ノーザンライツ ~光より生まれし子どもたち~

青居月祈

 世界の情勢なんて、これっぽっちも興味なんてなかった。

 小学生なんてそんなものだ。

 世界は、自分の両腕を目一杯広げて、ぐるぐると走り回った程度あればいい。

 くだらないことをして笑い合ってられる友達と、後ろで見ていてくれる家族と、少しの冒険ができる場所があれば、それでいい。それがよかった。


 けれど、いつまでもそう言ってられないらしい。

 テレビのニュース番組で流れた、大規模な爆撃の様に、嵐志あらしは目を見開いた。


 2022年2月24日。

 ロシアがベラルーシ、ドンバス地方、クリミアという北・東・南の3方向から、ウクライナへの攻撃を開始した。


 爆撃で崩れ落ちる建物と、瓦礫の山。

 夜の暗がりの中で、煌々と燃えるオレンジ色の炎。

 病院のロビーらしきところでは、負傷者が溢れかえっている。火傷を負った、自分と同じ年頃の少年が、虚な眼で、こちらを見ていた。


 この日、初めて、戦争というものを、はっきりと見た気がした。

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