プロローグ2


「フン、オレ様もここでお終いか」


 恐怖の象徴である魔王は自分の胸元を見てからヤレヤレといった感じに呟いた。


「最後は魔王らしく偉そうなことでも言ってやるよ、見事だ勇者たち。よくぞオレ様を倒した褒めてやる」


 そんな魔王が自身を打倒した勇者たちに賛辞を送る。胸に剣を突きつけられていてもなおその態度を改めはしない。


「魔王に褒められるなんてボク的にはそこまで嬉しくはないかなぁ」


 対して勇者はのほほんと答える。


「全力でやったのなんて久しぶりだから加減忘れちまってたぜ、だがそれを感じさせない戦いぶりは見事」

「うーん、ボクたちも本気の本気だっからね」

「カカッ、楽しかったぞ。くだらんことすら忘れてやり合えたなんていつ以来かね」


 魔王の口から血がこぼれる。


「―――最後に忠告だ」

「ありがたいお言葉かな?」

「当然だろ。お前ら、これから気をつけろよ。強すぎるってのも案外楽じゃないぜ?」

「ん、了解」


 そんな軽いやり取りを最後に魔王は笑って逝ってしまう。

 その言葉の意味もわからなかったが、込められた思いだけは理解できまるで安心させるかのように勇者たちはうなずいたのであった。


 そして、勇者は立ち上がり仲間たちに向けて笑顔で告げた。


「さ、みんな帰ろう!」


 後に、魔王の言葉の意味を彼らは知ることになる……。

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