第93話第六十五段 このごろの冠は
(原文)
このごろの
古代の
(舞夢訳)
このごろの冠は、昔とくらべて、はるかに丈が高くなっている。
昔ながらの冠桶を持っている人は、桶の縁を継ぎ足して、今は使うようになっている。
※
兼好氏の時代は、高い冠が好まれたのだろうか。
変化の理由と実態は不明であるけれど、そもそもが、時代とか流行によって変化するような軽々しくないものであるはず。
何より、厳格な秩序維持を求められる官位の象徴であるのだから。
その秩序が崩れてきていることへの、批判の文なのだろうか。
値段がどれほどかかるのか不明であるけれど、高くなった冠を納める冠桶を新調せず、昔からの冠桶を継ぎ足す行為が、少々倹約が過ぎるような気がする。
昔から使っている冠桶を使い続けなければならないのか、先祖代々であるのだろうか。
秩序に反して高い冠を新調し、その桶を新調しない。
当時の官僚の、どことなくチグハグな実態が見えるような文である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます