恋文は郵便事故
三枝 侑
プロローグ
一日の中で、なんて言葉を一番多く目にしているか。
そんなことを考えたことがあるだろうか。もし無かったら、ちょっと考えてみて欲しい。
黒板に書かれる文字。友達からのメール。仕事の書類。コンビニの棚に並ぶ商品や、読みかけの本に出てくる名前。ネットの書き込み。何でもいい。
多分、おそらくはきっと、今思い浮かべた『それ』が、今の自分の一日を――ひいては自分の人生の大部分を占めているものだとしたら。
今一度、俺は問う。
『それ』は生きるに値するものなのか、と。
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