第70話 黒騎士衛星とだんじり
校長室にて
マスコミのインタビューと伊勢、出雲ダブル詣でを終えた摩耶が休憩のために校長室のソファーに腰かけている。
「摩耶ちゃん、いいインタビューだったわ!」
「ホンマ感動モンでんな」
「うん、しっかり僕たちが言いたいことを正確にマスコミに伝えてくれたんだナ」
「ありがとう、精一杯頑張って宣伝して伊勢と出雲まで回ってきたわ。お役に立てたかしら?」
「充分よ!ところで水晶酔いは大丈夫?遠距離移動の場合は少し気分が悪くなる人がいるのだけど」
「あ、そう言えばカメラマンさんが一人気分が悪くなってたけど、私は全然大丈夫よ」
「摩耶さん、お疲れ様。いいデビューで全くしびれたよ。今度はメグさんたちの番だな」
「はい、いよいよ先生のお父さんとの会議ですね」
「5時の約束で言ってあるから、もうそろそろ来るはずだ。しばらく待っててもらえるかな」
中居のデジタル時計が4:30を示している。
「「「了解です」」」
「ところで君たちに、待っている間にちょっと質問いいかな?」
「もちろんOKよ」
「何でもどうぞなんだナ」
「この前の神主の持つシャクがスマホで烏帽子がアンテナの話だ」
「先生なんでんねん?まだそないな簡単なことが理解できまへんのか?」
「いやそれは理解したんだが、君たちは瞬間移動で海外にも行っていたことを思い出してな」
「それがどないしたんでっか?」
「スマホ同士の電波の送受信は、日本国内は可能だとしても海外はどうやっていたのか知りたい」
「ここは僕の出番なんだナ。たしかに電波は直進性が強いから日本国内は烏帽子アンテナで充分なんだナ。でも先生が言うように海外の送受信は、確かに困ったんだナ」
「やっぱりそうか。じゃあそれをどうやって解決したんだ?」
「簡単でんがな、ワイらは通信衛星を打ち上げましたんや!」
「なんだと?古代に通信衛星を打ち上げただと?」
「そうなんだナ。海外の通信用に専用の衛星を地球上空1500kmの高度で12000年前に打ち上げたんだナ」
「そ、その打ち上げた衛星は今はどうなっているんだ?」
「今も元気に地球の周りを回っているんだナ。しかも定期的に電波を発信するようにしてたんだナ」
「なんだと?」
「先生は『黒騎士衛星』と呼ばれといる人工衛星を知ってまっか?」
「もちろん知っている。都市伝説の類いだが、1940年代にアメリカ空軍が発見したあの謎の衛星のことだろう?定期的に電波を発信しているから発見につながり、色が黒いから黒騎士と命名されたとか」
「せや、あれはこいつが作ったモノなんですわ」
星の肩をポンと叩く秀。
「その衛星の話なら私も知ってるわ。なんでも1万年以上も前から地球を回っている謎の衛星よね。NASAのビデオを見たことがあるわ」
都市伝説に詳しい摩耶が捕捉した。
「そうか、あの衛星は君たちが作ったものだったのか。しびれるね、全く!」
「先生、ついでにいいましょか?この衛星はただ単に通信用にだけに作ったモノやおまへんねん」
「と言うと、ほかに用途があったのか?」
「当時の古代人の中で指導者や、私たちカタカムナ人に協力した優秀な人たちを、年に一回『地球見物』にご招待する場所でんねん。限定30名様だけやけどな」
「なんと、我々人間を宇宙空間に招待したことがあるのか」
「何回もあるんだナ。自分たちが住む地球を是非、上空から見て欲しかったんだナ。連れて行った人たちは地球を上から見てみんな大喜びだったんだナ」
「そうか、それで昔から『ピーリーレイスの世界地図』のような上から見なければ決して描けないような正確な世界地図があったのだな」
「だから古代人たちは『地球が丸いこと』をすでに知っていたのね」
摩耶が捕捉する。
「せや、他にもたくさん上から見なければわからない地名がありまっせ」
「まず琵琶湖がそうなんだナ。上から見ないとあの湖は琵琶の形に見えないんだナ」
「そう言えば南米のチチカカ湖もそうだ。チチカカとは豹のことだが、あの湖は上から見たら豹が跳ねてるように見える」
「あと大八洲理論は知ってまっか?」
「あ、私は聞いたことがあるわ。日本地図は世界地図の縮尺だという理論ね。たしか本州がユーラシア大陸で四国がオーストラリア大陸、九州がアフリカ大陸、北海道が北米大陸よね」
摩耶が説明する。
さすがはメーテル、何てもよく知っている。
「そうなんだナ。その発想もはるか上空から地球を見なければわからないんだナ」
「ところで、先生は日本の祭りの『だんじり』をご存知でっか?」
「もちろん知ってるよ。この御影も住吉も五月のだんじり祭りは有名だからな」
「岸和田をはじめ、関西各地にだんじり祭りがありますが一番数と地域が多いのは神戸市内なんですよ」
メグか笑いながら捕捉した。
「言われて見たらそうだな、東灘区から灘区、兵庫区まで神戸市内には多くの神社でだんじり祭りがあるな」
「せや、あのだんじりにみんなが乗りたがりまんな」
「そうだな。この地域の成人男子はだんじりに乗れるのが誉れとしている」
「あの縦型のだんじりは黒騎士衛星を模倣したもんやねん」
「そうなんだナ。みんな衛星に行きたいけど、行けなかった人が『来年こそは行けますように』の思いで祭りでだんじりに乗って練り歩くんだナ」
「そうだったのか。黒騎士衛星がだんじりだったとはな・・・ほんとにしびれるな、君たちは」
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