#5 失敗を糧に


咲夜に裏切られた。


その記憶は俺を疑心暗鬼にさせた。


咲夜から『魔女だから助けたんだ』と言われて、


俺を魔人から守ってくれた三眼狼さぶろうも、咲夜たちと同じだと思ってしまった。


信じていた者から裏切られる苦しみや悲しみ。


再び、それを味わうなら、初めから、真実を知りたい。


裏切らないで欲しい。


あの時は、そう思った。


…………。


俺は三眼狼さぶろうに酷い事をした。


自分が楽に成りたくて『俺を道具として扱え』と求めてしまった。


三眼狼さぶろうが俺を道具として見られなかったかもしれないのに。


その愚行を自覚しても分からない。


咲夜の気持ちを知った今でも、三眼狼さぶろうの真意や咲夜の真意が何なのか。


彼らの言い分を素直に受け取って良いのか。


良くないのか。


それでも……今は、信じたい。


彼らの言葉を。


だから、もう一度、信じる事にする。


もう、浅はかな勘違いで三眼狼さぶろうを苦しめたくないから。


【おわり】

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