第12話 生ゴミの処理の仕方
小さな頃、地球の声が聞こえてた、気がしていた。そして、地球は、悲鳴をあげているような、気がしていた。
だからだろうか。
エコでなければいけないというプレッシャーを常に感じている。
*
結婚してから、料理をしたあとは、私はどうしても、生ゴミを土に還さなければいけない、どうしても、そうしなければいけない、と思うのだった。
主人の家に住んでいた時期は、生ゴミに関して、主人の家のルールに従った。けれど、古いアパートに二人で住み始めた頃、そのアパートの縁側にあった約半畳ほどの広さの土地に私は目をつけた。
そうか。ここに埋めれると。
せっせと、生ゴミを埋める私。それを、呆れたように見ている主人。その、あーあ、という顔をまだ忘れらない。
「そんなところに埋めたってダメだよ!」
「だって……じいちゃんが埋めてたもん……」
「君の実家は土地が広かったから出来たの!」
もっともである。今、私は「バカか!」とあの頃の自分にツッコミを入れてやりたい。そうだ。AKARIは成長している。
だが、その時は埋めたかったから……埋めた。そして数日後。雨が降った。その土の一画に水たまりができ、無残に浮かび上がる大根の皮、鮭の骨……。
「そうか。もっと小さく刻めばいいだろうか?」
否。やはりダメなんだ、そう悟った。だが、私には、やはりエコでなければいけないというプレッシャーが常にかかっている。
「そうだ! 植物を植えよう!」
私はそこに、生ゴミではなく、ミントを植えた。それは、どんどん広がっていった。元気に光合成を繰り返し、二酸化炭素を吸い酸素を出している。私は満足だった。ミントは非常に強いハーブだ。
「いいぞ! ミント! 頑張れミント!」
そのミントを摘んで、ミントteaを度々いただいたし、友人にその株分けもした。
「いいぞ! ミント! 頑張れミント! どんどん広がれ!」
そして、それはきっと今もどんどんあの庭からはみ出し続けて成長していると思う。いいぞ! 頑張れミント!
*
そして。今の家に引っ越した時、しめたと思った。雑木林が隣り合わせで、狸、ハクビシン、山鳩、うさぎ、キジが出る、ここは人気のない田舎。その雑木林に目をつけた。
そうか。ここに投げればいいと。
玄関を開けてすぐの雑木林に、野菜を刻んだあとに出る種たち、白菜の芯などをポイッと投げる。すると、動物たちがいつの間にか処理をしている。
私は、自然のエコシステムの循環に入れた気がして、嬉しかった。私はだいぶ満足している。そして、去年の夏。ニガウリの種はポイッと捨てられただけなのに、芽を出し、いつの間にやら雑木林の竹をつたり、葉を広げていた。
「おー! すごい! 頑張れニガウリ! できれば実をつけてくれ!」
と思っていたが。主人がそれを見つけ言った。
「誰だよ! こんなところにつた系の植物の種を植えた奴は!」
私しかいないのである。主人は、私しかいないのに、誰だよっ! とよく言う。
「竹がこっちに来ないようにして、ここの管理してるの俺だからね!」
すまない。
*
こうして、この話を書きながら、私の生ゴミ処理の歴史をたどり、ふと、考えた。本当にAKARI は成長しているのだろうか? と。
否。していない。
それでも、私は地球のために、何かしてあげたいとは、いつも思って最善を尽くしているのである。
AKARI バカ~でごめんね。地球ちゃん。
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