第4話 帰宅

11月25日 9:00

 僕とアイリスは公園から家に帰っている最中だった。

 公園からここまで僕の右斜め後ろアイリスがついてくるという構図で無言のまま歩き続けている。まあ、それはさっきあんなことがあった以上気まずいのは仕方ないのだが。ずっとこのままというわけにもいかない。

 僕はアイリスの顔を覗き込む。

「あのー、アイリスさーん?」

 アイリスはプイっと横を向いた。おいおい主人に対してそれはないだろ。

 ずいぶんとご機嫌斜めなようで。僕がどうしようかと悩んでいると急に振り向いたかと思えばアイリスがもじもじと話しかけてくる。

「マスター。さっき見ましたよね」

「見たって何が?」

「わ、私の裸と言いますか、そのぉ」

 アイリスは顔を赤く染め長い髪をいじりながら言う。

「い、いやぁ……見てないけどなあ……」

「嘘つかないでください! 見ましたよね!」

「は、はい」

 アイリスの剣幕に気圧されてYESと答えた。仕方ないだろ。僕は健全なティーンボーイなんだから見ないほうがおかしい。

「で、でも僕もう何回も見てるから何とも思わなかったというか……」嘘。

「そんなの関係ありません! もう少し乙女心を理解してください!」

 アイリスはぷんすか怒っている。あいにく僕は女性に対する話し方等全く分からない。そもそもまともな会話をした女性が母と朝比奈さんくらいだから仕方ないのだろう。

 ネットからとってきた性格データそのまま使わなければよかったかもと少し後悔した。

「なんとも思わなかったほうがひどいですよ」

「えっ? なんだって」

「何でもないです!」

 そういいながらポカスカ軽く殴ってくる。さっきの後悔は飛んだ。

「じゃあマスター。さっきのを許してあげるかわりに私のお願いを一つ何でも聞くってのはどうですか」

「別にいいけど……お願いって?」

 アイリスは少し悩む素振りをして、言った。

「今はまだ秘密です。というか後で決めます」

「は、はあ」

 アイリスは機嫌が直ったようでニコニコしている。よかった。僕は安心してほっと胸をなでおろした。

「あっ。マスターそれとは別にもっとかわいい服買ってくださいよ。センスないですよ」

 ド直球じゃないか。頑張って選んだつもりなんだけど。

「わ、わかったよ、アイリス」

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AIRIS フューク @fuuk

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