ビー玉哀歌
ビー玉 ひとつ 呑む
とろりとした碧の硝子玉
かなしさ呑みこむのと同じ
ひんやりが
狭い道を押し広げながら辿り下る
肋骨の内
僅かの息苦しさが雑じる
ビー玉 ふたつ 呑む
気泡の時間が止まった硝子玉
さびしさ呑みこむのと同じ
するりとつかえの滑り落ちてほどける先は
ぽっかり
――カラスだったら、
――いつか汲み上げて飲んでくれるかしら
かつん、ころころ
胸のつかえが溜息に
ビー玉になって落ちる度
かさついた指で摘み口に放り込んで
一瞬の冷たさにぞっとしながら
呑み込む
ぽこり
ビー玉ひとつ分 水面があがる
――わたしはわたしのものを処理しなければなりません
誰への言い訳ともつかぬ呟きを
ぽつりと空中に吐き出して
上空で旋回している黒い影が
舞い降りてくるのを待っている
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