第99話 顧客の金言 2

一億円の作り方


午後9時

大阪市内のクラブにて太田君は顧客の石崎社長と飲んでいる。


「太田くん俺の資産は今いくらある?」


「はい、社長の資産は今約5億円です」


「そうだよな。最近よく俺の友達や知人から1億円の作り方を聞かれる」


「私も是非聞きたいです。教えてください。」


「単純なことだ、時間をかけて 3倍になる株を探すことだ」


「3倍になる銘柄ですか」


「そうだ。しかも時間をかけてそれを3回繰り返すんだ」



これも顧客から聞いた非常にためになる話である。

机上の空論ではなく実際にこの方法で億のお金を貯めた人間が言う事だったら説得力がある。


食品会社の石崎社長はいつも食品関連株で儲けていた。


さらに彼は話しを続ける。


「まずは一年間で佐川急便ででも働いて汗かいて500万円を作る。まずはこれがスタートだ」


「はい、これぐらいは誰でもできますね」


「そうだ、君達証券マンならもっと簡単にできるだろう?」


「はい、おかげさまで」

俺はその時は年収1000万円はあったからこう答えた。


「そこで1年でも2年でも時間をかけて調べて3倍になる銘柄を探し出す」


「500x3=1500万円ですね」


「そうだ、1500万になったら新たな3倍銘柄を探し出す」


「1500x3=4500万円ですね」


「そうだ、次も同じだ」


「4500x3=13500万円、なるほど・・・」


「数字で計算するのは簡単だが、要はきちんとリサーチすること。次に気長に3倍になるまで待つこと。この2点だ」


「しかしその3倍になる銘柄を探すのが1番難しいですよね。我々証券マンもそんな銘柄があれば苦労はしません」


「それは君たちが短期で物事を考えすぎるからよくないのだ。大事なことは3倍になるまで5年でも10年でもじっくり持つと言う事なんだ」


「なるほど、肝心の銘柄を探す方法はどうするんですか?」


「自分が職業としている銘柄の中を探すことだ。なんといっても24時間自分が携わっている仕事の近くにある銘柄であればその商品が売れるかどうかやこのアイデアはマーケットに響くかどうかと言うことがプロの目で判断ができる。これに尽きる」


「なるほど、わかりました。ありがとうございます」



前述したが、我々証券マンは約400人の顧客を抱えている。


株はゼロサムなので儲かった人がいれば必ず損した人がいることも述べた。


400名の内訳であるが、感覚としては100名は利益が出ていたと思う。


後の300名はほとんどが損をしてた「負け組」だったような気がする。


で、実際「勝ち組」の100名はどのようにして勝ち残ったかというと上に書いたように3倍になる株を自分で探して、証券マンの言うことを聞かずに長時間保持して利益が出るまでじっくり待つと言うスタンスをとった人であった。


これは間違いない。


これからもし株をしようかなと思っている方はぜひ参考にしてほしい作戦である。


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