第13話 修業前の準備の話
後日、修業前に備えていると、ある事に気づく。
「ん・・・?何だこれ・・・」
スキルをよく見ると『石投げ 99/41』と表示されていた
月ノ城に聞くと、これは【練度】と言うものらしい。
通常の【練度上限】は、10-15までで、多くても30が限度らしい。
明らかに、自分の【練度上限】が99なのは異常である。
「試しに、訓練所で投げてみるか、アイリスも来るか?」
「うん・・・」
アイリスと一緒に訓練所に向かう。
そこには三体のカカシが横に立っていた。
所何処に、地面が抉れたり、壁には焦げ跡がついていた。
「よし、始めるか」
黒杉は地面に落ちていた石を拾い、案山子に向って投げる。
【練度】が50になったところで、威力が上がっている事に気づく。
しかし、50以降からは上がりにくくなっている。
次は、一回一回に案山子の頭に向って、投げる。
70以降からは、正しいフォームに投げるように心掛ける。
その度に、案山子は悲鳴を上げるように、ミシミシと音がなる。
───3時間後
『石投げ 99/99』
軌光石には、練度上限に達した、スキルが表示されていた。
「やっとか・・・じゃあ、試しに!!」
そして、最後の一発を投げる。
その瞬間、空中に飛んでいる石が赤く光り出し、そのまま案山子に向って直撃する。
スガァアアアン!!
激しい爆発音と同時に、案山子が粉砕した。
何が起きたか、理解できずに、黒杉は尻餅をつく。
隣にいたアイリスもびっくりして、身体が少し飛び上がり、動揺する。
「ヨ、ヨウイチ・・・こ、これ、石投げ・・・?」
「お、俺にも分からない!?」
アイリスと一緒に月ノ城からもらった、機械にはめ込んだ、軌光石をを使って、スキルを見る。
そこには、石投げのスキルの名前が変化し、能力が追加されていた。
───スキルが極限に達した。以下の能力が付与される。
『石投げ・EX』
・投げた物の石じゃなくても、ダメージ減少する事がなくなる。
・投げた鉱物は爆発する。
・投げ速度が上昇。
・鉱物の威力が上昇。
「「ッフォ!?」」
思わず、アイリスと一緒に変な声をだす。
なんじゃこりゃ!?石投げスキルって、こんなにも強かったのか?
石投げの威力は明らかに、上位職の威力に相当しているだろ。
この後、いきなりの出来事で、しばらく使わなかったのが言うまでもなかった。
色々考えていると、疾嘉が何か持ってきて、近づいてくる。
手には、黒い布らしきものが、何段も重なっている。
目の前に立ったところで、「ふぅ・・・疲れたなの」と言って、休憩する。
「二人に制服ですよー・・・なの」
そう言って、二着ずつ渡してくる。
どうやら、この基地の制服と私服を持って来てくれたようだ。
私服は全体的に現代的で白Yシャツと黒スラックス、制服は月ノ城とシルクと同じような物を渡される。
「そういや、まだもらってなかったですね。ありがとうございます」
「はいー、流石にアイリスさんをローブ一枚は可愛そうなので、早く着替えさせてくださいねえー・・・なの」
「わかりました。ありがとうございます」
アイリスをみると、未だに、ローブ1枚で何も着ていない。
所々、破れているから、白い肌が露出していた。
確かに、このままじゃ可愛そうだ。
何よりも、一緒に行動する時にローブ1枚しか着させていないことで、か弱い女性を露出させる趣味がある特殊性癖変態男と認定されるのも嫌だから、着替えさせよう、うんそうしよう、てか今すぐ着替えてくれ。
「私はこのままでも・・・」
なんかとんでも発言聞こえたけど、気にしないないでおこう。
というか、疾嘉の目線が痛い、誤解を受ける事を言わないでくれないか?
黒杉は、自分の頭をくしゃくしゃに頭を掻く。
そして、めんどくさそうな声で、アイリスに言う。
「いいから・・・早く、着替えてこい」
「服を着たらヨウイチに誘惑できないから・・・」
新手の痴女発言かな?良い子だから着替えましょうね!!
ほら!疾嘉さんの視線がさらに突き刺さってるから、早く行きましょうね!ねッ!
「充分、魅力だから早く着替えてきてくれ・・・」
「本当?じゃあ、着替えてくる・・・」
そう言って、アイリスは着替えの制服と私服を持って、機嫌が良さそうに訓練所から出て行く。
これで特殊性癖変態男と認定されずに済んだ。いや本当に。
「良かったですねぇ、か弱い女性を露出させる趣味がある特殊変態性癖男と認定されずに・・・なの」
疾嘉は黒杉が恐れている事を、一言一句間違えずに言う。
思わず、ビクリッと背を伸ばしまい、冷や汗を掻く。
こ、こいつ!俺の思考読んでるのか!?と思い疾嘉の方へ顔を向ける。
わあ、疾嘉さんがすごい楽しそうだ!しかも、すごい悪い顔してる!!
黒杉は、何か用事が無い限りは。あまり関わらないほうが良いと思うのだった。
「どうしたなの、何か顔色が悪いですね?大丈夫ですか・・・なの」
疾嘉は少しにやつくながら顔色を確認している。
落ち着け俺、動揺するにはまだ早い、うん早いよな?
まあ、相手は子供のイタズラだ、子供のイタズラには寛大に許すべきだ。
「あ、ああ、大丈夫だ」
「それは良かったなの、では、他に用事があるので失礼する・・・なの」
そう言って、走って何処か行ってしまう。
やっと、心の平穏が戻ってくる。妙に一緒にいると、見透かされいる感じがして、緊張してしまう。
疾嘉が走っているところを見ていたら、紙切れを落ちた。
「ん?なんか落とした?」
黒杉は、疾嘉が落とした紙切れを拾って見る。
そこには綺麗な文字でこう書かれていた。
『 パートナーを裸にしたまま、旅させるなんて、とんだ・・・変 態 さんですね』
その一言は俺が拾うと分かってたいたかのように書かれた物であった
俺はその場で深呼吸をする。
「ふぅ・・・」
そして、呟く。
「お、覚えておけよぉ・・・!」
黒杉はその紙を一握りでクシャクシャにして潰す。
そのまま、近くのゴミ箱に向って思いっきりボッシュートさせ、ゴミ箱の中にあるゴミを『過炎』で燃やす。
嬉しくない、プチキャンプファイヤーだった。
「(覚えておけよ!!!疾嘉ァ!!いつか、仕返ししてやるからなァ!?というかあの人はなんなんだ・・・エスパーか?エスパーなのか?)」
心の中でどんな仕返ししてやろうかと考えいたら、アイリスが戻ってきた。
「ヨウイチ?大丈夫?」
何か察したように、心配しそうに見てる。
やめろ!今の俺にはその目は効く!
「ああ、大丈夫だよ。気にしないでくれ」
「そう?ヨウイチが大丈夫なら大丈夫だね」
すぐに平常心になり、いつも通りに接する。
そのまま、アイリスを見渡す。
服は白いフリルブラウスに、首に細い赤いリボン、膝より少し上の黒いフリルスカートだった。バツ型の黒いヘアピンで髪の毛を留める。そして、未だにボロボロのローブを身に着けていた。
その姿はとても可愛らしいものだった。
「どう?」
そう言って、顔を覗き込んでくる、近い。
俺は咄嗟に、すこしだけ距離を取って言う。
「とても似合ってるじゃないか」
お世辞とかなし、普通に可愛いと思う。
「フフッ、なら良かった。」
アイリスは嬉しそうに顔を赤くする。
その表情を見るだけで、黒杉も安心する。
「新しい服はテンション上がるもんなあ」
「鈍感・・・」
「何か言った?」
アイリスは顔を横に振り、さっきまでの嬉しそうな顔が、無表情になる。
何か、間違ったことを言ったのだろうか?
その後、自分も制服に着替える。
制服に説明書がついていた。
すこし気になったので見てみると、色々便利機能がついているとの事。
まず、制服は鉄の鎧よりも丈夫だということ。
それだけでもすごい、ここの基地の職人も普通じゃないという事が分かる。
霊水と霊月草を手に入れたおかげで時間制限があるが、服に再生機能が付いたらしい。
これで破けても安心だ!
ただし、あまりにも損傷がひどすぎると再生できないのでご注意くださいと書いてあった。
コートの裏には乗り物カプセルが入っているらしい。
裏を見ると4個のカプセルが入っていた。一応カプセルの状態に元に戻せると書いてあるので、
試しに取り出した、ボタンを押してそのまま投げた。
1個目は自動車、月ノ城さんと違って黒メインの青いラインが入った、かっこいい車だった。
2個目はバイク、黒メインの緑がサブの色のバイク
3個目はエンジン付きボート、黒メインの赤がサブ色のボート
4個目は小型潜水艦、よっぽどの事が無い限りは使わなそうだ。
黒メインの黄色がサブ色の潜水艦だった。
凶悪そうな見た目で、それも男心をくすぐるような、ロマンがあふれる形をしててカッコいい。
これ作った人は、気が合いそうだ。
アイリスは自動車を見ると、顔を青くして気分を悪くしてたのは言うまでもなかった。
そして、乗り物を眺めていたら月ノ城さんと他4人程のメンバーを連れてきた。
「待たせたな」
そう修業の時間が来たのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます