第1話

Aさんとは、東高校(ひがしこうこう)で有名な人間モドキだった。


透明人間。


学校で有名な′′服だけお化け′′と気味悪がる生徒や先生もいた。


特にイタズラ好きで、脱ぎ癖があった。


全校集会で校長のズラが飛んだときはみんな笑っていたが問題になった。その事件はまだ新しい。

なぜ彼がしたと解ったかと言うと、彼の席にその脱け殻があったからだ。


男子の制服で下着まで脱いでいたのにはゾッとした生徒もいた。

見えていたらそれは大変な状況である。



変態だ。




きっかけはあまり降らないはずの雪道を歩いていたこと。


雪が積もってはしゃいでスキップをした。


自分のバカさ加減を恨む。


ズルッと滑って記憶がとんだことから始まる。


気がつけば頭痛がしてその次に感じたのは寒さだった。



自分は真っ裸で(しかも男)倒れていたのだ。


全身が冷たさから痛さにかわる。


「うぅ....え?」



目の前に自分とよく似た人が倒れていたのだ。




いや...自分だった。

花の女子高生のはずのわたしだった。


彼はいったい何をしようとしていたのだろう。ロクナコトシナイ。


わたしと入れ替わった瞬間だった。


この状況に死にたい。



「俺いる?」


「お願いしますその姿で俺と言わないで下さい!」




わたしが発した声色は自分の声ではない。


しかし問題はそこではない。





なぜ裸でこんなにも凍えるほど冷たい雪道を歩いていたのかが不思議だった。

なんといっても裸足だ。


決して下は見ていないが。


とりあえず帰宅することにした。

 


そうわたしは下を見ないようにする。

なぜか裸の男なのだ。


いや決して見てはいない見てはいない。






自宅に帰って、服を着ようとするが自分のサイズと全く合わない。


父のを借りることにした。


頭を抱えた。



親に緊急招集をかけ服に着替えたあと。

父や母に言ったが信じて貰うのに時間がかかった。


極めつけは、

「お母さんの体重は先週まで45キロだったのに昨日2キロ....」


「いやあああぁあ!?やめて!」


わたしがそういうことで、なぜ信じてくれたのだろう。


解せない。


親同士で話し合い、簡単に彼の親は信じた。


彼が透明人間だからだろう。


そういうことで連絡先を交換した。彼A君は取り合えずわたしの姿で帰っていった。


その日は学校だった。

しかしあまりにもあり得ないことが起き休むことにした。


そして、夜わたしは気づいた。






お風呂場でのことだ。

彼は絶対に風呂に入る。


「お嫁にいけないいいぃ!!!」


わたしは自分にしか見えない身体に困惑した。


彼に責任なんてとってほしくはないが、生命保険はきかないだろうと言うことだけは理解した。


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