サイゼリヤ
わたしとあなたしかいない
快適な土曜日
そうね、だれもいないもの
素を見せたくなるのでしょう
ちょっと疲れた顔で言う
お昼、まだなら、ちょっと行こう
やってきたのは
花の名前のレストラン
こどももおとなもせんぱいも
気のおけない顔をして
いくつもの島に分かれたテーブルは
仕切りが取り払われた家
こちらですよと案内されれば
そこはたちまちわたしたちの部屋
色とりどりの料理にかこまれて
何にする、と彼の声
何にしましょう、と、わたし
はじめてだからわからない
そうやって素直に言ってみる
それならばこれ
あなたはいろいろ教えてくれる
そうね、せんぱいだもの
いいですよ
初めはそうやって従うの
生活には慣れたのか
なんだか父親みたいな口ぶり
思わず少し笑ってしまう
ふしぎだな、と彼の声
ふしぎですね、と、わたし
ねえどうして
なあに
ねえどうしてここに来たの
来たかったから
ここじゃなきゃだめだったの
私はここがよかった
どうしてこんな誰もいないところに来たの
ただ来たかっただけ
誰も選ばない道だよ
貴方は選んだ
そうかもしれない
力なく、わらう
誰も選ばない道だよ
貴方は選んだ
私も選んだ
きっと誰もいなくても
そうね、だれもいないもの
素を見せたくなるのでしょう
ちょっと疲れた顔で言う
ねえ、また君と会えたなら
はあい
またこうやって食事をしようか
そうね
こどももおとなもせんぱいも
気のおけない顔をして
笑い声のする店内で
そうね私はきっと泣く
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