謎テンションが悪いんだ!

ゆうすけ

Round0 事の発端。謎テンションが悪い!

 昨日、現在執筆中のエッセイで一つのヤマ場を書き終えた。


 昔を思い出しながら書いてるとなぜか不思議な高揚感が体内を駆け巡る。


 公開して一晩明けると、いつも読んでくれている読者の方々から続々と反応が帰ってくる。感触は悪くない。いや、むしろとてもいい。


 なぜかイケメン認定されていたりするのが恐れ多いが、とにかく嬉しい。エッセイと読者の方からの反応を妻に見せびらかしたくなる。当然そんなことできるはずもない。書いている内容が危険すぎる。最悪離婚話になりかねない。


 今日一日気分も軽く仕事をし、仕事の合間にコメントを読んではニヤけるという超キモい行動を取ってるうちに終業時間になった。


 妻は今日は帰りが遅い。


「夜ごはん食べてきてね」と朝申し訳なさそうな顔で言われた。


 せっかくなので街に繰り出した。


 まだ夕方6時過ぎ。飲みに行くのも違う気がした。


 久しぶりに駅前の楽器屋を覗いてみた。それが間違いだった。




 また、買ってしまった。


 さして広くもないうちのマンションにギターが4本もあるのがそもそもおかしい。それにさらにもう1本加わってしまった。色も今持ってるどのギターとも違うブラウンサンバースト。


 冷静になって頭を抱える。


 これはバレる。まず間違いなくバレる。


 とりあえずしばらくの間、新しいギターには押入れに隠れていてもらうのが妥当だが、押入れのキャパもギリギリだ。


 まずい。


 もうすぐ妻が帰ってくる。


 ヤバい。新しいギター早く隠さないと。


 でもこの吸いつく弾き心地、いつまでも弾き続けてしまう。


「なんでまたそんなの買ったの!」


 絶対言われる。


 まさかエッセイ書いてテンションが上がったからなんて言えない。見せろと言われるに決まってる。


 読者に褒めてもらえたからなんてもっと言えない。


 ギター弾くのやめられない。


 ああ、破滅の時間が迫ってる。


 全部謎テンションが悪い!





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る