撃の構えを取る……
「ぐっ…くそぉ…!くそぉぉぉぉぉぉ!!!」
「せいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ジャキジャキジャキ……キィンッ!!!
「あっ…あぁ……」
聖なるエネルギーを纏った剣を腹に何度も食らい、ついにノイドは倒れた。良かった…これで…
「やりましたよ!ついに倒したんですね!」
「良くやった!見事だぞ!」
「ま…まだ…ボクは…やれる…」
喜びも束の間。ノイドはダメージを受けながらも立ち上がった…
「ボクは…人を越える…人を越えて新たなる「人」に……!」
「もう…やめようよ…これ以上争うのは…!」
「天野!?」
私はノイドの方に近づき、話し合おうと決意した。
「私はもうあなたを傷つけたくない…あなたのしたことは許されないけど…でも!「人間になりたかった」って気持ちは凄く分かるよ!」
「英里華ちゃん…」
「…ボクは……」
「大丈夫…私が「生まれ変わらせて」あげるから…今度は普通の男の子で生まれるように…」
背中から巨大な白い翼を出してノイドの全身を優しく包み込む…
「ありがとう…ボクは今度こそ本当の「人」に………」
シュゥゥン……
そしてノイドは小さな光の粒となって消えていった…
「今度こそ…本当の「人」として会えると良いな…」
「もう帰っちゃうんですね。ラルスさん…」
「まぁな。この世界の異変は解決したし、久々に家族とゆっくり過ごすよ。」
「ラルス様、この異変捜査中はカトラ様とセリド様のことかなり心配してましたよ。」
「おまっ!?クロウ…皆の前でそれを言うな!」
でも家族のこと凄く心配出来るって、きっと良いお父さんなんだろうなぁ。
「というか私気絶してて全然参加出来なかったなぁー…」
「薫ちゃん…あれは仕方ないよ…」
「セリド、お前達はこれからどうすんだ?」
「私はレイヴと元の場所に帰るよ。」
「そうか……」
そう言うとラルスさんは私に耳元で呟いた。
「悪いが、二人にしてもらえるか?」
「はい、大丈夫ですよ。」
「ありがとう…」
多分、ラルスさんは家族でいられる時間が欲しいのだろう。私達は解散し、その場を後にした。
この短い間、色々なことがあった。魔法少女になって傷つくこともあったけれど、魔法少女になったからこそ会えた人達もいた。この不思議な宝石が導いてくれた道筋は決して間違ってなんかいない…私はそう信じている。私達はこの先も魔法少女として戦うことになる…この先もどんな出会いがあるのか、少し不安な面もあるけど、それでも行くよ…
「魔法少女」の名の元に!!
「セリド…お前いくつになった?」
「今16歳だよ。」
「こんなに大きくなって…立派に成長したな…」
俺はセリドの頭を撫でた。やっぱりこいつは間違いなくセリドだ。撫でられて嬉しがるところとかどう見ても俺の娘に違いない。
「ありがとうお父さん…大好き。」
俺はセリドを抱いた。初めて親子愛ってものを実感した時だった。父親ってのはこんなにも嬉しくなれることがあるんだってな…
「未来の俺にもよろしくな。」
「うん!このこと、絶対に忘れないよ!」
「レイヴ、あなたもセリド様達をしっかりお守りするのですよ。」
「はい、母さん。セリド様達は僕が全力でお守りします。」
セリド達が世界の扉を開け、帰った後に俺の顔からは涙がこぼれ落ちていた。
「気持ちは分かる。ラルス…」
「こんなに…こんなに嬉しいことってあるか?実の娘が成長してここにいるんだぞ?優しい子に育ってるのを見て嬉しくないってことがあるか?」
「私も…同じです。私も成長した自分の息子に会ったのですから…」
この時を絶対に忘れるものか。今のセリドが成長してそうなるのなら、俺はいつまでも暖かく見守っていかなきゃな……
「お父さん、私ね…若い頃のお父さんと会ってきた!」
「若い頃の俺?それいくつの時の俺?」
「見た感じ18ぐらいだったけど。」
「18とかバリバリまだ現役だった頃じゃねぇか!そう考えるとお前も立派に成長したもんだなぁ。」
「えへへ…ありがとう。その言葉、若い頃のお父さんにも言われた!」
「若い頃の俺、シンクロしすぎじゃね?」
「若いって…今のあなたでも十分若いでしょ?」
「俺だって今33歳…それって若いのか?」
「お父さん…世間的に見たら若いよそれ。」
「そうか!?じゃあ俺まだ現役行けるかもな!!」
「次は、私達の番だね。レイヴ。」
「えぇ、次はどんな世界に行けるのか私も楽しみです。」
「よしっ!じゃあ行こう!次の世界へ!」
終わり。
ロスト・メモリーズ続編「ロスト・メモリーズⅡ」公開決定!!
近日公開予定!!
さらに、同時進行でお送りするオタク系新ギャグストーリー「僕らは『アキバ』したい。~兄咲高校オタク部~」も公開決定!!
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