自殺願望少女と通り魔男

言波 導

自殺願望少女

第1幕自殺願望少女

このビルの屋上から景色を眺めて終わるだけなのは何度目かしら。私は山城美咲16歳の女子高生。毎日死にたい思いで過ごして、夜にはこのビルの屋上に寄る。なぜなら飛び降り自殺をする為よ。私にはもう未来なんて無いのも同然。それなのになんで生きているのだろう。東京の都会、渋谷の真ん中で私は希死念慮に包まれて死んでいるように生きている。今夜もまた死ねなかった。死にたい思いはあるのに、このビルの屋上から何故飛び降りられないのかしら。とにかく家に帰ろう。夜は夜で本当は帰りたくもない家。家にも学校にも居場所なんてなくて、死ぬしか私には道は無いの。それでも帰ろう。晩ご飯の材料をスーパーで買って家に帰ったら作って食べなきゃ。私の生きている理由ってなんなのだろうか。きっともう私はただの死に損ないなのよ。それでも私の自殺願望は私自身の力で叶えなければならないのよ。早く死ねますように。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る