頼もしい味方
「チッ!囲まれたか。」
俺は探すのに夢中になって、注意してなかった。いつのまにかバトルウルフ5体に囲まれていた。
「ん?おかしい……。」
俺は異変に気付いた。バトルウルフのレベルがおかしかった。ゲームではバトルウルフのレベルは50前後なのに俺を囲んでいるバトルウルフたちのレベルは80前後とレベルが高い。未来の俺の話だと魔族の幹部以上だけ異常にレベルが高かったと言っていた。
グワァ!
考えているとバトルウルフたちが一斉に襲いかかってきた。今の俺なら余裕で倒せるが、今はそれは避けたい。
俺はバトルウルフの攻撃を次々とかわした。
「待ってくれ!俺はお前たちと戦う気は無いんだ。」
ウルフは知能が高いため人の言葉も理解できる。俺は何度も戦う気がないと言ってるがそれでもウルフたちは襲ってくる。
「ちょっとまっ!……っとあぶねぇ。」
まだ森の中で探したかったが仕方ない。俺は時空魔法で転移しようと思ったが………突然悪寒が走った。
「なんだ……?何かが来る。」
バトルウルフたちも襲ってこなくなった。それだけではなく少し怯えているように見える。それもそのはず。今の俺では勝てないような何かがこっち近いて来ている。
いや、俺はその正体を知っている。
「っ!!やっぱりか!」
森の奥から現れたのは3体のウルフ。だが、3体とも俺より強い。銀の狼シルバーウルフ。金の狼ゴールドウルフ。そして、真ん中の一際大きく漆黒の狼がエンシェントウルフ。
シルバーウルフ レベル2500
エンシェントウルフ レベル8000
ゴールドウルフ レベル3000
ゲームではシルバーウルフはレベル600。ゴールドウルフが700。エンシェントウルフは1050。全然違かった。
どういうことだ?何でウルフもレベルが高くなっているんだ???……まさか!!
俺はこの異常事態がもしかしたら未来の俺のせいなんじゃないかと思った。未来の俺が、現在の俺に干渉してきたから何らかの影響がこういう形で現れたのではないかと思った。
それにしても魔物が強くなっているってことは、魔族も強くなっているってことだろう。明日来る魔族がとんでもなく強かったら今の状態では絶対に勝てない。今日中にあの魔物を見つけるしかないな。そんな事を考えていると、
「おい。人間の小僧。この森に何の用だ。」
レベルの高いウルフはゲームでも話せていたが片言で話していた。だが、普通に話せている。これも未来の俺の影響なんだろうな。
もうすっかり俺を襲ってきたバトルウルフたちは静かになっていた。
「えっと、ある魔物を探しに来ました。その魔物をどうしても倒したいんです。」
「そのある魔物とは我らウルフのことではないだろうな?」
エンシェントウルフが俺をジッと睨んできた。
「王よ。こんな人間のガキさっさと始末してしまえば良いのでは?」
「そうです。なんなら私がさっさと始末しましょう。」
両隣のシルバーウルフとゴールドウルフは俺を始末したがっている。シルバーウルフが一歩俺に近づいて来た。
「待て。いいから下がっていろ。我はこの人間に興味がある。おい!小僧。名は?」
「あ、アレンです。」
「アレンよ。お前が探している魔物はウルフか?」
「いえ、俺が探しているのはクリスタルスライムという魔物です。」
俺が答えるとエンシェントウルフはとなりのゴールドウルフとシルバーウルフに「知っているか?」と聞くとが「知りません」と答えていた。
まぁこの世界の人では知ってる人はいないかもしれない。そのくらい見つからない魔物なんだ。
「我もそんな名前の魔物は聞いたことがない。本当にそんな魔物がいるのか?」
「はい。絶対にいます。」
「ふむ。ならば何故その魔物を倒したい?」
なんかすげー聞いてくるな。まぁいいか。
「それは……信じてもらえないかもしれませんが、明日俺の住んでいるハージ村に魔族が来るんです。そいつらを倒すにはその魔物を今日中に見つけ、倒してレベルを上げなければならないんです。」
「ふむ。信じられないが嘘を言っているようにも見えん。」
未来の通りの強さの魔族なら絶対に勝てるが、そうとは限らなくなってしまった。今日中にレベルを上げないとみんなを守れない。
「では、アレン。その魔物を見せてくれると約束しろ。そうれば明日は我らが魔族を倒してやる。」
「え!?本当ですか?」
ま、まじか!それならイケるかもしれない。
「約束します!絶対に!」
「そうか……ならばもう帰れ。明日は我らが魔族を倒してやる。」
「ありがとうございます。」
俺はウルフたちに土下座をしてウルフの森を後にした。頼もしい味方が出来て気が楽になった。
家に帰ると豪華な料理が食卓に並んでいた。父さんと母さんはもう椅子に座っている。
「ただいま。」
「お帰りアレン。どこ行ってたんだ?」
「ちょっとヨワイの森に……ね。」
「あ!10歳になったら入っていいとは行ったけど早すぎよ!」
「で、でもあまり奥まではいってないから。」
「まあまあ。リーシア。今日はアレンの誕生日だし、初めて誕生日に家族そろったんだ。大目に見てやれ。」
「うーん。そうね。そうするわ。」
ナイス!父さん。
「よし!それじゃあ食うか。」
「そうね。」
「うん。」
俺が椅子に座った後手を合わせ
「「「いただきます。」」」
俺は最高の誕生日を迎えられた。
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