ラプンツェルの塔

江山菰

はじまり

 ここは精霊が棲むと言われる地。

 多くのものがその姿を見たという。

 姿、というより、光る陽炎のようなもの、と口々にその人々は言った。


――私はそれを見たことがない。


 吹雪もこの丘の中では木々に遮られ、静謐な冷たい空気に満ちている。


 山羊の毛皮でできた服を脱がされる。靴も脱ぐ。

 みるみる全身に鳥肌が立つ。

 覚悟はできていても生物として逃れられない恐怖に震えながら、それでも心のどこかで、誰が私のその服を着るんだろう、と思う。

 あの子に渡してほしい。

 私が代わりをかってでた、あの小さな盲いた子に。

 私のほうがずっと体が大きくて肉がたくさん採れるぞ、と言い張って私はあの子を救えた。

 それは満足している。

 でも涙が止まらなかった。

 今、あの子は何か食べさせてもらえているだろうか。

 誰が食事を与え、服を縫い、温かい寝床を支度し、視えぬ目の代わりとなって生きる術を教えていくんだろう。

「なぁ……」

 男達は誰も私を見ようとしない。

 私は最後の望みを男たちに伝えた。

「約束通り、あの子を一生面倒見てやってくれよ?こんなひどい年がまた来ても、私みたいな目には遭わせないでやってくれ」

「わかっている。約束する」

 掠れた声で一番年嵩の男が答える。彼は彼なりに私を悼んでいる。

 彼の実直さに、私は縋るように言った。

「ありがとう。くれぐれも頼む」

 雪の上に両膝をつかされ、目を閉じた。

 一息の後、鈍い音と共に後頭部に強い衝撃を感じる。

 血と脳漿が温かい湯気を立てて飛び散り、肺に入っていた空気が口からぶつぶつと漏れる。

 もう痛みも、雪の冷たさも感じない。

 視界が昏くなる。

 呼吸が止まる。

 心臓が止まる。

 でも聴覚だけは生きている。

 私の身体は、石斧で叩き斬られている。

 肉を、内臓を、腱を、関節を石の刃で切り離されている。

 嫌な音を立てながら、私はばらばらにされる。

 一人の男が積もる雪を貫いて杭を地に打ち込み、その上端を斧で割って尖らせる。

 男は私の髪を掴み、首の断面にそのささくれて尖った部分を押し当てると一気に体重を掛け、私の首は墓標のように杭に突き刺される。

 これは、精霊への供物だ。


 こうして私はいなくなった。


 私の身体で、飢えたみんなが春まで生き永らえられるなら……

 私の娘が、生きることを保証してもらえるなら……


 そのとき、何か意志を持たぬ波動のようなものがふわりと若い女の残骸を覆った。

 男達がそれぞれ持ち帰るために皮袋に詰め込み始めた肉片もそれは流れる水のように浸していく。

 彼らは気づかず、生きるために同胞を屠殺し解体した場から立ち去って行った。

 ややあって、血に染まった雪が青白く燐光を発し、鉛色の空へと向かって緩やかな風が吹きあがる。

 その風に吹き上げられながら、不可視なものがふわふわと人のかたちをとり始めた。

 文字通り人々の糧になるために死んでいった女の血塗れの頭部にそれは「手」を伸ばし、血に汚れた目蓋や鼻、薄い唇の奥の白い歯や舌、組織の垂れさがる首の断面、黒髪や陥没した頭蓋にしげしげと触れ、撫で回し、弄び始めた。


********************


 その日は雨で、ヴォルフリートは黒い服を着せられていた。

 教会の祭壇の前にきれいな棺が三つ並んでいる。

 白い布がかかって、たくさんの花が飾られている。

 でもあの棺の中は潰れた肉の塊だ。

 もう二度と彼を抱いたり、撫でたり、遊んだり、笑いかけたりしてくれない父と母、それと兄だ。

 彼が車の後部座席で横になって眠っていると金属やガラスに凶暴な力が加わる恐ろしい音がして、目を覚ますと車の上半分が完全に潰れていた。ダンプカーに正面衝突し、車は車高のある巨大な車体の下へめり込んでしまったのだ。

 父と母、兄は胸から上がすり潰されたように無くなっていた。

 ヴォルフリートは、目の前3cmに迫る歪んだ車のルーフの下、隣にいた優しかった兄の温かい血でぐっしょり濡れていた。


「あの子、泣かないのね。家族みんな亡くなったってのに」

「気味が悪いくらい大人しいわね。手探りで歩いてるみたいだけど目が悪いの?」

「心因性の弱視ですって。事故からずっとあんなふうみたいよ」

「でももともと色覚異常もあるって……誰があの子の面倒見るのかしらね」

「確か11歳って言ってたかしら? これから難しい時期じゃない?」

「でも保険金や賠償金があるから……」

「しっ! あの子に聞こえるでしょ?!」

 喪服を着た女たちは憚りなく話す。特に老女たちは耳が遠くて、自然と声が大きくなる。

 一昨日まで、ヴォルフリートが家族と共に暮らしてたこの家に親類が詰めかけている。

 父がいいことがある日にだけ少しずつ飲んでいたブランデーをみんなで勝手に空け、兄が大事にしていた飛行機の模型を親類の子どもが投げて遊び、壊した。

「うちはみんなブロンドなのに、あの子だけブルネットだわね。色も黒いし」

「あの子の母親、移民のハーフだったから」

「ゲルマン人よりああいうののほうが図太いんじゃないか? 運よく生き残っちゃってるし」

「運よくっていうのかしら? 運悪くじゃないの?」

 何が楽しいのか、笑い声さえ聞こえる。

 ここは僕の家なのに、もう僕の居場所はないのだ、とヴォルフリートは思った。


 ヴォルフリートは家から抜け出して、手探りで家の裏に生い茂る林の中へ歩いて行った。

 目がぼんやりとしか見えない。自分の庭のように遊びまわっていた林の中の小道で何度も転び、ズボンの膝は裂け、泥まみれになった。

 だがもう何もかもから離れたかった。

 どのくらい歩いただろう。もう道などなかった。

 顔に細い木の枝が当たる。足の下で枯葉が滑り土が崩れる。雨に濡れて、シャツが肌に貼りつき、靴の中に溜まった水が歩くたびに嫌な音を立てた。

 地面が傾斜している。丘陵地帯の森へ入りこんだのだ、と彼は気づいた。

 もう自力では戻れない。でもそれでいい。


――なんで僕だけ、生き残ってしまったんだろう。

――僕も一緒に行きたかった。

――僕は独りぼっちだ。


 歩くうちに突然、暗い木陰から開けた場所へ出た。

 そこには、何か灰色の、植物が絡みついた建物があり、その下にうすぼんやりとした金色の光に包まれた背の高い女が一人、立っている。

 雨が、女の上を避けて降っていた。

 ヴォルフリートの目には、他のものは霞んでほぼ見えないのに、その女だけははっきり見えた。

 黒い長い髪はぼさぼさで破れた服を着ている。

 少し浅黒い肌に切れ長の目。

 北欧系先住民の血を引いてるように見えた。

 女は黄色っぽい眼で泥まみれの黒髪の子どもをじっと見た。

 その目つきは鋭かったが、ヴォルフリートは不思議と怖くなかった。

「変なガキ」

 女は近寄ってきて、右手を伸ばしヴォルフリートの額の真ん中に人差し指を当てた。

 痩せて削げたような頬ににっと悪戯っぽい微笑が浮かび、びりびりとした痺れのような、それでいて暖かいものが女の身体から伝わってくる。


 頭の中に風が一瞬吹き抜けるような感覚。


――視える!

――今まで見たこともない色が!


 赤っぽく、野のけもののように発光する金色の眼で女は言った。

「お前、オルガン弾けるか?」

 それがヴォルフリートとルルゥの出会いだった。


 それからほぼ毎日、学校が引けるとヴォルフリートはそこへ行った。

 塔の中に置いてある古ぼけた足踏みオルガンを下手なりに懸命に弾いていると、三日に一度ほど、彼女が現れる。

 たまに一週間ほど現れないときもあり、半月ほども姿が見えなかった後に久しぶりに会った時はヴォルフリートは思わず泣き出しそうになった。

「ルルゥ! どこ行ってたんだよ!」

「……どこって?」

 ぼんやりと返すルルゥにヴォルフリートは何故だか苛々する。


―― Amazing grace how sweet the sound

That saved a wretch like me.

I once was lost but now am found,

Was blind but now I see.


 いくつか音の出ない鍵盤のある朴訥なオルガンの音に合わせて、声変わりしかけた軋む声で歌ってやる。とても上手とは言えないが音階は几帳面に正確だった。

 弾いている曲の歌詞を教えると、彼女も楽しげに声を合わせてくる。

 彼が楽譜を持ってくる簡単な曲の他に、ルルゥは塔の床に散らばり、紙を漂白するリグニンのせいで黄色く劣化している古謡の楽譜を指差して「これ弾けるか」と言う。

「昔ここにいたやつが弾いてた」

 初見の楽譜に途中で何度もつっかかりながらも何とか弾き終え、ほっと息をつく。

 楽曲と言えるかどうか、頭を捻りたくなるほどの下手な演奏にもルルゥは喜色を浮かべる。

「すげえな!」

 彼女はふざけたようにヴォルフリートの頭を抱きかかえ、どぎまぎとしながらヴォルフリートも腕を回す。

 しかし、そこには何もない。

 何の手応えもなく、虚空に腕を持ち上げているだけの状態。

 確かにそこにあるのに、まるでホログラムのように何も触れない。

 なのに、ルルゥ自身が触れている部分は確かに肉の感触がある。柔らかい胸も、細く骨ばった腕も。

 頼りなげな幼い顔に浮かぶ怪訝な表情に、ルルゥがくっくっと笑った。

「触ってみるか」

 ルルゥがそう言った途端、女の身体のヴィジョンのみで実体が存在しなかった場所に物質の存在感が現れ、ヴォルフリートの腕はルルゥの体に巻きついた。

 なぜか、それが約束されたことのように受け容れられ、ヴォルフリートはほとんど驚かなかった。

 ルルゥの身体はひんやりと温かみがなく、いつも木々の緑の匂いがした。

 もはや彼は自分が不幸だとは思っていなかった。


 見えるようになったと思った彼の眼は、この森の中だけでしか機能しない。

 緑にこんなにデリケートな濃淡があるとは、彼は思い描いたこともなかった。

 初めて見る色鮮やかな世界。

 緑と赤が、黄土色や灰色とは完全に切り離された世界。

 それがここだけに存在しているということに、彼は一つの理由を見出していた。

 ルルゥがここにいるからだ。

 彼女が手を触れた蕾は、みるみる花が開く。

 空に手を差し伸べれば、蝶や小鳥が舞い降りてくる。

 雨上がりに彼女が手を伸ばし空を一撫でして見せ、その掌の軌跡に虹が出たときなど感激で涙が出た。

 色が視えなかった彼には、それが初めて見る天空のアーチだった。

 ヴォルフリートが様々な現象に驚き、喜ぶとルルゥは嬉しげににっと笑う。

「今の……どうやったの?」

「わからねえ。こうなる、と思うとこうなる」

 彼女は言葉遣いも立居振舞も品がいいとは言い難い。

 不思議な力を持ちながら、ともするとヴォルフリートよりも知識も思慮もへらへらと浅い。人の気持ちを察することなど一切ない。

 それでも彼女に触れられると彼は、自分がルルゥに選ばれたという矜持を感じ、胸の奥に灯りが点るような気がする。

 彼はそれまで家族、そして自身を取り巻く社会に向けていたものを、今目の前にいる人ならぬものに総て振り向けた。


 そして3年が経った。


 拒絶されることに怯えながら、会うたびにおずおずと甘えてきたが、いつもルルゥは屈託なく笑顔で彼を抱き止めた。

 それを拠りどころに過ごす日々。

 心は幼いままでも体は男の機能に目覚めていく。

 体の奥から湧き上がる声に従って縋りつくように身を重ねたのは数日前だった。

 何の外連味もなく自分を受け容れてくれるルルゥに、まだ年端もいかないくせにヴォルフリートは心身ともに溺れ、ろくに人と口を利かなくなっていた。

 弱視が治らないことを理由に彼を弱虫呼ばわりして殴り、事あるごとに男らしくあることを強要してくる大叔父の家にいるときも、うるさくて敵わないガキどもで溢れかえる学校にいるときも、ルルゥのことが片時も頭から忘れなかった。

 そんなヴォルフリートにとって、ある日ルルゥの発した言葉はひどく残酷だった。

「男っていうのは、こうするのが好きなんだな」

「え?」

「私に会った男はみんな、私に触りたがる」

面白がっている口調に、ヴォルフリートは一瞬何のことを言っているのかわからなかった。

「ここに住んでたやつも、ここを建てたやつらも……私がこの『かたち』になってから会った男はみんなお前みたいにくっついて、乗っかってきたぞ」

 その意味を理解したとき、少年は胸に銛でも打ちこまれるような衝撃を受けた。

 ヴォルフリートはひどく生々しい不快さ、そしてルルゥの身体に不潔感を覚える。

 彼女が望まなければ誰も彼女には接触できない。

 男達がルルゥに触れられたとしたら、ルルゥ自身が身を許したということだ。

 ルルゥが男達の行為を笑って肯定しているのがたまらなく厭わしい。

 ルルゥはヴォルフリートの頭を撫でながらけらけらと笑い声をあげた。

「がきんちょもおっさんも年寄りも、男ってみんな似たようなもんだ」

 彼はやっと悟った。


――僕が特別なわけじゃない。僕も、その中の一人なんだ


 依存心も愛情も他に振り向けるべき存在がいない、そしてその存在を作ろうともせずただひたすらルルゥに惑溺しきっていた少年は背筋が冷たくなった。

 しっかり抱きしめていた体を突き飛ばすように離す。

 みるみる喉から心臓にかけて焼き尽くすような、怒りと悲しみと独占欲の綯交ぜになったものが湧き出してくる。

 生まれて初めての感情だったが、これこそが嫉妬と呼ばれるものだと彼はすぐに理解した。

「……何笑ってるの」

「可笑しいから」

 邪気なく不思議そうに返され、自制の箍が弾け飛ぶ。

 ヴォルフリートはルルゥの髪を掴んでぐいと引き倒し、昂ぶりに任せて土埃まみれの床を振り回すように引き摺った。

 彼女は一度も、生きているものに対し力を振るおうとしたことが無い。 この時もルルゥは合点の行かない顔で、しかし声もあげずなすがままになっていた。

 もう体躯は彼のほうがほんの少しだが大きい。膝下に引き据えて馬乗りになり、声を荒げた。

「もう他の男の話はしないで!これから二度と僕以外の男に触らないでよ!」

 語尾が震え、視界が水の潤みで歪む。

「ねえ!」

 ルルゥがぽつりと言った。

「……みんなそんなこと言ってた」

 ルルゥのシャツを剥ぎ取ろうとしていた手がびくりと止まった。

 彼の顎から、涙がぽたぽたと手元に落ちた。

 彼がここへ持ってきて与えた、自分には小さくなったシャツがルルゥの皮膚の上で水の粒を吸い込んでいく。

 ルルゥは続けた。

「だけどみんないなくなっちまった。お前だってきっとすぐに……」

 ルルゥはヴォルフリートの顔に手を伸ばした。指の腹で、眉、目、特徴的な鷲鼻、濡れた頬、わななく唇に柔らかく触れていく。

「みんなみんな、行ってしまう。私は、変わらないのに」

 そして、顎、嗚咽に震える喉、肩、腕と伝って力の抜けたヴォルフリートの手を取り、頬に押し当てて切れ長の目を細めた。

 嗚咽を押しとどめながら、少年は訊ねた。

「寂しかったの?」

「それも時々訊かれた」

「ルルゥは何て答えたの」

「『寂しいって何だ?』って言った」

「ちゃんと答えてくれる人はいた?」

「『大好きな人に会えなくなって独りぼっちだと感じるときの気持ち』だってよ……やっぱわかんねえ」


――僕にはわかる。

――彼らは君に拠りどころを求め、君にも自分の不在に寂しがって欲しかったんだ。


「ルルゥはずっとそばにいてくれる誰かが欲しくないの?」

「……わかんねえ。どうせすぐいなくなるし。お前らは私と違う」

 水のように、手の内にあるかと思えばすぐに零れ、流れ出ていくもの。

 彼はルルゥのことをそう思っていた。


――ルルゥも、僕のことを、僕らのことを、いや森羅万象全てをそう思っているのかもしれない。


「もし、僕がいなくならずにずっと一緒にいたらどうする?」

 ルルゥのひんやりとしたキャラメル色の身体を幼稚な性急さで揺すり立てながらヴォルフリートは訊いた。

「……もう他のやつとこんなことしたりしない?」

 浅い息の下、詰るように問われ、今の自分の状況にもヴォルフリートの思いにも特段何の感慨も抱いていなさそうだったルルゥは少し考え込んだ。

「そうだな……毎日オルガンを弾いてくれるなら、多分」

「多分じゃ嫌だ」

 激しい所有欲。

 自分の中での唯一無二の存在にとって、自分も等しく唯一無二でありたいと願う心。

 それが自分の中で爆ぜる。

 ルルゥはじっとその表情を見上げていたが、終わったと見るや実体を失くしふわりとヴォルフリートの身体の下から影のように抜け出した。

 組み敷いていたものを突如失って床に這いつくばっている彼にルルゥは乱れた着衣で背を向けたまま、初めて人に似た感情を滲ませた声で言った。

「私は、いったい何なのか、どうして生まれて、いつまで生きるのか……」

 ルルゥは少しうなだれた。

「人に触れたことで……何も考えなかった私が、なんかこう……ああ、わからねえ……何ていうんだろう。けど時々人の声が聞きてえんだ。なんだろうな、この感じ……」

 目の前でルルゥの後ろ姿は実体を失くして大気に混じり、煙がくゆるように消えた。ヴォルフリートの手に絡みついていた数十条の黒髪も一瞬光った後、熱もなく虚空に溶けて行った。

「……」

 我知らず、ヴォルフリートは唇を強く噛みしめていた。

 口元から赤いものが滴り、床に落ちる。

 朽ちかけた木の床に落ちたそれは、土埃にまぶされて丸く滴のかたちを保っていた。

 ぼんやりとそれを見つけていると、奇妙なことに、それはちりちりと青く光を放ち始める。


 ルルゥに出会いさえしなければ信じることもなかったが、ここは常世の住人の存在する地。

 ここでは、生きているただの人間たる自分より、自分の身体から迸り出た生命力の象徴のほうが呪術的な強い意味を持つようだ。

 微かな光を見つめながら、少年はある決意をした。


 どうせ僕の目の前には濁った色に満ちた、誰も僕を愛してくれない世界が広がっているだけだ。

 ルルゥの周りに極彩色の光が溢れ、そこだけ世界は美しい。

 そこにいられるなら僕は何でもする。

 もう僕は、他に何もいらない。

 僕が、僕自身であることさえも。

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