第57話 一方その頃その2の話


私達はジョージのおかげで何とか外に出る事が出来た。

そして、6ヶ月前のあの日

彼と別れたあの場所に向かうことになった。


全てはここから始まった。


北の嘆きの洞窟に踏み入れる事になったのだった。


「相変わらず、不気味な場所ね・・・」

「そうだな、本当に人の顔が埋め込まれる感じがして気味がわりぃ」

「じゃあ、二人ともいこ!」


そう言って、佐野は戦闘になって走り出す。

後ろの二人は走って行く佐野を急いで追いかけていく。


「七海待って!」

「おいおい、お前は元々後衛職だろ落ち着けって!」


佐野は早く確認をしたいと思いただ走った。

それは美空と一樹も同じだった。

道中に魔物が出てくるが、七海は光のハンマーを取り出す。

先ほどの夢幻回路と違う形状のハンマーと取り出した。

それは片っ方が先端は曲がっていて鋭くなっている、もう片っ方は普通に平たく叩き潰す用になっていた。

簡単に言うと、釘抜きハンマーの釘抜きの部分が凶悪そうに鋭く尖っていた


「身体強化!!アタックアップ!!クリティカルアップ!!ディフェンスアップ!!スピードアップ!!」


佐野は次々と魔法を発動させ、自分に身体強化をしていく。


「オートヒール!雷の足!風の手!ウェポンズブースト!」


佐野は身体能力が飛躍的どころか、爆発的に向上させる。

足は雷を纏い、手は風を纏った。

風と雷が合わさり最強に見える。

誰も洞窟に現れていないのか魔物の数が増えていた、佐野を見ると魔物達は一斉に襲い掛かってくる。

だが・・・。


「邪魔!」


その一言を言いながら、前方に出てきた10体の魔物を両手に持ったハンマー思いっきり横に薙ぎ払う。

魔物達はそのハンマーの衝撃に耐えきれなかったのか、殴られた部分が引きちぎらるかのよ無くなっていた。


「七海!後ろ!」

「はい!」


美空の掛け声で後ろを振り向く。

天井に張り付いた魔物が、そのまま襲い掛かってきた。

掛け声が無ければそのまま奇襲を受けていただろう。

七海は体勢を立て直してハンマーを回転させて構える。

そのまま、尖った方で横から頭の脳天に目掛けて叩き割る。

刺さった頭からハンマーを引き抜いた。

これは誰が見ても分かるだろう、魔物は絶命した。


「佐野の奴、転職する職業間違えたんじゃないか?」

「むしろ、前線の私達よりも活躍してるような気がするわ」


佐野はハンマーを手に入れたからその力を使って魔物の襲撃を抑えていたのだ。

意外にも彼女の武器と先頭センスはマッチしていた。

アイドル並みに可愛い佐野と裏腹に彼女の役職が大神官にも拘わらず規格外なその力は鬼神の如く

戦いが終わった時にはその姿は白い大神官の服は紅く鮮血に魔物の血に塗られていた。

その時に圧倒的な力で魔物の進行を止めた彼女を二つ名は・・・。


「いやー、流石・・・鮮血の聖女だぜ!!」

「ちょっと!その名前を呼ぶ禁止!それ呼ばれるの恥ずかしいんだから!」


佐野はいつの間にかその二つ名がフィルネル王国で広まっていた。

佐野は心の中でせめて、可愛い二つ名が欲しかったと思うのだった。

だが、この力を手に入れた事で前までは見ている事しか出来なかった彼女は黒杉が落ちていく後ろで見ている事しかできなかったのだ。

もしかした、前線に出ていればと救うことができたかもしれない。

そんな思いが佐野に力を与えたのだろう。


3人は最深部の近くまでたどり着く。

本来ならここでプレッシャーが襲うのだが、そのプレッシャーは何も感じられなかった。


「もう少しだな」

「えぇ、そうね、ここで何が起きたか調べければならない」


―――――最深部



3人は最深部まで着いた、あの時の黒杉が落ちていく姿を三人はフラシュバックするように思い出す。

三人は見渡す。

しかし、ケロベロスの姿がなく、プレッシャーもその場にいる気配も何も感じられなかった。

そうと分かれば、三人はまず美空が違和感の所、その場を探すことにした。


「・・・」

「どうだ、何か見つかったか?」

「待って・・・」


美空は念入りに探すのも何も見つからなかった。

二人も周りを細かく調べるが何も見つからなかった。

ただあるのは、崩れた足場だけだった。


「やっぱり何も見つからないわ」

「まぁ、証拠も全部下に落ちたかもなぁ・・・」


美空と一樹の二人は黒杉が落ちた穴を見る。

そこの見えない穴はどこまで続いているのであろうか。

少なくとも普通に落ちたら只では済まないという事が分かる。

すると、佐野がまたもやとんでもない事言い出す。


「じゃあ!この穴の中に飛び込もう!」

「はい!?」

「佐野、マジでいってんのか?」


すると、佐野は何か唱え始める。

しばらくして、唱え終わると発動させる。


「ノワール・フォールシャット(黒猫の足)!」


佐野の補助魔法だった。

一樹と美空に何か不思議なオーラが纏った途端に体が軽くなった感じがした。

衝撃無効・落下ダメージ無効の魔法を覚えてたらしい。

この事は一樹も美空も知らなかった為、二人は驚いた。


「七海、何時のまにこんな魔法を・・・」

「いやー、この日の為に色々補助魔法を覚えたんだよぉー」


普段、何処となくフワフワとしてた彼女は陰で彼女なりに頑張っていたようだ。

すると、佐野は二人の手を引っ張る。


「じゃあ、二人とも行くよ!!」

「え、ちょっと!」

「佐野!心の準備がががが!!」

「いぇえええい!!」


二人が心の準備をする前に、そのまま佐野は二人の手を引っ張りそのまま穴の中に飛び込む。

二人は絶叫するが、飛び降りた本人は実にたのしそうしていた。


「「うああああああああああ!?」

「アハハハ!」


その長く深い穴をを降りていくと地面が見えてくる。

地面に近づくたびに、二人の絶叫が更に大きくなる。


「見えてきた!!降りるよ!!!」

「え!?大丈夫なの!?」

「俺達死なないよな!?」


そのまま、ドォン!と音を鳴らしながら着地する。


「着いたぜぃ!」


そう言って、砂煙が舞い上がる。

どうやら、着地はうまくいったようだ。

佐野は振り返って、二人に話しかける。


「二人ともついたよぉ」

「ゼェ・・・ゼェ・・・七海ぃ・・貴方は少しは留まるという事を覚えたほうがいいわ・・・」

「そうだぞ・・・マジで死んだと思ったぞ!?」


二人が焦るのも無理もなかった。

なんせ、5分間ずっと落ち続けたのだから、普通の人なら助からないだろう。

佐野はそのまま何かないか探し始める。


「たしか、黒杉くんも同じ所で落ちたと思うから此処にいてもおかしくないと思うんだけど・・・」

「そうね・・・」


3人は覚悟して探すことにした。

すると、一樹が何か見つけたようだ。


「お、おい!これを見てみろ!」

「これは・・・」


そこにはあったの大量の血痕と狼の腐った死骸だった。

その血痕は大分前の物だと予想ができた。

血痕は小さいが洞窟の奥の方へと続いていた。


「どうやら、奥の方に続いているみたいね」

「行ってみようぜ」

「うん!」


3人はその血の跡を辿るように歩いて行く。

すると一樹が何か気づいたように話す。


「しかし、ここの魔素すごいな・・・」

「一樹分かるの?」

「あぁ」


それは一樹の仙人スキルの効果だった。

一樹は自然から出てくる魔素を感じ取りそれを取り込む事で強化したりできるのだ。

他にも、空気に充満している魔素を食べるだけでもお腹いっぱいになるとかなんとか

しばらく歩いている、そこには自然があったのだ。


「マジかよ・・・!」

「こんな所に自然があるんだ・・・」

「すっごーい!」


3人はあまりの絶景に驚いた。

洞窟中なのにこんなにも明るいのだから。


「あれみて!」


佐野がそういうと、そこには誰かが組み立てたであろう

釜土があったのだ。


「これは・・・!」

「まさか・・・、これは!!」


二人は何故こんな所に人工的な物が作られているのか。

そして、あの近くに死体がないという事は

もしかしたら・・・


そんな3人に希望が芽生えてくる。


「楊一くんは生きてるんだ・・・きっとそうだよ!」

「これは早く皆に伝えないといけないわね」

「あぁ!」


その時だった、後ろから足音が聞こえた。

彼ら3人が振り返るよりも声が聞こえた。


「だれなの?」


振り返るとそこにはゴスロリの少女と研究服を着て変な被り物をした人物がそこに立っていたのだった。

3人は一瞬で分かった、この少女は規格外の力を持っているってことに

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