第6話 執事のお仕事とこの世界について

俺はニーナ様の執事になる事にした。

命を助けてもらった恩を返すには打ってつけだったからだ。


執事になる事が決まってからは、客人待遇では無くなったが、代わりに伯爵様が俺の戸籍を用意してくれた。これでもし殺される事があっても相手は罪に問われるだろう。相手が見つかれば、だが。


執事になります、で執事になれるものでは無い。伯爵令嬢の執事となれば、礼儀作法は完璧にしなければならないし、それなりの教養もいる。幸い、料理は両親に叩き込まれたし、そもそも家事はメイドの仕事だ。執事がすることと言えば、主人のスケジュール管理や給仕、家計の管理らしいのだが、それらの仕事はセラスが既にやっているので新参者の俺がやる事は少ない。


そう、セラスはニーナ様付きのメイドだったのだ。

セラスはニーナ様の一つ上のお姉様、次女 ネーナ・ノースオウル様の乳母姉妹らしく、ネーナ様はもとより、ニーナ様とも本当の姉妹のような仲であると教えてくれた。


今日も一日、執事としての礼儀作法を身につけながら、この国や世界の常識を身につけていく。

まず通貨はミスリル貨、金貨、銀貨、銅貨が使われており、だいたい銅貨は100円、銀貨は1万円、金貨は100万円、ミスリル貨は1億円位の扱いで良さそうだった。

そして地理、丸いジャガイモのような大陸に今いるレーヴェガルド帝国、プリュトニア協商連合国、ズェートリヘス教国、エルフ・ドワーフ連合国があり、近くに倭国と言う中くらいの大きさの島があるらしい。西に魔大陸と呼ばれる異形の大地があるらしいが、バケモノが蔓延る不毛の地に人が居るかは分からないそうだ。

そして帝国について。

現皇帝はアレハンドロ・アレクサンドラ・レーヴェガルド陛下で、15歳の時に皇帝になられてから15年、一度のクーデターも起こさせなかったほどの賢帝であらせられるらしい。

陛下に仕える貴族達は公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、騎士爵に分かれており、我らがノースオウル伯爵家は「北の賢人」と呼ばれ、下手な侯爵家より有名らしい。


数日後、礼儀作法と教養を最低限とは身に付ける事ができた俺は、伯爵家での休暇を終えたニーナ様と共にレーヴェガルド帝国の帝都、レーヴェラードに行く事になった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る