3分で読める小説集
Aska
新宿編
今月の給料は残業が多かったせいか普段よりかなり多く貰っていた。給料明細を見ながらニヤけるのを我慢すると同時に、私は妻に一通のメールを出した。
暫くしてから汐子から返事が来た。18時前くらいには新宿に来れるという話だ。
今16時だが、おそらく定刻通りか、少し過ぎたくらいには仕事が終わるだろう。私は目の前にあるエクセルファイルに数字を打ち込みながら思った。今日は特にミスに気をつけなければ。
私が仕事を終え新宿駅南口に到着し、数分後汐子が現れた。
「お待たせ!俊朗さん待った?」
「いや、ほんの数分。
それより、今日はいいとこ連れてってやるよ。ついてきて!」
私は汐子の手を引いて、2人で歩いて行った。
来たところは駅前の高層ビルのデパートだった。
「汐子、手を出して。」
何も疑うことなく手を開いた汐子の手に、
私は一万円札を三枚開いて渡した。
「それで好きな物を買いなさい。」
汐子は驚いていたが、次第に頬を赤らめ嬉しそうな顔をして、売り場へと向かって行った。
私はデパートの一角で暫く汐子が何を買うのか楽しみにしながら待っていた。暫くして現れた汐子が買ってきたものは、グレーのトレンチコートだった。
「汐子…それ、女性用じゃなくて、男性用だぞ?」
「…これ、俊朗さんにっ!」
「いや、気持ちは嬉しいが、汐子が買いたい物を買ってよかったんだぞ。」
「これが一番買いたいものだったんです。だって、学生の時から使ってるコートでボロボロだったから…」
私はその場で汐子を抱きしめた。
彼女は私にとって最高の女性だと思った。
ちなみに、汐子は私の妻ではなく不倫相手である。
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