第76話 カタカムナウタヒ教室 2
「ハグって、あのハグか?」
最前列に座った桐山が尋ねた。
「そうよ、他にどんなハグがあるのよ?一人づつ私が抱きしめてあげるの」
「おー!」
「マジかよ」
「お、俺を抱きしめてくれるんか?」
「そうよ!今から私が力一杯、抱きしめてあげるから、さっさとそこに並んで!」
「「「おー!」」」
「「「この教室、最高!」」」
「女子新入生美人コンテスト」でナンバーワンのメグのこの意見に約半数の男子生徒たちは、我先に素直に列を作って並んだ。
まあ、メロメロだ。
「ハグって、おれの知ってるハグだろうな」
「そうよ、なにツベコベ言ってるの。さっさと早く私を抱きしめなさい」
「こ、こうか?」
先頭の広川がリーゼント頭で威勢のいい割には、少し躊躇しながらメグを抱きしめる。
「違うわよ、もっと強く!こうよ!さあ、遠慮しないで!」
メグは躊躇している広川の大きな体をきつく抱きしめた。
「おう、最高だぜ!」
「暴れるんじゃあないの、私の心臓の鼓動がわかるほどもっと密着して」
「お前、オッパ・・・いや、胸がでか過ぎるから鼓動とかよくわからん」
「いいからじっとして、男と女は陰陽でいう一対なの。そしてこれが私たちの挨拶!」
「よ、よくわからんが、とにかく最高の挨拶だな」
巨大な胸の谷間に光る緑の勾玉を見ながら広川が叫ぶ。
「そうよ、素晴らしい挨拶でしょ?先生方、いつも授業もこの挨拶を使いませんか?きっと先生と生徒間の不審もいじめも無くなりますよ!ハイ次の人!」
鼻の下を伸ばした男子生徒たちが、次々とメグに巨乳に抱擁されていった。
全員が「影松高校の峰不二子」と評されるメグの豊満な胸の攻撃ですでにノックダウンのようである。
「メグー!男子はいいけど、わたしたち女子はどうするのよー?」
「はい、秀と星の出番よ!」
「よっしゃ、やっと出番か!ワイのベアバックは強烈やでー」
「僕のハグは昔から優しめなんだナ」
「はいマイはん!強烈なハグしまっせ」
「やだ、秀くん!私はアミよ!」
「あ、さよか。すんまへん」
100名全てのカタカムナ式挨拶が終わったようだ。
「いい、みんな!この挨拶は一体感を持つために、授業前に毎回やるわよ!」
「「「オー!」」」」
戦国時代の合戦のような大怒号が起こった。
「さあ、挨拶も終わったし。授業に入ります!」
黒板に向かいチョークを走らせるメグ。
「物質文明と精神文明」
と大きく書いた。
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