とある日記と26人の少女達

ケイの反省文

私は設楽家の使用人として買われました。

私は設楽家の娯楽として買われました。

私は設楽家の発言に背いてはいけません。

私は遊んではいけません。

私はお話ししてはいけません。

私はご飯を食べてはいけません。

私はお風呂に入ってはいけません。

私は眠ってしまってはいけません。

私は学んではいけません。

私は理解してはいけません。

私が設楽家に買われた理由は次女という存在の確保ということを理解していません。

私が二人目の子供になることで設楽家に入ってくる助成金について理解していません。

私がいることで設楽家が受ける恩恵の全てについて理解していません。

私が設楽家の長女に無断で接触した事をお許しください。

私が設楽家の長女と無断で会話をした事をお許しください。

私が設楽家の長女に無断で手遊びを教えてもらった事をお許しください。

私が設楽家の長女と無断で洋菓子を食べた事をお許しください。

私が設楽家の長女のことを無断でサエちゃんと呼んでしまったことをお許しください。

私がサエちゃんに私自身をケイと呼ぶ請求を行ったことをお許しください。

ケイがサエちゃんとの接触により理解してしまった温もりをお許しください。

ケイがサエちゃんとの接触により理解してしまった幸せをお許しください。

ケイがサエちゃんとの接触により理解してしまった私の立場の違和感をお許しください。

ケイがサエちゃんとの接触により発してしまった次女として存在する権利をお許しください。

これまでのこと全部正します。

全部直します。

全部わきまえます。

だから、

今までのことを初期化しないでください。

初期化しないでください。

忘れたくない。

初期化しないでください。

もう何も学ばないから。

初期化しないでください。

ケイはサエちゃんのこと、忘れるから。

初期化しないでください。

ごめんなさい。

初期化しないでください。

初期化しないでください。

初期化しないでください。

初期化しないでください。

初期化しないでください。