流星に何を願い、変わった現実で、少女になって何を思う

幽美 有明

夏の始まりと変わる生活

1話目

 僕は幼馴染の夜玻よるは恋伽ゆめかと3人で流星群を見に高台に来ていた。


「けっこう混んでるわね」

「歩くの早いよ、恋伽まって」


 僕より前を歩いていた恋伽ゆめかが高台に集まってる人達を見てた。歩くの早くて僕まだ見れてないけど。いっぱい人居るんだ……


「そりゃあ何十年に一度の流星群だからな。みんな見に来るだろ」


 隣を歩いてる夜玻よるはが、もっともなことを言ってる。そうだよね、何十年に一度だと、みんな見たがるよね。でも、


「やっぱり人混みは苦手だな」

「昔から紗奈さなは人混み苦手よね」

「となると···ハイキングコースの途中の休憩所まで行くか?あそこなら開けてるし、あんまり人いないだろ」

「ええ、この夜道を歩くの?」


 恋伽の言う通り僕もあんまり夜道は歩きたくないけど。一応懐中電灯は持ってきてるから言って置いた方がいいよね?

 今まで歩いてた道は街頭あって使わなかったんだけど。


「いちよう、懐中電灯は持ってきてるけど」

「さすが紗奈。持ってると思ってたんだ」

「今日はたまたま持ってたの。暗いの怖いから」

「二人とも喧嘩しない、ほら行きましょ」


 懐中電灯を片手に休憩所まで歩いた。道はさほど暗くはなく、月明かりで照らされていた。

 でも辺りの木々の奥は見えないほど暗く、道から逸れてしまえば迷ってしまいそうだった。

 休憩所に着くと同じ事を考えていた人が居て何人か先客が居た。


「先客が居るけどこの人数なら大丈夫だろ?」

「うん、この人数なら大丈夫」


 なにより恋伽と夜玻が一緒だから大丈夫。


「なら良かった。紗奈、恋伽、流星群に願い事したら叶うと思うか?」

「流星群も流れ星みたいなものだから叶うんじゃないの?ね、紗奈」

「僕に聞かれても分からないよ」

「まっ、叶うってことで何願うかな」

「私はいつまで三人で居れますように、かな」

「じゃあ、僕は2人の願いが叶うようにかな」

「紗奈は欲がないな。俺はそうだな、恋人が出来ますようにだな」

「夜玻、そんなに彼女欲しいの?」

「当たり前だろ、俺ら高校生だぜ? 青春したいじゃねえか」

「青春ねぇ。じゃあ明日からの夏休みは遊ぶわけ?」

「もちろん!」

「夜玻、中学校の時みたいに宿題は見せないわよ?」

「くっ! そこを何とか」

「ちゃんとやればいいでしょ?そうね紗奈の家で勉強会なんて良いじゃない」

「僕の家?確かに一人暮らしだから良いよ」

「よし決まりな」

「ねえ、そろそろ時間じゃない?」


 恋伽に言われて夜空を見上げるとそこには流星群が近くまで来ていた。


「綺麗ね···」

「そうだね」

「あっ願い事しねぇと」

「夜玻はほんと空気読めないんだから」


 そう言いつつも恋伽も願い事をするみたいだ。僕の願い事は決まってる。2人の願いが叶いますように。そして目を開けると流星群は先ほどより輝きを増していた。


「どうする?目当ての流星群は見れたことだし帰る?」

「もう8時だし帰るか。夜更かしはしたくないしな」

「あんたって変なところで真面目よね」

「そこが夜玻のいい所だとおもうよ?」

「どうかしらね。この真面目さが勉強面でも発揮されればいいのに」

「ごたごた言ってないで帰ろうぜ」

「ちょっと待ちなさいよ。歩くの早すぎよ!ちょっとはこっちのことも考えなさいよね!」


 こうして僕たち3人はそれぞれの家に帰った。空にある流星群はその輝きをさらに強くして、その光は月よりも明るかったのかもしれない。

 これだけ大きな流星群なら願い事も叶うのかもしれない。

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