第25話 作中:鍵の開いた密室
トレースの結果、おおよそ被害者ローザの部屋には誰の出入りもなかったことが確定された。有力な根拠とされたのはクリスティーヌのトレースと、ゴーレムの反応である。ローザの部屋は鍵の開けられていた密室であった。
委託殺人の可能性に関しては現状何も絞り込むことが出来ない。昨夜の関係者たちの行動は把握できても、それ以前の生活をトレースすることはクリスティーヌには出来なかった。従って、外部から何者かが侵入した可能性も消せなかった。その場合はゴーレムの反応がネックとなるが、事前に何者かの細工が為されなかったという保証もまた、ないままだった。
「限りなく、可能性は低いのだがなぁ……」
警部は低く呟く。関係者の誰にも動機があり、また動機はなく、実行可能であり、実行不可能とも言えた。
「警部、つぎの証人をお呼びしても構いませんか?」
「ああ、頼む。次は双子の娘たちだったな。」
リンダとガーベラの双子は、双子にありがちなシンパシーで互いが通じ合っている。よって二人をバラバラに呼ぶ利点もほとんどなかったが、慣例に従ってまずは姉のリンダが呼び出されることになった。
二人は互いの意思や行動が手に取るように解るため、もし犯罪に関わっているとするなら自動的に共犯関係としか捉えようはなかった。
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