第77話 カタカムナウタヒ教室 3
「昨日みんなが見たニュース番組で摩耶ちゃんがやった瞬間移動するためには、『ミスマルノタマ』と言うものをまとう必要があります」
「「「ミスマルノタマ?」」」
「そう、ミスマルノタマの実態としては自分を中心にした直径2メートル位の球をイメージしてもらったら分かりやすいと思います」
「摩耶ちゃんは、それができるのね」
「そうなの。そしてこれからは、ここにいるみんながそれができるように訓練します。あ、百文は一見にしかず、摩耶ちゃんみんなに見せてあげて」
「はい!」
メグに指名された摩耶はゆっくり目を閉じてウタを唱え始めた。
すると摩耶を囲むように金色の球体が現れて教室の一角がにわかに明るくなった。
「「「おー!」」」
大歓声が上がる。
「すごいな!そのミスマルノタマをまとうことができたら俺たちも瞬間移動ができるんだ!」
「はい、ここはそのために作った教室です。あ、摩耶ちゃんありがとう、もういいわよ」
メグの指示で教室内は元の明るさに戻った。
「ほえー」
「夢みたいだ」
「なるほどなー」
「そのためには、まずはこの『物質文明と精神文明が変わること』を心から信じると言うことが第一の作業になります」
黒板に書いた文字を指差すメグ。
「物質文明と精神文明か・・・」
「この大きな変化は6500年おきに行われて、今まさにその大事な時期が来ていると言うことを理解してください」
「6500年前って縄文時代じゃあないか?」
「とにかく、まずはこの理解がなければ先に進みません。みんなわかった?」
「「「はーい」」」
「じゃぁ次にいきます。摩耶ちゃん、あんたたち、プリントを配ってください」
三人の手によって100枚のプリントが生徒たちに配られた。
カタカナで書かれたプリントに目を落とす生徒たち。
「そこにはカタカムナウタヒという大切なウタが書いてあります」
「「「カタカムナウタヒ?」」」
「そう、本当は全部で80首あるのだけどそこに書いてあるのは一番大切な5首、6首、7首だけです」
「要するに80のうちの3つを覚えればいいんだな?」
最前列の桐山がつぶやく。
「そうなの。今配ったプリントの3つの歌を丸暗記してください。毎日、何度も何度も繰り返して歌って暗記するようにしてくださいね。まぁ大学受験の意味のない暗記物に比べたら楽勝よね、こんなもの」
メグのこの言葉の後、教室中に全員のブツブツ唱える声が聞こえてくる。
「はい、大江田先生。代表でこれを読んでいただけますか?」
「私が読むのかな?」
指名された現代国語の大江田先生が立ち上がる。
「はい、この学校の中で1番日本語の発音の綺麗な先生に読んでいただけたらとても嬉しいわ」
「じゃぁ、御指名に預かったようなので私が読ませてもらいます」
と大江田はゆっくりと朗読した。
「第5首
ヒフミヨイ
マワリテメクル
ムナヤコト
アウノスヘシレ
カタチサキ
第6首
ソラニモロケセ
ユヱヌオヲ
ハエツヰネホン
カタカムナ
第7首
マカタマノ
アマノミナカヌシ
タカミムスヒ
カムミムスヒ
ミスマルノタマ」
大江田先生のきれいな言葉が教室中に響き渡った。
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