河の上をゆく
はるか眼下
水飛沫があがる灰青色の濁流を
人が手を両手をあげて流れていく
私はそれに手を振って見送る
流れる人はみるみるうちに遠くなった
濁流に流れた人は
世界のどこかに生まれ出ているだろう
私は鉄骨一本の橋を渡る
もうずっとこうしている気がするけれど
定かじゃない
それにしても右手に持った靴は
いつ履けばよいのだろう
当然ながら誰にも出会わないから
私は夕方にかわす挨拶を
すっかり忘れてしまっている
さっきの人に尋ねればよかったと
後悔しながら鉄骨を踏む
口ずさむのがハミングなのは
もちろん歌詞を忘れてしまったから、
ではなく
もとから知らないからだ
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