昨日のこと(4)
とりあえず、申しわけなさやどうしようもないことのどうしようもなさも手伝って、私が向こうの頭を撫でてみたのですが。
言うことならば決まっていました。ただ、どう切り出そうか、頭を撫でながらぼんやり虚空を見て、考えていたとき――。
夫が、言いました。
「ご迷惑を、おかけしまして」
びっくりしました。
それは、私がいままさに言おうとしていたことでした。
『ご迷惑を、おかけしますね』
って。言おうとしてたんです。だから――さっき泣いたばかりの顔でふふっと思わず、笑ってしまいました。
「……おんなじこと言おうとしてた。ちょうど。びっくりした」
って。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます