第9話:不景気の洗礼を受ける1

世田谷マダムのテニスクラブへ行くと、一番仲の良かった池上さんの家に行くと玄関や窓が、閉められており、隣の方に、聞くと、「御自宅を、売りに出されたみたいなのですが、まだ売れてない様です」と言われた。


 その足で、池辺さんのお宅を訪ねると、池上さんは、以前、銀座で有名な天ぷら屋を旦那さんが経営していたが、2年前から、客足が減り、ちょっと前に、銀座の天ぷらさんを訪ねると、シャッターがしまったままで、まだ店が売れてない見たい様だった。隣の店の人に聞くと「借金も多い様で、何にも言わずに、来なくなった」と言い、何か「田園調布の家も売りに出して、居所が、わからない様です」と教えてくれ、「あなたも、お金を貸していたのですか」と、逆に、聞かれる始末だった。


 その後、池上さんの友人でテニス仲間の池辺さんの所へ行って話を聞くと、「今、世田谷テニスクラブは、活動していないの」と言われた。お茶を入れ替えて、「池上さんの事は、悪い言いたくないけれど、実は世田谷テニスクラブの会費を持ち逃げして、仕方なく、私が100万円立て替えたのよ」と言い、「新しく入った奥様方は、30代40代と若くて、話が合わないし、また、噂では、腰が軽くて、テニスクラブのコーチのアバンチュールを楽しんでる」という噂話も出ていると聞いて、活動をやめたと言い、「何せ、今、不景気な、冬の時代でしょ、じっと我慢して、絶えるしかないわね」と笑った。「池田さんの会社も大変でしょ」と同情される始末で、少しして、失礼した。


 世田谷営業所へ帰ると、「東京営業部の鮫島太一部長から電話が入った」と言われて電話をすると、「世田谷営業所の交際費が多すぎると、本社の経理から言われて困った」と言い、「このまま世田谷営業所の数字が上がらないと、私が、経理部から、また、つるし上げを食らう」と言われた。


 しかし、今までの付き合いは、切れないし、困り果て、来週水曜日、2001年3月10日、真田課長と今井課長と3人で会議を開き、打開策を考えたが、交際費を減らすと言うことは、お客さんとのパイプを切る事になると言われた。すると、今井課長が、「池田所長が交際費を使ってでも業績を上げろと言われて仕方なく、交際費を使ったのに急に、交際費を減らせ」と言うのは、どういうことですかと、怒って、「以前の清水良助所長の時は、N保険の保険は保証内容も充実しているし、今までの歴史もあるので、自信を持って説明して、お客さんに奨めろ」と言い、「小手先を使う様な営業は、いつまでも続かないからするな」と言われ、今度、池田所長になって、逆の事を言われ、この結果じゃないですか、最後に、「池田所長には、ついて行けない」という始末だった。


 「そこで、どうしても、関係を切れない先には、池田所長が同行して、謝りに行く」と言うと、いくら上司でも、お客さんにとっては、他人、「見ず知らずの人の言うことを、はい、そうですか」と聞くわけないと、今井課長が、大声で言った。


 それに対し、池田所長が、「そうかもしれないけれど、誠心誠意、話せばわかるんじゃないか」と言うと、「そんな古くさい営業は、時代遅れだ」と言い放った。さすがに、この話を聞いていた真田課長が、「それは言い過ぎだよ、池田所長が来て、業績を上げて、僕らだって多くのボーナスや、業績表彰と多額の報奨金をもらったじゃないか」と反論してくれた。

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