第129話 人のふんどし作戦 2
当時の「フライデー」や「フォーカス」などといった週刊誌によく「証券マンのゴージャスな遊びの実態」と言うことで高級外車やクルーザーやヨットに乗りまくって遊んでいる我々の写真が出ていたが実は舞台裏はこういうカラクリであったのだ。
つまりは全部が「人のふんどし」!
※
目的地の小豆島がグングン我々の目の前に迫ってきた。
半島を回り30分ほどすると青木社長の別荘が見えてきた。
別荘の横には綺麗なプライベートビーチがありそこの桟橋に俺は慎重にクルーザーを横付けする。
クルーザーという乗り物は離岸と接岸が非常に難しい。
俺は桟橋の旗の向きから、風向きと海流の流れを読んでポンツーンの左右どちらに着けるかを男性社員に告げて防舷物の固縛とらもやい綱を投げる指示を出す。
そして着岸したら船の前後2箇所をもやい綱で固縛する。
なんであるが野郎どもが全員が酔っ払っているのでクルーとしては全く役に立たない。
本当に船だけは「免許持ち」が一番損をする乗り物である。
むしろビキニ軍団のほうがテキパキと俺の指示すれ仕事をしてくれて無事接岸が完了した。
なんやかんや言いながらも我々はワインやビールを抱えて青木社長の別荘に入って行った。
玄関では、住み込みのお手伝いさん夫婦が賑やかな我々を出迎える。
「ようこそいらっしゃいました。社長から滞在中のお世話をするよう指示されています」
いい教育だ。
別荘は大広間が1階にあり、2階 3階で合計6つの部屋があるゆったりした作りだ。
男女で部屋割りした我々はさっそく海水浴の準備をする
当然女の子たちはもうビキニ姿なのでそのまま浮き輪を持って海岸へ直行。
我々男性陣も海パンに着替えて海岸へ行く。
酒で倒れている奴もいるがそんな奴はほっとく。
青木社長はクルーザーは持ってないがジェットスキーを2台持っているのでこれを倉庫から海まで運び出す。
かなり重い。
ビキニ軍団はジェットスキーを見ると大喜びで最初は後ろに乗せてやって慣れたら運転をさせてやる。
「キヤーキヤー」の歓声がビーチにこだまする。
ひと通りジェットスキーや泳ぎを堪能した後は、お手伝いさんがバーベキューの用意を砂浜の上にしてくれている。
テーブルの周りには四方からライトを立ててくれている。
本当に気配りがありがたい。
プライベートビーチなので他に誰も客がいない中で我々証券マンとそのレディーさん一行はこれからディナーを堪能するのである。
飲んだくれてしまった奴らも2-3時間寝たらけろっとしてバーベキューに参加する。
我々はこのときの「食材」だけは1番金をかける。
あらかじめお手伝いさんに頼んで、小豆島で1番高い寿司屋と料亭に魚介類、サザエや伊勢エビなどの高級食材を金に糸目をつけず注文しておいた。
もちろんお手伝いさん夫婦も一緒に食べることは言うまでもない。
まぁこれも経費で落ちるんだけど・・・
このようにして瀬戸内海の海の幸とワインでのディナーは延々と続くのであった。
今回の我々の出費
高級外車 使用料 タダ
クルーザー 使用料 タダ
別荘 使用料 タダ
高級食材 タダ
ビール、おつまみ 少々(自腹)
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