第264話第百八十八段 ある者、子を法師になして(4)
(原文)
京に住む人、急ぎて東山に用ありて、既に行き着きたりとも、西山に行きてその益まさるべき事を思ひ得たらば、門より帰りて西山へ行くべきなり。
ここまで来着きぬれば、この事をば先づ言ひてん。
日をささぬ事なれば、西山の事は、帰りてまたこそ思ひ立ためと思ふゆゑに、一時の懈怠、すなはち一生の懈怠となる。
これを恐るべし。
(舞夢訳)
京に住む人が、東山にて急ぎの用向きがあって、既に到着していたとしても、西山に行けば、東山の用向きよりも利益が勝る事を思いついたなら、東山の門から出て西山に向かうべきである。
ここまで来てしまったのだから、この事をまずは行ってしまおうとか、期日の定めをしていないのだから、西山の事は帰ってから、また改めてと思ってしまうから、その一時の怠りが、結局は一生の怠りとなってしまう。
こういう事態を恐れるべきなのである。
チャンスを逃して、一生に響くこともある。
目の前の小事にこだわらず、大事を思うべきであるという意味なのか。
小事を前にして大事を思い出す事がある。
「もっと先に対応すべき大切な事があるのではないか」
話は飛躍するけれど、国会審議の低レベルを思い出してしまった。
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