第29話:条件の再提出

 その後、「こっちの席に2人とも来て一緒に飲もう」と言ってくれ、「最初に山北社長が、いただきますと盃をいただき、次に池田松男が盃をいただくと、お流れ頂戴致します」と、通る声で言うと、回りが、ざわついて、こっちを注目した。「久しぶりだな、そんな言葉を聞くのも」、と言って、池田に、「あんた以前、どんな仕事していたと、聞くので、N保険の外交員をしていて、世田谷支店の支店長をしていました」と言うと、「やっぱりな、保険と言えば、営業のプロが、競い合ってる業界で、知り合いも多かった」と、懐かしそうに言った。


 ところで、なんで、辞めたんだと聞かれて、「2000年の日本のネットバブル崩壊で、世の中が不景気になり、会社から、部下の首を切れ」と、言われ、「できないと、本社の営業部長とやり合って、どうしても部下を切ることができない」と、言ってるうちに、会社に、嫌気がさして、早期退職したと言うと、「気持ちは、良くわかると、同情してくれ、確かに、そんな時代もあったよな」と言い、山北社長に、「面白い奴を雇ったな」と言った。


 悪いが、「あんたより、よっぽど、面白みのある奴だ」と豪快に笑うので、「そんな殺生な」と、山北社長が言うと、大笑となった。「2013年1月15日まで、新提案を提出して、気に入ったら、お前の所を使ってやる」と、言ってくれ、「山北社長と池田松男が、ありがとうございます」と言って、2次会が終わる時間となって、山北社長が支払いを済ませ、帰ることになった。


 帰る途中、喫茶店に寄って、山北社長に、池田が、「企業団体会員権を買ってもらえなかったけれど、団体で、我が社の施設を使う事が、嫌というわけでなくて、条件が合えば良い」と言われたので、「一歩前進と考えて言いですよね」と言うと確かに、と言ったが、具体的に、何を考えてると、山北社長が、池田に聞くと、「我が社の施設も施設ごとに、混み合う時期と、空いてる時期があるはずで、空く可能性が高い時期に、その施設に、団体50人でも、宿泊してもらい、2割引きで、利用してもらえば、良いじゃないですか」と言うと、山北社長が、それで行こうと言い、会社に帰り、「施設ごとに、閑散時期のデータを整理して、2割引の提案をして行く」と言う事で決まった。


 具体的に、検討した結果、「10-11月と1月5日から1月末日迄の土日、祭日含まない、平日3日間の沖縄の施設」、「12月~2月末迄で土日、祭日を含まない3日間の北海道、大阪、奈良、神戸、九州の施設、4月中旬-6月、7月1日から25日迄で土日、祭日含まない3日間、信州と関東甲信越の施設に、50名単位での施設利用で2割引にする」という計画書を考え、最終的に、この案を、甲斐社長に提出する事で、社内での了解をもらった。


 2012年12月24日、クリスマスで、松男と幸恵さんがクリスマスパーティーをして、やがて2013年を迎え、2013年の1月10日に山北社長が、ステーキの会社の甲斐一郎社長に電話をして、2013年1月16日の面会予約を取って、山北社長と池田松男が、甲斐社長の部屋で、この話をすると了解してくれ、総務部に電話をしてくれて、そちらへ行くように言われ、失礼した。総務部へ行くと、北村総務部長が提案書と山北リゾートクラブの施設のパンフレットを渡し50名単位で、土日、祭日を含まない、指定のシーズン、3泊4日以上の料金を20%引きで提供しますと説明すると内容を理解してくれ福利厚生課の担当者2名を呼んで、詳しい事を聞いておいてと引き継いでくれた。


 また同じ話をすると、「50名、みな同じでは使い勝手が悪いから10人単位で、この条件の時期と施設を使わせてくれないか」と福利厚生課長に、聞かれ、池田松男が、構わないじゃないですかねと、山北社長に聞くと、結構ですよと返事をして了解してくれた。


 最後に池田松男が旅行の3日前に入金する事、キャンセル条件は同じ当日キャンセルは全額支払い、前日は半額の支払い、2日前は3割支払いの条件となっていますので、くれぐれもご注意下さいと付け加えると了解しました。


 この条件で、山北リゾートクラブの施設を我が社の福利厚生に、使わせていただきますと言ってくれた。この話を聞いて、山北社長と、池田松男は、福利厚生課長に、お礼を言って、頭を下げた。帰りに、2人で、飲み屋に入り、仕事の成功を祝して、乾杯した。

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