僕の魔法は今日も通常運転
催眠ますたー
第1話:クラス分け(改稿版)
この世界エリシアスは魔力に満ちている世界です。
魔力に満ちているので、世の中のだいたいの生き物が魔法を使えます。
亜人を含んだ、大枠で人と呼ばれる人々はもちろん、その辺にいる動物でさえ魔法のようなものが使えます。
それは魔獣なんじゃん?という声も聞こえますが、あくまで普通の動物の話です。
魔獣と言われるのは、完全に魔力で構成されたもののことを言うので、生きているものなのか?と言われると若干怪しいですね。
魔力が集まって生まれ、砕かれればまた魔力に戻るものが魔獣と言われている存在です。
魔法を使えないという生き物の話は聞いたことがないので、ほぼすべての生き物が魔法を使えると言われています。
さて、ここは王都ゼスティアの少し南にある中規模の商業都市アディスです。
ここは王都に流通させるための様々な商品が集まってくる場所となっていて、中規模ではあるのですが、流通拠点として大きな役割を果たしている都市となります。
そんなアディスに数多ある商店の一つワングル商店の四男である僕、リート・ワングルが、よくわかりませんがなぜか「終焉の魔法使い」という非常に痛い名称で呼ばれるに至るまでのお話をしていきたいと思います。
僕が12歳になった頃のお話です。
僕の家は様々な雑貨を扱う商店なのですが、上に3人の兄と1人の姉がいるので、恐らく家業は兄の誰かが継ぐことになると思います。
19歳の長男ライルは家業を手伝っていて、算術にも長けており、商売についてもそつなくこなしているので、恐らく彼が後継の筆頭です。
17歳の次男ルクスは王都で剣術アカデミーに通っている学生です。
剣術アカデミーは、別名騎士団養成所とも呼ばれていて、将来の騎士団候補生を育てる王立の学校になります。
騎士団候補生を育てているため、学費は貸与になっていて、少ないながら毎月お小遣い程度の給与も出るらしいです。
貸与されている学費は、騎士団に合格すれば免除になるというお話でした。
16歳の3男ジートは家業を手伝うつもりらしく、市内の商学アカデミーで商売について学んでいます。
ライルもそこで15歳から3年間学んだ後に家業を手伝っているので、ジートも後2年したら家業を手伝うのかもしれません。
14歳の長女ミーシアはエレメンタルアカデミーの9年生です。
エレメンタルという名前ですが、精霊とかのエレメンタルではなく、基本的な物事を学ぶ学校ですね。
恐らく来年は、商学なり花嫁修業なりのアカデミーに進むんじゃないかと思っていますが、かなりお転婆なので花嫁が務まるかは謎です。
10歳の弟カークはエレメンタルアカデミーの5年生です。
まだまだいたずらっ子で、勉強嫌いな、親の手を焼かせる男の子です。
5歳の二女メルはまだエレメンタルアカデミーにも入っていない甘えん坊の女の子です。
今はお店の看板娘をやっています。
そして、四男の僕リートですが、エレメンタルアカデミーの7年生になります。
エレメンタルアカデミーでは、6年生までに一般的な学問の基礎をやって、7年生~9年生で将来の方向性を決める学問の基礎をやるようになっています。
エレメンタルアカデミーを卒業した後には、兄の通っている商学アカデミーや、剣術アカデミーの他に、魔術アカデミーや、理術アカデミー、農学アカデミー、林学アカデミーなど専門的なアカデミーに通うことになります。
そこまで経済的に余裕の無い家などは、エレメンタルアカデミーを卒業後に働きに出るというようなこともあるようですが、普通は9年のエレメンタルアカデミー後に、専門アカデミーに3年行ってから職に就くということが多いようです。
そんなエレメンタルアカデミーの7年生の最初に、専門性を決めるためのクラス分けがあります。
大きく5クラスがあり、商学などに進むための学術系のクラス、剣術などに進むための剣術系クラス、魔術や理術などの魔術系のクラス、農学や林学などの農耕系のクラス、そして上位進学しないクラスとなっています。
学術系のクラスは特に算術の成績がよくないと入ることができません。
剣術系のクラスでは、基本的な剣技と体力テストに通過できれば入れます。
魔術系のクラスは魔力テストで一定の魔力があることと、スペルテストに通過できれば入れます。
農耕系のクラスは特にテストなどはないのですが、体力がないときついという話はよく聞きます。
上位進学しない一般クラスは、ぶっちゃけ今までの4クラスにいかない人すべてという感じです。
競争率が高いのは、剣術>魔術>学術>農耕>一般という感じになっているようです。
「リート、今日はクラス分けだったな」
と朝食の時に父さんから声をかけられました。
「うん、まだどのクラスに進むか迷ってるけど、剣術か魔術に進みたいと思ってるよ」
「お前、剣術そんなにできたっけ?」
とライル兄さんにつっこみを食らいました。
「う、まぁ、ものは試しにと思ってね・・・」
「まぁまぁ、何でもチャレンジしてみればいいじゃないの」
と母さんはのほほんと言ってくれます。
「とりあえず、頑張ってみるよ」
朝食を食べ終わった後、アカデミーまで友達と挨拶なんかをしながら向かいます。
今日は天気も良く、2つの太陽も燦燦と光り輝いてます。
クラス分けもきっとうまくいくんじゃないかと思えてきました。
クラス分けテストの説明が行われるアカデミーの講堂に入って、前からも後ろからも真ん中あたりに座ります。
5クラスでだいたい200人くらいいるので、結構な人数です。
「では、クラス分けテストの説明を始めるので、静粛にお願いします」
講壇に立った教頭先生が話し始めます。
「クラス分けテストは事前にお話ししておいた通り、専門職を目指すためのコース別にクラスを分けていきます。
ただし、学術・剣術・魔術の各クラスについては簡単な選抜テストが行われます。
難しいものではありませんが、テスト結果によって上位40名が1クラスの制限となります。
テスト自体はいくつでも受けることができますので、コース選択に迷ってる人はとりあえずいくつか受けてみて、自分の可能性を探ってみるのもよいのではないでしょうか。
それではテストを始めたいと思います。
学術クラスは第3教室で、剣術クラスは武道場で、魔術クラスは魔射場でそれぞれテストを行います。
テストは夕方5つの刻まで随時行っていますので、焦らず順番にテストを受けて下さい。
また、農耕クラスと一般クラスについては申し込みをこの場で受け付けますので、申し込んで行って下さい。
以上で、説明を終わります。
皆さんのご健闘を祈りますよ」
教頭先生の説明が終わり、三々五々学生達はそれぞれの目標クラスに向かって行きました。
僕も、とりあえずのすべり止めということで、学術クラステスト会場の第3教室に行きます。
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